SNS上の「大金持ちの暮らし」を、「これが平均」と思ってしまう心理

「MZ世代(20代、30代あたり)は、自分がやりたいことはなにか、自分が本当に望んでいるものはなにか、それが分からなくなってきた。ただSNSに載っている(高価ブランド品、海外旅行などの)写真を見て、それを平均的なものだと思い込み、同じ生活を追求していくだけだ」。淑明女子大学人的資源開発学科シムジヒョン教授の見解です。本ブログとしては、珍しくもない話です。もう何度も取り上げました。ただ「高価ブランド品を買った」という写真を乗せるために、空のボックスをオークションで数万円も出して購入する人たちの話など、似たような話を何度も紹介してきました。ただ、なんというか、こういう見解も、最近は目につかなくなりました(私の気のせいかもしれません)。

一時は大手からも同じ趣旨の記事が結構出て、大きな問題になっていると報じられたりもしましたが・・話題にならなかったのか、それとも何か別の理由でもあるのか、最近はあまり記事が載らなくなりました。今回も電子新聞というネットメディアの記事です。教授は、「私たちは周辺の人たちと自分を比較する傾向が、他の文化圏と比べても高いと知られている」としながら、これは自己成長という肯定的な効果ももちろんあるものの、実際はその逆のほうがもっと目立っているとします。特に、これはいまのMZ世代にもそのまま受け継がれていますが、今までは単に自分のまわりの人たちと比較するだけだったものが、SNSにより、さらに広範囲の人たちが対象になり、高価ブランド品、海外旅行、そんな写真をSNSで見ることによって、「これが平均だ(これくらいはしないとならないんだ)」と思ってしまう人が多い、というのです。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・私たちは、周辺の人と自分を比較する傾向が他の文化圏に比べて高いことが知られている・・・・韓国の比較傾向について行われた韓国開発研究院(KDI)の研究によると、比較傾向が高いと他人の目を意識する傾向が強く、周囲の意見や他人の行動に対する集団追従が高い。これは、そうしたほうが情緒的な安定になってくれるからだ。また、比較傾向が強いほど、日常生活で適当なものには満足できず、最高のものを手に入れようとす傾向が強い・・・・社会に強く根付いているこのような傾向のため、「ホカンス(※豪華バカンス)」「オマカセ(※日本語のおまかせから来たもので、シェフおまかせ料理のこと)」「高級消費」「ゴルフ」「海外旅行」などを、MZ世代は、まるで「当然味わうべき平均的なもの」として受け入れている・・

 

・・強い集団主義に応じて、他人がしていることをそのままやろうとするし、社会関係網サービス(SNS)上でより多くの好みと呼応を得るために、より強い高価品購入など物質主義な側面を見せることになる。最近、このような傾向が、出生率低下につながるとも考えられている。大学入試、就職までは周辺の少数や同年代の人たちとだけ比較するが、SNSを通じて、結婚と出産、余暇活動など、生活のすべての領域にいたるまで、他人との比較が拡大されてしまう。

他の人たちは、大企業や公企業に就職でき、他の人たちはホテルで結婚式をしたり、江南のブランドマンションで新婚生活を始めたりする、そんなものを見て、それらを「平均的なもの」として考え、自分はその平均的なものも手に入れられないと思い込む、比較傾向の逆効果を膨脹させてしまう。今は、今までよりも自分自身に集中することが必要だ。「今、私がやりたいことはなにか、私が望んでいるものはなにか」と、「他の人たちはみんなやっている」の間で、自分自身が本当に欲しいと思っているものを見つけ、そこに集中する試みが、結局は自分の幸せと成功を見つけるための助けにもなるだろう(電子新聞)・・>>

 

個人的に、このコラムに書いてある「『上』に対する見方」、すなわち「私もああいうことができて当然なのに」と思うことももちろん問題ですが・・実は『下』に対する見方がもっと問題ではないのか、そんな気もします。 今日の更新はこれだけです。次の更新は、5日(金曜日)11時頃になります。 さて、開花が遅くなったものの、そろそろどこかへ桜を見に行きたい今日この頃であります。開花状況とか情報チェックしないと。去年訪れた実相寺(神代桜と周辺の桜まで合わせて)がすごすぎたので、今年はどうだろうかとちょっと緊張しています(笑)。

 

 

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