韓国野党側の有力政治家 曹国氏「社会安定のため、大企業は賃金を凍結、中小の賃金だけ一定に上がるようにしましょう」

文在寅政権のとき、そして前回の大統領選挙のときには、共に民主党側から出てくる『それ、すごく北っぽいです』な公約が話題になりました。本ブログでもいくつか取り上げた記憶があります。例えば、文大統領は「政府が、人が生まれたときから老後まで、すべて面倒を見る」としながら、これを『包容』政策とし、国策にしたりしました。韓国内にも覚えている人はそういない気もしますが。李在明代表は、自営業者の数を政府がコントロールし、既存の自営業者たちはその『自営業をやってもいい権利』を他人に売ることができるようにする、土地を所有している人たちが(その土地によって)手に入れる利益を、土地を持っていない人たちに配る、などの案を出したりしました。

もともと臨時政府というのが土地や企業(ある程度の規模のもの)は国有にするという規則(綱領)を持っていたためか、右側もそうですが特に左側の方々は、どうも『政府(国)が何か何までやって、平等を実現する』という路線の政策が目立ちします。もちろん、憲法とかいろいろあるので、それらが本格的に実現したことはまだありません。で、ニュース1など複数のメディアによると、久しぶりに『そんな話』がありました。最近、一時ほどではないにせよ再び人気を集めている、曹国氏の公約発表内容です。いろいろありますが、「企画財政部を国民のコントロール下に置く」は特にすごい(?)と思いました。

 

「企画財政部」以外に目を引くのは、社会連帯賃金制度です。これは、大企業は賃金を凍結し、かわりに政府が税制などでメリットを与え、中小企業は『一定』の賃金上げを行うようにする、というのです。これで、社会が平等になるというわけですが・・ソース記事では有りませんが韓国経済によると、似たような制度が、1956年からスウェーデンにありました。それが可能になる制度がいろいろ揃っていたから、とのことですが、それでも結局は維持できず、1983年に廃止となりました。また、住居も、働き口も、病院で治療を受けることまで国が責任を持つべきだとしています。曹代表は「改憲して、成し遂げて見せる」としていますが・・さすがにこれらをすべて無償でやるつもりじゃないでしょうけど(多分)、結果的には「下方平準化(downward- leveling)」になるのではないか、そんな気もします。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・曹国代表は4日、10日の総選挙公約として、改憲を通じての「第7共和国」を提示した(※大幅に改憲するたびに第◯共和国と呼ぶようになり、1987年からが第6共和国です。韓国はいままで9回改憲しました)。 住居権券、保育権、教育権。 健康権、働く権利を拡大して、「社会権先進国」を作り、国会議員国民召喚制(※国民が投票などで国会議員の適切さを審査する)を導入するなど、民主主義を拡大するという趣旨だ。曹代表はこの日、国会で記者会見を通じて「国会で社会権先進国を作るために行動する。必要なら改憲に向けて積極的に動く」とし「第7共和国に全力を注ぐ。改憲議論をリードして見せる」と明らかにした。曹代表は社会権に対して「政府が施すのではなく、国民が権利として要求できるようにしなければならない」と強調した。彼は「国民は、国家に住居権を要求できるようになるべきだ」、「病気になればお金を心配せずに病院に行けるようにならなければならない」、「雇用確保のための国家の責務を明示する」と説明した。働く権利と関連しては、労働者の団結権保障、同一価値労働同一賃金、社会連帯賃金制を実現するとも付け加えた。

曹代表はまた「国家権力運営に国民の参加と自治をさらに保障する」とし「より多くの民主主義」を第7共和国の進む方向に掲げた。検察・国家情報院・監査院・警察・企画財政部などの機関を、国民のコントロール下に置き、国会議員にも地方自治団体長のように「住民召喚制」を適用するということだ。また、子育て親和・地方分権・炭素ゼロ・科学技術・平和共存も第7共和国の価値にすると付け加え、今回の総選挙で自力で法案発議が可能な議席(10席)を確保するとも改めて強調した。曹代表は会見以後記者たちと会って、社会連帯賃金制について「政府と大企業、中小企業の間で賃金に関連して社会的大妥協をして大企業賃金は上昇を自ら自制し、中小企業賃金を一定に高めるものだ」と説明した(ニュース1)・・>>

 

目指したいというなら別にいいでしょう。でも、いつものこと、「民主主義」を語りながらも、「自由民主主義」なのかについては曖昧になる、そんな結果しか見えません。さて、この主張に、共に民主党の議員たちがどれくらい反応するのか、ですが・・まだこれといって動きはありません。総選挙関連で記事が多すぎで、率直にニュースチェックがあまり楽しくない今日この頃です。個人的には、「与党側(比例議席まで含めて)がいまよりは巻き返すだろうけど、勝利といえるレベルまでは達しないのではないか」と思っていますが・・そもそも発表されるデータが1週間、2週間でも変わり過ぎで、なんとも言いきることは難しい、そんな状況です。なにか大きな動きでもないなら、多分、次の韓国政治関連エントリーは総選挙出口調査結果発表になるでしょう。これもまた、実際の結果を一致するかどうか分かりませんが。

 

 

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