もう懐かしい単語ですが、朴槿恵大統領の頃、「創造経済」というものがありました。担当部署の長官候補が「創造経済がどんなものかはよくわかりません」と話すなど、当時も今もどういうものなのかはわかりませんが・・当時、それまでは予算がもらえなかった案件でも、中身はそのまま、題に『創造経済のための~』などをつけると、予算がもらえるようになったという話がありました。本ブログで紹介したことがあるのは2013年10月19日京郷新聞の記事で、「『創造経済実現計画関連事業2014年予算案』によると、政府が創造経済活動として提出した事業の(予算基準で)94.8%は、前の政権から行われてきた事業を、名称だけ変えただけの事業だった」との内容でした。
そもそも、創造経済関連の予算の中で、「新規事業」の予算は5.2%だけだったそうです。1年目なのに、94.8%は「前からやっていた事業の予算」という、不思議な話です。同じ現象が、低出産、少子化関連でも起きている、とのことでして。以下、「本当にお金の問題だろうか」な気もしますが、とりあえずそは置いといて、予算の話をメインにします。1月に続き、2月の出生児数がまた同月記録としては最少の1万9362人でした。1月データのときにも書きましたが、小学校で良い成績が取れるように、韓国では年初に出生児数が上がります。それに、29日まであったのに、最少記録となりました。東亜日報がこの件で、シリーズ記事を出しています。記事1、記事2、記事3、記事4です。目新しい部分は、育児休職関連と、そして380兆ウォンを超えるという「低出産予算」がどこに行ったのか。本当に予算を使っても効果が無かったのか、それともそもそも予算が使われていない(関連対策とは別のところに使われている)のか、という側面です。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・「各省庁は、予算をもらうために、あらゆる事業に『低出産』というタグを付けて持ってきます。政府も、なんで少子化関連で予算を使わないのかと(※なんでなにもしないのか、と)言われるのがこわくて、あれこれ少子化対策として予算を組みます。そうしていたら、今のような状況になったのです」。今年2月退任直後、ソウル東亜メディアセンターで会ったキム・ヨンミ前「低出産高齢社会委員会」副委員長は、18年間約380兆ウォンを投入しても合計出生率が急落したという指摘について、このように述べた(東亜日報)・・>>
ちなみに、キム・ヨンミさんが副委員長を努めていた委員会は、予算関連では権限がありません。氏は「広い視野で見ると、人口減少対策でない政策がそれくらいあるのでしょうか」とも言っています。すなわち、「そういえばそうかも」なものが多いけど、いま必要なのは、もっと「家族支援(出産、育児など)」関連であり、海外で集計する家族支援だと、青年住居などはカウントもしない、というのです。
記事は「低出産予算のうち、ジョンセ(伝貰、家を借りること)のための保証金融資など住宅支援が半分近くになる」としていますが、こういうのもOECD基準だと少子化、家族関連支援予算にはなりません。「錯視効果であるだけで、実際には経済協力開発機構(OECD)基準に基づいて集計した韓国の家族支援予算は、2019年基準でOECD38カ国のうち33位に過ぎなかった」とのことです。また、日本でもよくニュースになる育児休職のことですが、韓国の出生率関連ニュースとしては珍しくこの部分も取り上げているので、引用してみます。
<<・・現在、子育て休職労働者は休職期間、月に通常賃金の80%を、最大150万ウォンまで受けることができる。月給の上限150万ウォンになるので、経済的負担を話す人が多い。国会予算政策処によると、韓国の育児休職給与上限はスウェーデン(約410万ウォン)、日本(約317万ウォン)、ドイツ(約244万ウォン)など主要国と差が大きい・・・・子育て休職給与を現実的に上げることが難しいのは、現在「雇用保険基金」がほとんどを充当しているためだ。2001年導入当時、外国と同じく、財政や健康保険基金で充当できないと判断、雇用保険に任せたのだ。ところが、雇用保険の主目的は失業給与支出であるうえ、最近は財政問題もあり、子育て休職給与を充当するのは難しい状況だ・・>>
企画財政部などが担当したところで・・最近、財政健全性の関連でもいろいろ言われているので、そう簡単に増やすことはできないでしょう。要するに、創造経済のときと同じく、「少子化」「低出産」と書けば予算がもらえるらしいよ!となっているわけです。380兆ウォンというけど、実際に必要なところに届く予算は、むしろ他の国より少ない、と。2022年10月17日のものですが、さきの京郷新聞の記事(予算)関連でもエントリーしたことがあるので、参考にしてください。先端兵器導入なども低出産関連予算になっていたそうです。これもまた、安保だから「そういえばそうかも」とも言えますが(笑)。
あと、最後に重要なお知らせです。本当はゴールデンウィークなど連休にはあまり遠くへ出かけない(人が多すぎる)派ですが、今年は早めに動くことになりました。京都伏見稲荷大社へのお礼参りと、韓国の親の墓参りおよび家族挨拶、明日から一気にスタートします。去年は家族挨拶大作戦だけで1週間もかかりましたが、今年は銀行関連などが無いので、京都+韓国で6日間、休みをいただくことになりました。次の更新は、ゴールデンウィークが後半戦になる5月3日11時頃からとなります。長い期間留守にしてしまい申し訳ございませんが、これもまた私の1人の人間としての「大事なお仕事」。頑張って完遂してきます。それでは、行ってきます(シュタッ)・・といっても京都からなのでまだ日本にいますが。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。