「キムバプは、併合時代に寿司の一種として普及しました」とする韓国政府機関の見解

桜やノーベル賞ほどではありませんが、毎年このシーズンになると出てくる「元祖」ネタがあります。韓国式海苔巻き、すなわちキムバプのことです。キムは海苔のことで、バップは飯のことです。なんでこのシーズンに関連記事が出てくるのかと言いますと、ピクニックなどにおいて、もっとも代表的な食べ物だからです。最近はどうなのか分かりませんが、私が小学生だった頃は、遠足にはキムバプが基本でした。今回も5月2日東亜日報に、「日本の海苔は厚く、ご飯と一緒に食べるものだった」としながら、海苔でご飯を『巻く』のはキムバプから始まったものだ、という記事がありました。

なんか・・動物・植物の進化に科学的な分析が可能になったから、調べてみればすぐ分かるのになんでこういう話が出てくるのかという、あきらかに「しかる」書き方の記事です。議論そのものが無意味で、キムバプに失礼だという文章まで出てきます。でも、ちょうど去年、拙著とブログに同じテーマの内容を書いたことがありまして・・ほぼ同じ内容になって恐縮ですが、もう一度ある資料を紹介してみます。韓国各地の文化を研究する「韓国文化院連合会」という政府(文化体育観光部)傘下機関があります。その連合会が運用する「地域N文化ポータル(※該当ページ)」というサイトを覗いてみると、キムバップに関する紹介が載っています。このサイトの主張は、『キムバプができたのは、併合時代である(1970年代から作り方が今風になった)』です。

 

理由は、まず海苔が普及するのが第一の条件なのに、これが一般人でも食べられるようになったのが、併合時代からだから、です。1481年の地理書東国輿地勝覧に「全羅南道の太仁島という島の土産品」として記録されていたり、海苔の記録は結構古い資料から出てきますが、かなり珍しい、高級品だった、というのです。そんな状態でキムバプなんかつくれるはずがない、と。そして、弁当文化というのも、併合時だから始まったものだから、などなど、ずいぶんと現実的な見方をしています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・海苔は、朝鮮時代から全羅道の特産物として記録に残っているが、キムバプに対する記録は、併合時代、ご飯に酢を入れて、卵を薄く焼いたもの、田麩(※タイの肉をピンク色に染めたもの)などを中に入れて、海苔で包むものだと書いてある。酢で味付けをしたキムバプは、戦後、新聞記事でもそのレシピが見られる。現在のキムバップは、酢ではなくごま油と塩で味付けをするようになった。キムバプは、併合時代に、ある程度は余裕がある層から始まり、日本の弁当文化が定着しつつ、大衆化されるようになった・・・・キムバプが(※併合時代より前の)朝鮮時代にあったという資料はない。海苔が併合時代まではかなり貴重な食品だったので、キムバプが朝鮮時代に普及したとは思えない。キムバプが広く普及できる何より重要な条件は、海苔が十分に供給されることであろう・・

 

・・しかし、併合時代になってから、海苔は本格的に生産できるようになり、キムバプもその時期に定着した・・また、キムバプは、代表的なお弁当メニューだが、弁当文化も併合時代に社会全般に普及した。朝鮮時代の官庁では、食事を提供していた。それが変化し、職員が昼食時に食堂でご飯を食べたり、弁当を食べるようになったのが、併合時代だ。朝から出勤して1日8時間以上勤務する官庁生活で、弁当は必須となっていた・・・・学校も、朝早くから登校して一定時間以上勉強するようになったため、弁当は無くてはならないものであった。昌慶苑(チャンギョンウォン)に桜の花を見に行くなどにも、弁当は必須品だった。もちろん、食堂で昼食を買って食べることもできたが、桜の花見などには大勢の人たちで混雑していただめ、弁当を用意したほうがずっと楽だったのだろう(地域N文化「近代の新聞から見る料理」カテゴリー/『併合時代に寿司として作られたキムバプ』より)・・>>

 

キムバプに酢飯ではなくゴマ油を塗るようになったのは、1970年代の新聞記事から確認できる、とも書いてあります。すなわち、海苔巻きとしてキムバプというものが誕生したのは併合時代、いまの韓国式海苔巻きとしてのキムバプができたのは1970年代からの話、といったところでしょうか。引用部分、弁当もって公園に出かけるようになったというのもありますが、個人的に、「一定時間以上勉強するようになった」という一行が、当時の変化をもっとも確実に表現しているのではないか、そんな気もします。去年にもほぼ同じ内容をエントリーしたことがあります。併合時代の記事なども訳を載せているので、未読の方は、チェックしてみてください。うーん・・もう少し別の内容が書けると思ったのに、申し訳ありません。

 

 

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