韓国メディア「債務の『両極化』が進んでいる」・・「高利子だから元金を返そう」と「高利子だからもっと借りるしかない」

実に無数に出ている、民間債務(特に家計債務)関連記事。どの側面を見るかで記事の内容も異なったりしますが、一部の専門家たちが指摘しているのは「量より質」です。全体金額が増加するか減少するかも重要だけど、余裕ある人がローンを組むのは問題ないから、ちゃんと返せそうにない人たちの動向にもっと注意しないといけない、という話です。本ブログでも何度か取り上げた「多重債務者(3箇所以上の金融機関からお金を借りた人で、全員がそうというわけではありませんが一般的には脆弱借主としてカウントされます)」などもその一つです。

そんな中、2022年~2023年あたりから、『高金利なのに債務規模が減少しないのはなぜだ』という話が出てきました。これは時期にもよります。増加した期間も、減少した期間もあります(ソース記事のヘラルド経済は減少したとしていますが、先月はまた大幅に増加しました)。でも、全体規模はさほど変わっていません。これは、なぜなのか、と。普通、高金利になると、家計債務は減少します。利子が負担になるから、償還するわけです。早期に返済する人もいるし、満期が来たら延長しないでそのまま返済する、などです。しかし、高金利が続き、基準金利の引き下げも遠ざかったのに、家計債務の規模にこれといった変動がない、むしろ増えたりします。

 

これは、『家計債務の両極化』が進んだ、いや進んでいるためです。返せる人は、高金利だから返そうと思います。でも、返せそうにない人は、高金利の分、出ていくお金(利子負担)が増えたから、またどこかでローンを組もうとします。記事に載っている「30代個人事業」の人は、こう話しています。「利子が増えるのが分かるから、ローンを返済したい。だがすぐに使うお金がないからローンをもっと探してみるしかないじゃないか」。韓国経済を支えている『柱』の一つ、家計債務の現状をわかりやすく物語っています。記事は、「高金利の長期化が続く中、利子負担でローンの返済も続いている。しかし、それはお金を持っている人たちの話だ。利子返済も難しいほど資金が不足しているため、高金利にもかかわらず、仕方なくローンを増やしている。債務の両極化である」としています。以下、<<~>>で引用してみます。記事に明記されていませんが、記事本文のデータは「家計債務」集計(1900兆ウォン)とは別のもので、一部の個人事業主なども含めたものです。

 

<<・・さらに今年に入って債務の「両極化」現象が台頭している。現金に余裕がある人々は高金利ローンを返済しているが、低信用借主の場合は、債務がより増える現象が起きているのだ。着実に増加傾向を見せた全体借主の貸出額は、今年1月~3月基準で2593兆3182億ウォンで昨年末(2597兆8349億ウォン)と比較して4兆5166億ウォン減った。全体融資借主も2597万8349人から2593万3182人に、4万5166人減少した。これにより、全体金融機関融資借主の一人当たり債務額も1億2664万ウォンから1億2662万ウォンに小幅減少した。しかし、債務不履行者(※3ヶ月以上延滞している、など)の1人当たりの債務額は5599万ウォンから5860万ウォンに、261万ウォンほど増えた。

これは、低信用者が負担しなければならない債務額は増えているという意味だ。全体債務不履行者の99.8%は、クレジットスコア(NICE基準)650点以下の低信用者だ。実際、現金が豊富な資産家の場合、昨年から債務の規模を減らしてきた。KB金融グループKB経営研究所の「2023韓国金持ち報告書」によると、金融資産10億ウォン以上の「金持ち」の平均債務規模は昨年基準で4億8000万ウォンで、2022年(7億1000万ウォン)と比較して2億3000万ウォンほど減った。同期間の金融債務の割合は22.9%から19.2%に減少した・・

 

・・金持ちは利子負担を減らして支出をカバーしているが、返済の余裕すらない階層の利子負担は日々増加している。問題は高金利長期化現象が続き、このような格差がしばらく持続するしかないということだ。当初、市場では、今年上半期中に米国の基準金利の引き下げが行われる可能性があるとの期待が広がっていた。しかし米国経済は容易に安定せず、韓国でも今年内の基準金利の引き下げは難しいという見通しが出ている。この場合、各種金融機関の貸出金利は今のような高い水準を維持するしかない。利子負担がさらに加重されるしかないという話だ。

特に金融脆弱階層の場合、銀行に比べて金利水準が高い貯蓄銀行など第2金融圏(※ノンバンク)に頼る場合が多い・・・・NICE評価情報資料によると、1~3月基準債務不履行者の全体債務額40兆2131億ウォン(※第3金融圏の一部は集計されません)のうち、銀行(※第1金融圏、普通の銀行のこと)債務の割合は約21.9%(8兆8429億ウォン)に過ぎなかった。一部の政策ローンなどを除いた第2金融圏融資の割合が70.6%(28兆4189億ウォン)に達した(ヘラルド経済)・・>>

 

 

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