韓国大手メディア「頼清徳総統の就任で、日本半導体が大きな利益を得る」

頼清徳台湾総統の就任式関連記事、たとえば「日本からは議員団が訪問し、台湾総統との昼食会などがあった」とか、韓国からは「現地代表と親善議員連盟の議員で二人が参席、政府レベルでは何のメッセージもなかった」などの記事を読んだときから、「なにかの形で半導体協力関連の話もでるだろうな」と思っていましたが・・チェックしてみたら一昨日(23日)聯合ニュースがすでに報じていました(元ソースはサウスチャイナ・モーニング・ポスト)。地政学的な理由で、日本と米国が大きな利益を得ることになるだろう、特に日本ははるかに重要になる、という話です。

しかし、日本、米国、台湾の場合は企業同士の半導体関連協力が目立っているのに、韓国の場合はそんな話がなく、政府と民間の「半導体外交が必要だ」という記事が載っていました。聯合ニュースとほぼ同じタイミング(22日)で出た、文化日報の記事です。地政学的な理由も確かにあるでしょうけど、それだけでは説明できない流れができている、という意味にもなるでしょう。そういえば、最近半導体輸出が(対中輸出を中心に)回復しているというニュースはよく見ますが、日本各企業TSMC、IBMのような自由民主主義陣営同士の協力の記事は、読んだ記憶がありません。文化日報の記事は短く、先書いた内容がほぼすべてなので、以下、聯合ニュースの記事を<<~>>で引用してみます。

 

<<・・中国が対応に乗り出した中、台湾の「シリコンシールド」(半導体シールド)の役割が弱くなり、日本が反射的な利益をえるだろうと、香港サウスチャイナモーニングポスト(SCMP)が23日報道した。報道によると、中国が親米的な民進党頼清徳総統に強いスタンスを貫き、台湾中心の世界先端半導体産業構造も徐々に再編されるだろうという見通しが出ている。シリコンシールドは、台湾の半導体産業が中国から台湾と同盟を保護するという意味で、蔡英文前総統が初めて言及した表現だ。彼女は8年間の執権期間に世界最大のファウンドリ(半導体委託生産)企業TSMCなど自国半導体企業に大きな支援をしてきた・・・・半導体専門家とされる頼清徳総統も、選挙公約として「桃園・新竹・苗栗シリコンバレー計画」を掲げ、台湾政府は今年初めこのような台湾版シリコンバレー工事に2027年まで4年間で1000億台湾ドル投入すると決めたことがある・・

 

・・しかし、サクソキャピタルマーケッツ香港支社のレッドモンド・ウォン市場戦略家はSCMPに、「台湾経済の未来、安全保障、地政学的リスクをめぐる不確実さに注目しなければならない」とし、(周辺国との)経済的相互依存に大きな問題が生じ、台湾のシリコンシールドの役割が減少するだろう」と述べた。台湾の台北に本社を置く市場調査機関トレンドフォースによると、世界各国が有事時の際、台湾以外の国から先端半導体チップの供給を受けるプランBの準備に乗り出している・・・・有事の際、TSMCなど台湾企業が使用するオランダの半導体生産装備業者ASMLの極紫外線(EUV)装備を遠隔遮断するなど生産無力化方針が公開されたことをきっかけに、各国のプランB計画がより力を増すだろうという観測もある。

トレンドフォースは現在、台湾の先端半導体チップ生産シェアが66%水準だが、2027年には55%に下がると見込んだ・・・・半導体メーカーIDC役員のマリオ・モラレスは、SCMPに世界の先端半導体産業で「ますます米国と日本がより多くの利点を持つようになるだろう」としながら「特に、日本がはるかに重要になるだろう」と展望した・・・・地政学リスクを考慮して台湾TSMCなどが米国・日本などで工場移転を加速する中、日本も米国も半導体に大規模な支援をしている。トレンドフォースは、日本政府が自国大企業が先端半導体国産化のために設立したラピダス支援に集中しており、政府資金で北海道に「半導体クラスター」構築計画を持っていると伝えた(聯合ニュース)・・>>

 

「利益を得るだろう」という予測だけならともかく、記事の趣旨が気になります。どことなく「北朝鮮問題で日本は利益を得るだろう」という記事と似ているところがありまして。これらの記事が、「だから、日本は北朝鮮問題(または統一)を望んでいない」という意見の論拠になっています。今回もまた、北朝鮮を中国に置き換えただけの見方ではないのか、そんな気もします。例えば防衛産業や日米同盟強化などがそうですが、それは、『そういう問題があるから、そに備えて動いている』と見るべきでしょうに。

この件も、日本の場合、どちらかというと同じ陣営の『一員として』の見方を失わないでほしいと願う今日この頃であります。いつの場面でも「重要」なのは、責務と権利のバランス感覚ですから。 最後に、告知まいります。前の告知から更新された内容はありませんが、 FNNプライムオンラインプレジデントオンラインに、韓国Z世代関連、拙著からの抜粋記事が掲載されております(リストの上が最新記事です)。よろしければ、お読みください。ありがとうございます。

 

 

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