プーチン大統領、ウクライナ事態について「韓国には感謝している」「日本はスタンスを変える必要がある」

プーチン大統領がロイターやAPなど欧米側のメディア、そして韓国聯合ニュースを招待し、3時間も会見を行いました。全般的に今までよりは柔らかな雰囲気だったとのことですが、報道によると、日本と韓国についてずいぶん異なるスタンスを示した、とのことです。ソース記事は当の聯合ニュースです。日本については「(ウクライナ事態に関して)態度を変える必要がある」という旨を話し、韓国については、ウクライナに武器を支援しなかったことで「感謝している」と述べました。いつもの「弱い環の原則」(すなわちチェーンの強さはもっとも弱い環の強さで決まる)、すなわち日米韓協力の弱い環である韓国を意識しての発言でしょう。

ユン政権は、プーチン大統領の就任式に大使を参席させるなど(日米などはしていません)、ロシアとの関係改善を強く意識してきました。5月9日の就任2週年記者会見でも、BBCの記者が『北朝鮮とロシアの軍事協力の件において、韓国が見過ごせるラインはどれくらいですか』と質問たところ、ユン大統領は『ロシアとの関係は重要であり、ロシアとの協力を望んでいる』と答えました。BBCの記者が「事実上、答弁していないのと同じ」「意外だった」「なにかを示唆するものだと思われる」と指摘したりしました。質問の趣旨は、「北朝鮮とロシアの軍事協力において、当事国の韓国政府がなぜここまで静かなのか」というものだったのでしょう。

 

砲弾などを間接的に支援した(米軍が使うものとしたけど、事実上、米国がウクライナに砲弾を支援するためのものだった)と聞いていましたし、プーチン大統領もその件で「あってはならない」などと話したことがありますが・・・プーチン大統領がわざわざ「支援していない」「感謝している」と話したということは、2つの推測が可能です。「これ以上しないなら、今までの分はもういい」ということ。普通に「関係改善なら応じる用意があるよ」な発言としての見方。もう一つは、その砲弾支援プロセスに、対外的に発表はされていないけどなにかトラブルがある、ロシアがそれを喜んでいる、という見方、というか推測、です。どうなっているのかまでは分かりませんが、先も書きましたが「弱い環」関連発言なのは間違いないでしょう。ユン政権は、この件でどう反応するのでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・(※16カ国のメディアを呼び集めた場で、聯合ニュースの韓ロ関係についての質問に対しプーチン大統領は)韓国がウクライナに武器を供給しないという点を挙げて、「大変感謝している」と謝意を表した。韓国がウクライナの支援や代理制裁に参加することを念頭に置いたように「残念ながら韓国が私たちの協力の様々な分野で特定の問題を作った」、「惜しまれる」などの話もあったが、両国関係の未来を復元していきたいとも強調した。それとともに、「私たちの側は、協力を持続する準備ができている」ことを前提に「私たちは韓国と協力し続けるだろうが、それは私たちではなく、韓国指導部の選択」と韓国政府に「ボール」を渡した。

プーチン大統領のこの日の言及は、2022年10月「韓国がウクライナに武器と弾薬を供給することに決めたことが分かった。これは私達の関係においてあってはならないことだ」と話したことと比べ、確かに変わったものだ・・・・韓国は米国やヨーロッパなど西側の相当数の国家とは異なり、熟考の末にイドフン駐ロシア大使が先月7日プーチン大統領の就任式に参席したことがある。

プーチン大統領も昨年12月、同大使の信任状制定式で「両国協力が両国国民に利益となるパートナーシップ軌道に復帰するかどうかは韓国にかかっており、ロシアは準備できている」と話した。駐韓ロシア大使も韓国がウクライナに武器を提供しなければ、両国パートナーシップ関係が回復することができるとした・・・・プーチン大統領のこの日の発言は、日本とは異なるものだった。プーチン大統領は日本に対しては「ウクライナ問題に日本が介入していると見ている」と冷たい反応を見せ、日本がウクライナに対する立場を変えなければ対話はできないと語った。日本は主要7カ国(G7)の一員で、ロシアの凍結資産のウクライナ支援議論などにも参加、ロシアに対してより強硬な立場を見せている(聯合ニュース)・・>>

 

プーチン大統領は同じ場で、北朝鮮、中国に対しては明らかに「援護」しました。引用部分にはありませんが、北朝鮮問題について「私たちは、他の誰かがどう言おうと、私たちの隣国である北朝鮮との関係を発展させるだろう」、「(北朝鮮への)脅威がなくなれば、核問題は徐々に解決されるだろう」などと話しました。北朝鮮は、前から核問題解決のためには米軍が撤収すべきだという話をしていましたが、それとまったく同じ内容です。中国に対しても、「中国の経済発展に介入しようとしてはならない」とし、西側に問題があるというふうに話しました。

いまでも韓国の一部のメディアは、岸田総理の支持率が低いなどの理由で「日米韓の弱い環は日本」と主張しています。しかし、現実はこんなもの、といったところでしょうか。そして、多くのメディアが、こんな発言を「韓国が弱い環だから」とは思っていないのが、またなんとも。どちらかというと、「強い」からだ(だからこんな発言をするしかない)、「バランスが取れている」と思ったりするから、困ったものです。

 

 

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