韓国メディア「また不動産を買うための債務が増えてきた。学習効果が見当たらない」

最近、経済関連記事を呼んでいると、もしアメリカFedが金利を下げても、韓国銀行(中央銀行)は「金利を下げたくても下げられなくなったのでは」という話がよく出てきます。家計債務、特に不動産投資がその理由です。これは文政権もそうでしたが、ユン政権も家計債務を減らそうとしました。でも、できませんでした。毎日経済(7月25日)はこの件で、ユン政権の政策も『根自感(根拠ないのに自信だけすごいという意味)』だけだとしながらも、いわゆる『ヨンクル(無理な投資で不動産を買うこと)』している人たちについても、「学習効果がみあたらない」としています。

一部の地域(多くのメディアがこう書いていますが、ソウルの一部のことでしょう)で不動産価格がまた上昇していて、それを買うために家計債務が大幅に増えているけど、普通なら高金利のこの時期に起きるようなことではないので、いま金利を下げると、不動産を買うためにさらに家計債務が増えるだろう、というのです。これが、「金利を下げることが出来ない」主な理由である、と。家計債務がこれ以上増えること自体もそうですが、不動産価格が政権の支持率に大きな影響を及ぼすという理由もあります。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・日本の20・30代夫婦たちは、マイホームを買うことが人生の目標ではない。家は時間が経つにつれて価値が下がるという認識があるからで、金利が低くても、ローンを組んで住宅を買収したりすることはそう無い。どちらかというと賃貸住宅を好むほうだ。1990年代初め、不動産バブル事態の学習効果があるからだ。私たちはそうではない。20・30代にとってマイホームは資産を増すための最高の手段であり、人生の宿題だ。早くしなければ家の値段が手が届かないほど上がり、機会がなくなるかもしれないという認識にくるしんでいる。「不動産不敗」の学習効果だ。

 

このような不安感が最高潮に達し、前の文政権で現れた社会現象が、すべてをかきあつめて家を買うという「ヨンクル」だ。ヨンクルが巻き起こした不動産市場の事件は、政権交代に決定的な理由の一つにもなった。ヨンクルは2021年に住宅価格が崩れて高金利が続いて、眠れない時期が続いたが、3年ぶりに再び目立ってきた。銀行家計債務は今年上半期だけで20兆ウォン以上増えた・・・・ヨンクルしたことで涙を流した人は少なくない。それにもかかわらず、市場が少しでも隙を見せれば、ヨンクルたちは再びよみがえる・・・・政府が先制的に緻密に管理をしなければならない理由だ。ところが、政府の対応は文在寅政権の不動産政策誤判とよく似ている。

供給不安管理からしてそうだ。ユン政権は住宅価格が調整期に入ったとし、不動産で失敗した前の政権とは異なるということを強調した。2022年8月、5年間住宅270万世帯を供給するという野心的な計画を発表したりした。しかし、高金利と工事費の上昇などが起きて、その供給計画表がうまく進まなくなってから久しい・・・・最近になって『後の太鼓(※後の祭り)』な供給対策を出したが、これといってすぐ効果が出そうな内容は無かった。

 

このような中、市場の潜在リスクになりえる莫大な流動性を供給したのも問題だ。所得にかかわらず低金利でローンが組める特例マイホーム購入ローン(※本ブログでも何度か取り上げましたが、韓国では政府レベルで行う『政策金融商品』というものがいろいろありますが、最近ちゃんと返済する人が少なくなり、政府機関による代位弁済が増えて問題になっています)は昨年40兆ウォン、金利1%台の新生児特例ローンは今年だけで6兆ウォンだった。ストレスDSR(※前にもエントリーしたことがありますが、簡単に言うと借りられる限度額を少なくするための措置です。急に延期されました)施行を2ヶ月先延ばし、「その前に借りないと」という風潮まで引き起こした。文政権の不動産政策設計者であるキムスヒョン前大統領室政策室長は、それが失敗した要因として真っ先に「融資規制をより強くできなかったこと」だったと話したことがある。文政権の失策から何の教訓を得られなかったのだろうか(毎日経済)・・>>

 

今日の中央日報もまた、ちょっとあきれた論調の記事を載せています。「住宅価格が上がっても世界最高水準の贈与・相続税率のために税金を払えば、残るものは多くないことも考慮しなければならない・・・・金利が下がっても、『私の家(※普通に住むための家、という意味です)』を用意するにはいいチャンスかもしれないが、それ以上ではない。低金利にも二つの顔があることを忘れてはならない」、と。もちろん政府の政策も問題だとは思いますが、この「不動産(マンション)を買う以外、方法がない」という考えは、これからも変わらないでしょう。「これ以外は『神も仏も』ない」という考えの現れですから。マネーゴッド、あるいはマンションゴッド。

 

 

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