韓国首都圏居住の19歳~34歳、70万人以上が『住宅でないところ』に居住・・少子化問題の一因か

興味あるデータがあったので紹介します。なぜかあまり紹介したことのないネットメディアに載っていたものですが、一応、地方統計庁(京畿・仁川)が発表した公式データを元にしています。デイリーポップというメディアの8月5日の記事で、引用されているデータは2022年基準のものです。ただ、ちょっとデータの範囲が分かりづらい部分もあるので、そこは個人的に追記してなんとかしてみます。まず記事で扱っている『青年』の範囲ですが、この類の統計庁データは一般的に19歳から34歳までになります。最近は少子化などの影響で、自治体によっては39歳までを青年とする場合も多いですが。

データは、首都圏、すなわちソウル特別市、京畿道、仁川市を対象にしたものです。日本は首都圏というと結構広い範囲になりますが、韓国はそうでもなく、仁川広域市も入ってはいますが、主にソウル・京畿道関連になります。そこに住んでいる19歳~34歳関連データですが、まず、総青年人口の半分以上、53.9%が、首都圏に居住していました。ちなみに、全国単位で19歳~34歳人口は大まかに1000万人です。そして、その55.2%が、1人世帯(1人暮らし)でした。ちなみに、首都圏以外でも1人暮らしの比率は高く、青年の54.2%は1人暮らしである、とのことです。で、ちょっと気になったのがその『住居』ですが・・

 

さらっと書いてありますが、「2022年基準で『首都圏青年1人世帯』の住居は、一戸建て住宅32.3%、マンション23.1%、多世代・連立住宅17.6%、非居住用建物内の住宅2.8%、住宅以外での居処(※住居)24.2%」、とのことでして。住宅以外の住居というのは、『非住宅居住』、すなわち住宅としてカウントされない建物で住んでいる人たちのことです。非住宅居住だからといって全員がくるしい状況下にあるわけではないでしょうけど、一般的に、彼らは経済的に脆弱な層とされます。本ブログでも何度か取り上げましたが、考試院、ビニールハウス(コンテナをビニールで囲んだものなど)などで居住している人たちがほとんどだからです。一つの部屋を無理やり分けた『分け部屋(ほとんどは窓が無い)』などもここにカウントされます(分けても住宅としての基準を満たしているならカウントされないでしょうけど)。

 

映画などで話題になった「半地下」は住宅なので、この集計には入りません。また、オフィステルに住んでいる人たちも詳しくはここに集計されますが、このデータは主に『住居にこまっている人たち』のことで利用されることが多いので、オフィステル暮らしは「比較的、余裕がある人たち」とされ、別枠として集計します。あとで関連記事を紹介しますが、そこでもオフィステルはカウントしていません。ただ、ハンギョレ新聞など関連記事の中には、オフィステルの場合も、中身は大差ないという話もあります。『最初から安い住居用として貸すために作ったもので、看板だけオフィステル』とかなんとか。で、ソース記事に戻りますと、「24,2%」は、多分オフィステル暮らしも含めてのものだとは思われますが・・記事に明記はされていません。それでも、ちょっと多すぎるのではないか、そんな気がします。

 

首都圏に19歳~34歳人口の53.9%が住んでいて、その55.2%が一人暮らしで、その24.2%が『住宅でないところで暮らしている』となると・・全体で19歳~34歳人口が約1000万人だから、単純計算で70万人を軽く超えるということになります。しかもこの「非住宅居住」、実は政府統計よりずっと多いとかそんな話もあるし、半地下もカウントしないので、なんというか、日本旅行がどうとかで盛り上がっている国の話とはとても思えない、そんな気もします。少子化問題がここまで話題になっている時点で、青年層・首都圏だけで70万人以上が住宅以外で居住しているって、どうよこれ、もう少し話題になるべきではないのか、などなど。いまさらですが。で、2023年7月30日の聯合ニュースからもう少し関連データが確認できました。以下、それを紹介して終わりにしたいと思います。こちらは全国、全年齢のデータになります。

<<・・30日(※2023年7月)、統計庁国家統計によると、昨年、オフィステル以外の「住宅以外の居所」世帯員は182万9000人で、前年(178万8000人)より4万1000人(2.3%)増えた。オフィステル以外の「住宅以外の居住」世帯員は2018年(199万5000人)を頂点に、3年連続で減少したが、昨年再び反騰した。昨年、住宅価格の下落にも貧困層の住宅環境問題はさらに重くなったのだ。一部では、昨年急激な金利引き上げによる家計負担の増加と、大規模ジョンセ問題(※伝貰保証金、家を借りる際に預けた保証金を返してもらえなかった)などが、零細自営業者や庶民を「住宅以外」に追いこんだ可能性があるという解釈も出している・・・・キムグァンソク韓国経済産業研究院経済研究室長は、「様々な理由があるだろうが、高金利に耐えられなかった零細自営業者、ジョンセ保証金払ったチャーター詐欺被害者などが住宅外に押されただろう」とし「政府政策は『住宅価格安定』より『住居の安定』にもっと重さを置かなければならない」と話した(聯合ニュース)・・>>

 

 

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