そういえば最近、出生児の数がやっと増加に転じたというニュースもありましたが、これは新型コロナの頃、もともと予定していた結婚を保留していた人たちが式をあげた影響で、まだ『流れ』が変わったのかどうかについてはなんとも言えないと分析されています。流れが変わるとしても、合計出生率が0.7台である以上、関連した議論はこれからも続くでしょう。そんな中、来年からは超高齢社会に進入するというデータも出ており、定年延長に関する話も増えてきました。聯合ニュースTVが長い記事を載せましたので、関連した内容を取り上げてみます。記事によると、やはり日本をベンチマーク(こう書いてあるわけではありませんが)するという話も出ているようです。個人的に、今の韓国としては、定年延長より『定年まで働けない人が多すぎる』が問題な気もしますが。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・2016年から我が国は定年を60歳に法制化しました・・・・労働者定年を法で明示して維持している国は、経済協力開発機構OECD国家の中では韓国や日本など数カ国に過ぎませんが、それでは、日本の状況はどうでしょうか。日本も法定定年年齢は60歳ですが、65歳まで雇用確保措置義務化が施行され、労働者が望むと65歳まで働くことができます。2021年からは、企業が従業員に70歳までの就職機会を確保するよう勧告する法案を施行しています。高齢化に伴う人手不足問題を解決するために、定年が過ぎた職員を70歳まで再雇用する動きが広がっているのです。
最近では、台湾も低出産による労働力減少の解法として、65歳の定年制度を廃止することにしました。韓国の国会に該当する台湾立法院は、7月、定年年齢を65歳に制限する内容を削除した労働基準法改正案を通過させました。これにより、65歳以上の台湾労働者は雇用主と交渉を通じて退職時期を延期できるようになりました。世界各国のこのような動きに合わせて、国内の政治家たちも動いています。「国民の力」は現在60歳の定年を2034年からは65歳になるように段階的に延長する法律を推進することにしました。国民年金受給開始年齢が遅くなることに合わせて、定年も延長しようという趣旨です。現在、国民年金受領時期は63歳。しかし、2033年には、受領時期が65歳になります。現在の60歳定年が維持されれば、定年退職時期と国民年金受領時期の間の不一致が3年から5年まで長くなることになります。
問題は、高齢労働者の定年が増えれば、青年層の雇用が減るという点です。青年たちは雇用市場が凍え付いた状況で定年延長議論が本格化すれば、そうでなくても難しい就職が、さらに難しくなるのではないか、と懸念されていて、このため世代葛藤を心配する声まで出ています・・・・ 60歳以上の就業者は9月基準で674万9千人で最高記録となりました。50代を超えて、全年齢帯1位になったのは初めてです。しかし、青年世代の雇用問題と繋がっているため、懸念も少なくありません。働く高齢者が増えると同時に青年就業者は23ヶ月連続減少傾向を記録しました。
求職をあきらめて休む(本ブログでも取り上げたことがありますが、ここでいう『休んだ』は理由もなく求職も仕事もしていない人たちのことです)青年も44万人余りで、44ヶ月ぶりに最大幅に増えました。就業が難しくなった雇用市場に定年延長議論まで本格化しながら、就職がさらに難しくなるのではないか、求職者たちの負担は大きいです・・・・世代間の認識の問題だけでなく、労・使の立場も相変わらずの状況です。労働組合側は一括的な定年延長を主張している一方、経営側は経済的負担を訴えています(聯合ニュースTV)・・>>
で、先も書きましたが、定年を延長するというのも重要だとは思いますが、韓国の場合、2つの点を考える必要があります。定年まで働ける人が少ないこと。そして、自営業者が多いことです。多くの調査で、定年というか仕事を辞める年齢は、49~51歳と出ています。2023年11月2日、毎日経済(毎経エコノミー)など複数のメディアが報じていますが、韓国経済人協会によるサンプル調査(40歳以上、949人)で、平均退職年齢は50.5歳でした。もっとも長く勤務した職場を基準にしたので、退職したとしても、どこか別のところに再就職できた可能性もあるにはありますが、そう多くはないでしょう。応答者の49.5%は50歳になる前に退職しているし、定年退職出来た人は、応答者の1割にもなりませんでした。「何歳まで働きたいですか」という設問には、平均で69歳まで、という結果になりました。
時期にもよりますが、全就業者の20%~25%が自営業者の韓国。その多くは、退職したあとの生活のために『事前の準備無しに』創業した人たちです。いま韓国の自営業者は減少しつつあるものの、それでもまだ527万人とされています。時期によっては600万を超えたりします。他の国でも彼ら自営業者のための対策は必要でしょうけど、韓国の場合は彼らの老後をどうするのか、その議論が重要になるわけですが・・そんな話はほとんど聞こえてきません。10月、「65歳以上」と「自営業者債務がある」人にかぎると、平均で債務が年所得の10倍になるというニュースもありました。また、政府・自治体が『ばらまいた』仕事で、『雇用』としてカウントされている大勢の高齢者たち(月給約2万円で、補助金なので賃金データにはカウントされません)。その数は約102万人ですが、この政策をいつまで続けるのか、というのも問題です。雇用データなどが急変するのでは。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。