韓国、大統領弾劾案は国会で否決(表決不成立)・・与党議員たちが表決に参加せず退場

ユン大統領の弾劾訴追案と、金建希(キムゴンヒ)大統領夫人の特別検事法について、国会本会議で表決が行われました。結果は、大統領夫人特別検事法は、否決でした。賛成198、反対102。国民の力が108人なので、6人も離脱(造反)票がありました。これはこれで興味深い結果です。注目されていた大統領弾劾案の場合、表決そのものが成立しなかったため、表記不成立(廃棄)になりました。ちなみに与党「国民の力」は、今日、大統領夫人関連特別検事法も、弾劾案も阻止するという党議を確定しました。

一部の重鎮たちが反対(とも受け取れる発言を)しましたが、今日の午前、大統領が『政局安定は党に任せる』などと話したことで、『弾劾以外にも、大統領を早期退陣させる方法はある』と判断したわけです。これは、共に民主党の李在明代表の裁判関連でも、弾劾よりは与党側に有利な判断です(時間稼ぎになる)。そして、弾劾案の表決のときには、国会本会議から退場すると事前に決めていました(表決直前に、複数のメディアが報じました)。実際、キムゴンヒ夫人特別検事法投票が終わった後、国民の力の議員たちは退場しました。

 

これは、大統領弾劾案の場合、可決には『総国会議員の3分の2以上が賛成』という条件が必要だからです。すなわち、賛成するかどうかはともかく、まず総議員の3分の2が参加しないと表決そのものが成立しないので、退場を決めたわけです。だから、詳しくは否決といっても「表決不成立」になります。表決不成立の場合、案はそのまま廃棄されます。弾劾案より先に表決が行われた大統領夫人の特別検事法には与党も普通に参加しましたが、これは、弾劾案とは異なり『総議員の過半数参加、その議員の3分の2が賛成』すると議決されるので、与党側が参加しないと、野党だけで議決される可能性が高いからです。

それに、もし国会表決の場に残っている人がいたら、「誰が表決に参加したのか(賛成したのか)」が分かるようになるので、もし弾劾に賛成していた議員でも、残るのは容易ではなかったでしょう。このようなやり方でなかったら、離脱票(造反)が結構あったかもしれません。党議になっているとはいえ、今回はさすがに。それでもアン・チョルス議員は、本会議場に残っていたというニュースもありますが。アン議員は、弾劾に賛成すると公言していました。ユン政権としては、「とりあえずなんどかなった」と言えなくもないですが、与党は「秩序ある早期退陣」としながら、何かの形でユン大統領の任期が早期に終わるようにするということなので、これからユン大統領の政治的な影響力は、ほぼ無くなったと見てもいいでしょう。個人的に、これで「60周年」なんとやらがちょっと静かになってくれるといいのですが。

 

共に民主党は、「またやる」という構えです。繰り返して同じ案を国会に上程し、何度でも表決を行うというのです。まだ弾劾案表決が行われる前の、聯合ニュースの記事です。 <<・・共に民主党は7日、ユン大統領弾劾追案が否決された場合、定期国会直後、臨時国会を開き、弾劾案を再発議することにした。イ・ジェミョン代表はこの日記者懇談会で「なるまで繰り返し推進するだろう」とし「その過程で与党国民の力はずっと反対するだろうが、この過程で国民の力がどういう政党なのか国民の前に証明されるだろう」と明らかにした・・・・パク院内代表も「もし国民の力が党議で否決させても、共に民主党は即時弾劾を再推進するだろう」と話した。元内代表は「(否決されるなら)12月10日が定期国会終了日だから11日になれば、即時臨時国会を開き弾劾を再推進できる」とした(聯合ニュース)・・>>

 

さて、本当に11日にまたやるのか。それはそれで見ものではありますが・・容易ではないでしょう。 本ブログ、明日は1日休みをいただきます。次の更新は、9日(月曜日)のいつもの時間、11時ころになります。あと、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は「自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

 

ちょっと追記・・ 総議員数200人にならない状態で表決に入ったという話を聞いて「否決(破棄)」と書きましたが、現在、「表決終了」を宣言せず、与党議員たちが帰ってくるのを待っている状況です。もともといた1人に、2人が帰ってきて、残り5人、とのことです。可能性としてはかなり低いですが、深夜(10日0時~1時)がタイムリミットなので、その前まで後5人が表決に復帰すれば、弾劾案が成立することになります。一応、追記しておきます

 

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