超高齢化社会に進入した韓国ですが、年金についての問題提起が相次いでいます。国民年金がちゃんとスタートしたのは、事実上2000年代になってからだと言ってもいいですが、2023年からはすでに加入者が減少しつつあります。若い人たちの間では、年金そのものが受け取れないのではないかという懸念も広がっていると聞きます。改革をするという話も出てはいますが、(こういう話になるとどこの国も同じですが)あまり進まないでいます。今回のソース記事ハンギョレ新聞(12日)で書いているのは、未加入・未払い・猶予など、「国民年金が適用されない人たち」が多すぎるのではないかという指摘です。制度が異なるのでまったく同じとは言えないと思いますが、日本で言う「1号年金」のような場合を韓国では「地域加入者」と言います。また、引用部分にはありませんが、会社が一定額を負担する場合を「事業場加入者」と言いますので、参考にしてください。
その国民年金ですが、18歳~59歳の人口の約3分の1、1000万人以上が未納・猶予状態だとの話です。ネットで検索してみただけですが、日本の場合、厚生労働省のデータで「令和5年基準で596万人」だそうです。国民年金の未加入・猶予といっても、人それぞれ事情があるでしょうけど、ソース記事は「所得が少なすぎる」などを主な理由としています。この前、ライダーが増えたという話をしましたが、事例としてインタビューした人も、フードデリバリーサービスのライダーです。少し前のデータですが、18~29歳の約39%がなんの年金にも(国民年金だけでなく、私的年金まですべて含めて)加入していないという毎日経済(2023年1月26日)の記事などもあるので、後で合わせて引用してみます。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・デリバリープラットフォーム経歴6年を含め14年間、配達労働者として働いてきたユンヨンウォン(41)氏は、一度も生国民年金保険料を出したことがない。不十分な収入に、保険料の負担も感じていたし、毎月の収入が一定ではないので、納付に対する負担はさらに大きくなった。年金受給が始まる24年後に受け取れる金額にあまり意味がないのではないかという懸念も、納付を躊躇する理由だ。ユン氏は「もし一ヶ月所得が、固定的に300~400万ウォンずつ稼げるなら(保険料を)出せるだろうが、安定しないので、負担になる」とし「(会社員のように)一定金額を企業が負担してくれるなら、加入を考慮するかもしれない」と話した・・
・・最近、国会が国民年金改革(出す金額と、受け取る金額の調整)を進めている中、国民年金の未納・猶予者たちをどうするのかについても議論が必要だとの声が出ている。国民年金に加入していないか、経済的な問題で、納付猶予・長期滞納などで保険料を払わない人々のことである。彼らは今後、無年金・低年金で十分な所得を保障されない可能性が高い。12日、国民年金公団によると、昨年6月基準で、国民年金加入から適用除外(未加入)されたり、加入したけど様々な理由、所得が低く、保険料が出せない人は、18~59歳の人口(3010万人)の34.4%(1034万人)だった。
具体的には、未加入者が674万人(22.4%)で、国民年金地域加入者(645万人)のうち失職などの理由で「納付例外」と認められた人々が287万人(9.5%)、長期滞納者が73万人(2.5%)だ。地域加入者の中で保険料を払わない加入者が半分を超えている。自営業者、プラットフォーム労働者・フリーランサー・特殊雇用職などは「地域加入者」の対象であるが、保険料負担などで未加入のまま残ったり、加入期間が短く、そのまま無年金・低年金受給者になってしまう・・
・・ユ・ヒウォン国民年金研究院研究委員は先月国会で開かれた「国民年金法改正案に対する公聴会」で地域加入者保険料支援を拡大し、特殊雇用、・プラットフォーム労働者の事業場加入者転換推進、青年に生涯初年金保険料を3カ月間支援する方案などを提案した・・・・ユン・ホンシク、インハ大教授(社会福祉学)は「国民年金は正社員雇用に基づいて作られた制度」とし「最近のデジタル技術の変化など労働市場の条件が柔軟化されるだけに、制度もここに合わせて変化して、未加入者などのる人々を包括しなければならない」と話した(ハンギョレ新聞)・・>>
<<・・(※問題は)若者の年金準備不足だ。18~29歳747万人のうち、国民年金、退職年金など1つ以上の年金に加入した人は456万人で61.1%にとどまった(※これは国民年金だけでなくすべての年金についてのデータです)。290万人が一つの年金も準備できていない状況だ・・・・30~50代の年金加入率は80%台を上回った。しかし、30代のうち93万人、40代121万人、50代135万人が国民年金はもちろん、何の年金にも加入していないことが分かり、老後の準備に深刻な穴が発生したものと見られる。国民年金に対する不安で加入せず、退職年金は住宅購入などのために引き出す(※不動産購入のために、退職金・年金を事前に引き出して使うこと)事例が多いためだ(毎日経済2023年10月26日)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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