まず、更新がいつもより大幅に遅くなって申し訳ございません。午後の更新などはいつもどおりに進めます。さて、昨日も少し書きましたが、韓国では造船分野が大きな話題になっています。米国が韓国に船舶(商用もですが、主に軍用艦艇が話題になっています)を作ってほしいと頼んでいる、というのです。詳しくは「日韓」ですが、韓国ではそういうことになっています。日本でもトランプ関税関連で多くのニュースが出ていますが、この造船関連の話、たとえば造船を関税交渉の一部として活用すべきだとか、そんな話は多くない気がします。韓国では4月になる前からかなり大きな話題になっていて、うろ覚えで恐縮ですがある専門家が「まるで米国がすべての船を韓国に頼るような、そんな勢いで記事が出ている」と批判したこともあります。
その造船関連で、「そもそも、米国はなぜ自力で作ろうとしないのか」という記事があったので、紹介します。東亜日報(30日)で、その主な理由はジョーンズ法だ、とも。ジョーンズ法(法案を発議した国会議員の名前から来た名称で、詳しくはMerchant Marine Act of 1920)とは、グーグルAIさんによると、米国の内航保護法です。米国の海運・造船業を保護する目的のものですが、米国内の輸送は事実上、米国籍の船だけに限定しています。これがかなりの「儲け」になって、輸出とか価格競争とか、そんなものは考えなくなった、というのです。いま、米国の軍艦は建造されてからかなり年月が経っており、もし台湾問題など、有事の際、どうするのか、という話が出ています。相手は、最新式の多い中国海軍。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・造船業は、単独では存在できません。大型船舶を建造するには、高品質の鉄鋼、超大型クレーン、船舶エンジンなど各種部品産業まで支えてくれなければなりません。巨大な重工業システムが必要なわけです。つまり、アメリカで船を作るというのは、高価な米国産鉄鋼を使って高い関税がかけられている物品、部品や資材に頼らなければいけません。英国ロンドン市立大学マイケル・タンバキス教授が「米国造船業を再び偉大にするのは、無意味で莫大な費用がかかる事業」と指摘する理由です・・・・米国の海軍艦隊規模は、冷戦終結後、半分に減少しました。軍艦の数で見てみると、アメリカはすでに中国より少なくなっています。現在、有人軍艦(軍需支援艦含む)保有数は米国295隻、中国400隻です。もちろん、航空母艦(米国11隻、中国3隻)と核潜水艦(アメリカ66隻、中国12隻)では米国がはるかに多く、質的には米国が上です。
アメリカ軍艦は、数が少ないだけでなく、老朽化もしています。中国軍艦は70%が2010年以降進水した新型なのに比べ、米国軍艦4台のうち3台は15年以上になったからです。この差をなんとかしなければならないという話は、数年前から海軍から着実に提起されてきました。台湾関連の有事の際の可能性が、さらにこの問題を浮き彫りにしました。米国海軍は最近、2045年までに軍艦を381隻に増やすという計画を公開しました。アメリカと中国戦闘艦の進水時期を比較してみると、1980年代と1990年代に作られた軍艦が多い米国とは異なり、中国はほとんどが2010年以降の船舶です。
あまりにも挑戦的な目標です。米国法では、外国造船所で海軍船舶を調達することはできなくなっています(ただし、大統領が免除できる)。アメリカの造船所は船を作るのが遅すぎで、費用も高価です。米国海軍のブレット次官補は議会で「(海軍船舶)の納品が約1~4年遅れており、費用は物価上昇率よりも早く上昇し続けている」と述べています。そう多くの船を作る能力も、人材も、アメリカには、事実上、ありません。米国が同盟国、特に韓国の造船業界に何度も目を向ける理由です。米国議会にはすでに同盟国造船所で軍艦を建造できるようにする法案が発議されています。ジョーンズ法を廃止しようという声もますます大きくなります。
しかし、業界の反対は強いでしょう。米国造船業協議会はもちろん、ハンティントン・インガルズ・インダストリー(米国最大の軍用造船所)、ジェネラル・ダイナミックス(米国潜水艦メーカー)など企業も、もちろんです。根深く関係に絡み合っている人々があまりにも多いです。果たして、トランプ政権は保護貿易主義の障壁で囲まれた米国造船業に、意味のある変化をもたらすことができるでしょうか。まだ多くが未定で、おそらくそれほど簡単ではないでしょう。それでも韓国造船業をめぐる期待感は大きくなっていく雰囲気です(東亜日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。