新しい政権がスタートすれば、政権交代だったかどうかに関係なく、「統合」を主張します。李在明大統領も、就任演説で3つのパターンの「実用」について話しましたが、その中の一つが、左右区別なしに統合を目指す柔軟さを意味する実用でした。でも、いままで、この統合がうまくいったことはありません。誰もが統合を望みながらも、対等な関係での統合ではなく、上下関係での統合を望んでいるからです。そのためにいつも司法が利用されます。実際、朴槿恵大統領の弾劾は左派からすると実によくできた「統合」でした。
最近は「光の革命」という、なにかのイルミネーションイベントみたいな呼び方をしているようですが、この「ろうそくデモ」は、保守の力を大いに弱体化させ、いつもの善悪論に持ち込むことで、大勢の人たちの支持を得ることができました。今回、尹錫悦前大統領も、同じ展開になるのではないか・・と、誰もが思っていますが。いまのところ、まだ結果が出たわけではないものの、「夫妻にダブル逮捕状」という主張が広がっています。そんなところですが、韓国の特検(特別法律まで作って特定事案を集中的に捜査すること)チームが、尹前大統領に逮捕状を請求しました。KBS、朝鮮日報などの報道によると、国務総理だった(権限代行もしばらくやっていましたが)韓悳洙(ハンドクス)氏も共犯として明記されているため、前国務総理にも逮捕状が検討されている、とのことです。
何度か書いたことがありますが、私は尹前大統領の戒厳令騒ぎは、憲法違反ではあったものの、別に内乱などではないと見ています。朴槿恵さんのときも、いったいなんで弾劾まで行ったのかいまでもわかりませんが。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・内乱特検チームは先週末の2回目の調査を終え、ユン前大統領に対して事前拘束令状(※逮捕状)を請求しました。特検捜査開始18日ぶりのことで、3月にユン前大統領に対する裁判所の拘束取消決定以来のことです。拘束令状に含まれた容疑は、職権濫用、権利行使妨害・虚偽公文書作成、特殊公務執行妨害など大きく3つあります。特検はまずユン元大統領が国務会議の定足数を満たすために特定の国務委員だけ召集し、他の委員の審議権限を妨害したと見ています。
また、虚偽で戒厳宣布文を作り、韓悳洙前国務総理などの署名を受けるなど、違法性を取り除こうとした疑いも、拘束令状に盛り込んだようです・・・・ユン前大統領が戒厳の名分を作るために平壌に無人機を浸透させ、北朝鮮と武力衝突を誘導したという「外患誘致」の疑いは、今回の令状には含まれていません(KBS)・・>>
<<・・ジョウンソク内乱特検チームは6日に請求したユン前大統領に対する拘束令状(※逮捕状)で、「事後の戒厳宣布文」作成・廃棄に関連して韓悳洙前国務総理を共犯と摘示した。特検は、ハン前総理に対しても拘束令状請求を検討中だという。特検が請求したユン前大統領拘束令状を見ると、カンイグ前大統領室付属室長は、戒厳が解除された翌日の昨年12月5日、キムジュヒョン当時民政首席から、「大統領の国法上行為は、文書にしなければならない」という言葉を聞いて、新しく宣布文を作成し、それから国務総理と関連国務委員たちが、宣布文を作成した韓悳洙首相とキムヨンヒョン前国防部長官から署名を受けた、と調査された。
この宣布文には、大統領・国務総理・国防長官署名欄が含まれている。ところが、戒厳宣布当日(昨年12月3日)、キムヨンヒョン前長官が国務会議で配布した最初の宣布文には、首相と国防部長官の署名欄がなかった(朝鮮日報)・・>>
簡単に言うと、署名もなにも受けずに宣布文を作ったけど、「ダメですよちゃんとした文書でないと」と言われ、戒厳令が解除されたあとに新しいものを作って、国務総理や国防部長官の署名を受けた、というのです。明らかに虚偽で戒厳宣布文を作り、ハン前総理もそれを知ってサインしたことになります。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。