いわゆるトランプ関税関連で、大きな動き(評価のほどはともかく)が相次いでいます。ウォール・ストリート・ジャーナルとフィナンシャル・タイムズの報道によると、EUも15%で合意する動きを見せている、とのことです。どちらも会員記事ですが、FTが「US and EU close in on 15% tariff deal」、WSJが「EU Seeks 15% Baseline Tariffs in U.S. Trade Deal」というタイトルです。引用報道している韓国のアジア経済(24日)によると、日米が15%で妥結したので、EUも15%を受け入れることにした、すなわち「それ以上は下がらない」と判断した、とのことでして。本当なら、石破総理、合意発表のときにEU首脳たちから「ぐぬぬ、あと1%頑張れなかったのかよ」と言われていたかもしれません(笑)。
で、その影響なのかどうかは分かりませんが、25日に予定されていた韓国と米国の関税交渉、いわゆる「2+2」(通商・財務)交渉は、キャンセルになったとのことです。聯合ニュースなど複数のメディアは、丁寧に「米国側から何度も了解を求めてきた」と報じています。しかし、アジア経済は「(韓国側の)出国1時間前にEメールで通知が来て、理由も書かれてなかった」と報じています。このパターン、G7でトランプ大統領が早期帰国したときにもまったく同じでした。実は米韓首脳会談の時間までちゃんと決めていたのに、米国側から何度も了解を求めてきた、と。確かにドタキャンになったならちゃんと事情を説明するのが礼儀ってものですが、同じパターンが続くと、ちょっとどうかな、な気もします。日本、EUと続くなら・・やはり気になるのは中国です。さて、どんな条件を出すのでしょうか。トランプ大統領は「ほぼまとめに入っている」としていますが、この人の発言、実は逆になることが多いので、どうかと。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・ドナルド・トランプ米大統領は23日(現地時間)欧州連合(EU)と貿易交渉が真剣に進行中であり、中国とは交渉が仕上げ段階だと明らかにした。 EUとの関税交渉は、前日に締結された日本との交渉のように、EUに15%関税をかけるラインで仕上げられるものと見られる・・・・米国が8月1日の相互関税発表を控えて最後の交渉にスピードを出している中、25日に予定された韓米間の「2+2財務・通商交渉」は、米国側の要請で突然延期された。この日、フィナンシャルタイムズ(FT)とウォールストリートジャーナル(WSJ)は、米国とEUの関税交渉も妥結が近づいており、15%関税になる見通しだと報道した。WSJによると、EU関係者たちは15%関税率に同意する米国側と潜在的合意条件を議論しているという。
FTは情報筋を引用し、EUが8月1日から30%に関税が引き上げられることを避けるために、15%水準で関税交渉に同意する可能性があると述べた。また、EU執行委員会がこの日、加盟国に同じ内容のブリーフィングをしたとも明らかにした・・・・両側がこのような内容に合意すれば、前日発表した日米貿易協定と同様の水準で仕上げられることになる。情報筋は、日米の協定締結で、EUが渋々この内容を受け入れたと伝えた。15%が最低ライン、ガイドラインになった形だ。ただ、終盤に交渉がうまくいかない可能性も残っている・・
・・トランプ大統領は「すべての国と交渉することはできないため、一部の国には非常に簡単な関税を適用するだろう」とし「15%から50%の間になるだろう」と明らかにした。ブルームバーグ通信は、すでに交渉を締結した少数の国以外の国に、より積極的に関税をかけようとするサインだと説明した・・・・「それ以外」の国に属する韓国の立場では、ことを急ぐ必要がある。25日、ワシントンDCで予定された韓米間の「2+2財務・通商協議」が、突然取り消されたためだ。米国側がベッセント長官の緊急な日程で、会議を延期するという通報を、この日に(※韓国側の代表団が)出国する1時間ほど前に電子メールで配信したと伝えられた。
企画財政部は24日、メディア発表を通じて「米国と予定された25日2+2交渉はベッセント長官の緊急な日程により開催できなくなった」とし、「米国側は、早速近い内に開催しようと提案し、韓米両側はできるだけ早く日程を決める計画だ」と話した。米国側はこの日午前9時ごろに電子メールでこのようなキャンセル通知を伝えながら、正確な理由を明らかにしなかった。副首相はこの日午前、仁川空港で米国への出国を待っていた間、このようなニュースに接したことが分かった。政府関係者は「米国側は、具体的な事情は明確に明らかにしなかった。詳細は把握中だ」としながら「米国側は早いうちに開催しようと提案し、韓米両側はできるだけ急いで日程を決める計画だ」と説明した(アジア経済)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。