昨日もお伝えしましたが、米韓の関税交渉のための通商・財務2+2会談がドタキャンされました。それでも韓国側の代表団は訪米、ベッセント財務長官、グリアー貿易代表は参加しなかったものの、ラトニック商務長官とは会談を進め、「期限内の妥結」を再確認したとのことです。いまのところ、具体的な話は聞こえてきませんが、もともと「急に」合意したというニュースが流れたりするので(日米の場合は参議院選挙前にすでにほとんど終わっていたのではないかという話もありますが)、本当に期限内にできるのか、そこが注目されています。そんな中、京郷新聞(24日)の報道によると、米国側は韓国側に、4000億ドルの投資を要求しました。元はブルームバーグの記事です。
記事によると、日本にも最初のうちは4000億ドル投資を提示し、それから日本側からいくつか要求があって、「じゃ、5500億ドル」ということで、55000ドルまで金額が上がった、となっています。米国側が上げたのか、日本側が上げたのか(その分、別のところで有利な条件を取った)までは分かりませんが、記事内容だけだと、韓国側にも似たような条件を出した、ということになります。昨日も「(EUなどが)日本が15%になったことで、それを最低ラインと見るようになった」というWSJ、FTの記事を紹介しましたが、どうやら「日本のやり方」がガイドラインのようになった、そんな気もします。
昨日の朝のソース記事だった韓国日報の記事(24日、「私たちのほうが有利だ」という記事)を振り返ってみると、記事は全般的に「韓国の方が有利である」という主張でしたが、「日本のように大きな資金を米国に投資するのが容易ではない」、「米の市場開放も難しい(日本とは異なり、韓国は2019年の関税率交渉の結果に応じて、国別に低率関税割当制を通じて輸入する輸入米の規模を定めたため、米国産の輸入量を増やせば、他の国々の分を再調整しないといけない)」などの指摘がありました。さて、そのような投資を履行(約束ではなく、履行)することができるのか。気になるところです。
近い内にEU、中国ともなにか進展が発表されるという話もありますが・・先も書きましたが、トランプ関税って「事前の予想があまり当てにならない」場合も多いので、まだまだ長引く可能性もあります。どうせウィン・ウィンなどできないものなら、せめて対中関税がどうなるのか、そこが気になるところですが(経済安保部門だけでも厳しくしてほしい)。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国政府が、ドナルド・トランプ米行政府との通商交渉の一環として、米国に投資するファンド設立を議論しているとブルームバーグ通信が23日(現地時間)報道した。ブルームバーグはこの事案に詳しい情報筋を引用し、韓国と米国間の交渉の焦点が、韓国産自動車を含む関税率をトランプ大統領が予告した25%から15%に引き下げる方に合わせられているとしながら、このように伝えた。ブルームバーグはハワード・ラトニック商務長官が韓国との協議過程で対米投資額として4000億ドルを提案したと、情報筋を引用して明らかにした。これは当初、米国が日本に提示したのと同じ金額だ。トランプ大統領は日本代表団との交渉の終盤でこれを5500億ドルに引き上げたと言われている。
この情報筋はまた、日本がボーイング航空機や農産物など米国産製品を購入したのと同じく、韓国も核心分野での追加購入の約束を含める可能性があるという。ただし交渉はまだ流動的だという。ブルームバーグは、このような韓国側の交渉の進行方向が、日本の対米貿易合意締結方式と類似していると述べた・・・・ブルームバーグは、「日本が自動車を含む関税率を15%に引き下げ、米国と合意したことは、韓国に大きな負担になった」とした。韓国が日本と同様の合意を成すことができなければ、グローバル自動車販売競争で遅れる可能性があるからだ。ブルームバーグは対米投資を含む交渉方式について「日本の経済規模は韓国の2倍以上あるため、同じ金額を約束するのは韓国には大きな負担」と述べた。ホワイトハウスと韓国産業通商資源部からはコメントが得られなかった、という(京郷新聞)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。