米韓の大規模合同軍事演習である「乙支自由の盾」(UFS、乙支フリーダムシールド)において、機動訓練の半分が延期となりました。9月にやるとのことですが、本当に9月にやるのでしょうか(ソース記事の引用部分にも、この点に疑問を提起する内容があります)。また、共同発表文書に北朝鮮核・ミサイル問題についての記述もない、とのことです。ソウル新聞(7日)、プレシアンなど(7日)が、「半分以上が延期」「『北朝鮮』がない」などと報じています。特にソウル新聞は7月30日にも「~な話がある」と記事を載せ、鄭東泳 統一部長官が、8月中旬に予定されている米韓共同演習の「調整(縮小、延期など)」を大統領に提案したと報じました。
また、「鄭長官のこの発言(大統領に提案したという発言)は、金与正 北朝鮮労働党副部長が韓米連合訓練を『北朝鮮を攻めるための大規模合同軍事練習』と非難する談話を出してから、わずか9時間後のことである」、とも。あのときは「日程がほぼ決まっているので、可能性としては高くない」としていましたが、なんと半分以上が延期(事実上の縮小になるのではないか、な気もしますが)となりました。物凄いスピードで話し合ったと思われます。なんか、急に文在寅政権のときに戻ったような雰囲気です。トランプ大統領は北朝鮮との会談にも可能性を示しているし、北朝鮮も、核保有国という前提のもと、「それ以外」なら会談してもいいというスタンスです。ただ、実現できるのかどうかはまだなんとも言えないし、文政権のような「運転者論」(仲介外交)が成立する可能性は、さらに低いと思われますが。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・米韓両国は、合同軍事演習である乙支フリーダムシールド(UFS)を予定通り実施するものの、野外機動訓練を9月に進めることに決めた。これに対して統一部高位当局者は、訓練が一定部分調整されたとし、米韓合同軍事演習も朝鮮半島の緊張緩和に寄与してほしいという立場を明らかにした。これに先立ち鄭東泳 統一部長官は就任直後の先月28日、米韓合同軍事演習の調整を提案するという立場を明らかにしたことがある。彼は訓練の変更や調整までは日程がきびしいという指摘に対して、「政府の意志に応じて調整は十分に可能だ」と強い意志を示した。鄭長官がこのように訓練調整を強調したのには、韓米連合軍事訓練がこれからの南北関係に影響を及ぼす要因という判断があったためだと見られる・・
・・(※北朝鮮金与正副部長の談話内容について)鄭長官は「まだ南北間の信頼が足りない、まだ不信の壁が高いと思う」と評価し、「おそらく8月、韓米合同軍事訓練が(今後南北関係に)一つの尺度になるのではないか」とし、訓練の調整に言及してきた・・・・韓米両側が一部の野外起動訓練を9月にするだけで、北朝鮮が韓国との対話に乗り出すのは不確実だ。訓練を一時だけ遅くなるだけで、既存と同様の規模の訓練を実施すれば、この決定が北朝鮮を動かすほどの誘引策になることはできないだろうという評価が出ている(プレシアン)・・>>
<<・・米韓合同軍事演習「乙支自由の盾」(UFS)の練習が18~28日に行われる。韓米両国は規模を例年と同様に維持するが、当初企画された野外機動訓練(FTX)40余件のうち20余件は9月に延期することにした。政府の対北朝鮮宥和政策が続いている状況で、朝鮮半島の緊張緩和のために日程が調整されたと分析される。先月28日、鄭東泳 統一部長官は、金与正北朝鮮労働党副部長が韓米連合訓練を非難した後、李在明大統領に訓練の調整を提案すると明らかにした。今回の調整決定で鄭長官の提案が受け入れられた形になった・・(※暑さ対策という話もあるが)・・しかし統一部高位当局者はこの日、FTX延期が統一部提案による調整であるという立場を明らかにした。この当局者は「前にも申し上げたとおり、緊張緩和と平和・安定が統一部の目標でもあり、李在明政権と大韓民国の目標」とし「韓米訓練も朝鮮半島の緊張緩和に寄与することを願う」と話した。
この日、韓米発表文には「北朝鮮」が言及されなかった。通常、軍事演習シナリオを説明する際、北朝鮮に言及するが、今回の発表文には「最近の戦争を通じて分析された戦訓など現実的なリスクを反映」という表現が盛り込まれた。昨年UFS演習の時は「強くなる北朝鮮のミサイルリスク」、「北朝鮮の大量破壊兵器対処」、2023年には「高度化する北朝鮮の核ミサイル能力」、「対・北核態勢」などの表現が発表文に入っていたことと、対照される。米韓は、しかし、北朝鮮のリスクへの対応が軍事演習の目標だという点は変わらなかったと強調した(ソウル新聞)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。