韓国保守派議員「日本と同じ15%というけど、ディテールを見てみましょう」

日本の自動車関税を15%にするのは、「イギリスの事例が一つの基準になる」という発言がありました。赤沢経済再生担当相いわく「べっちゃん」、スコット・ベッセント米財務長官の発言です。イギリスの場合、50日はかかったので、いま大統領令を修正したり関税を下げたりするのに50日前後はかかる、との意味です。どれ、本当に遡及適用されるのかどうか、ちょっと見てみたいところです。で、今回の「15%か、15%追加か」の混線が発生したことで、韓国では相当な数の記事が出ていました。ある地上波放送は「韓国は微笑んでいる」と報じたりもしました。また、15%で合ってるという流れになってからは、複数のメディアが「韓国と同じ15%になるなんて」なニュアンスの記事を載せたりもしました。

なんか、日本をベンチマークするとかいって長官が訪米の前にわざわざ日本に来たりしていましたが、いつから「韓国と同じ」になったのか。読んでいてちょっと笑ってしまいました。思わしくない意味での笑いですが。ちなみに、特例措置(15%)適用が明記されていないのは、日本だけでなく韓国も同じです。一部では「じゃ、私たちは特例措置をちゃんと受け取れたのか」という疑問も提起されましたが、そこは、確実に受け取ったかどうかはわからず、ただ、米韓FTAがあったのでいままで事実上関税0%だったので、15%追加でもあまり変わらないという見解が出ています(確実に特例措置が受けられたとは言っていない)。




前にも本ブログで取り上げたことがありますが、実は同じ15%でも、いままでの米韓FTAにより、たとえば自動車部門だと約5%分、有利な立場にあったと言われています。日本は2.5%の関税で、韓国は0%だったからです。これが、実際には約5%分の価格競争力につながっていた、という指摘です。日本が「15%じゃない」と言われるようになってから、この部分についての記事が一気に消えたのも、笑えるといえば笑えるのかもしれません。今日は、7月31日のマネートゥデイのものですが、韓国保守政党「国民の力」の、羅卿瑗 議員の見解を紹介します。国会議員訪問団の一員として訪米し、「結局は中国関連の話になる」としながら中韓関係について何度も指摘しましたが、ほとんど話題にはなりませんでした。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・(※関税交渉妥結直後の時点の記事です)韓国と米国が韓国産製品に対する関税を15%とし、3500億ドルを米国に投資する内容の交渉を妥結したことについて、ナ・ギョンウォン国民の力議員が「重要なのはディテールである。日本と同じ15%の関税に『合わせた』が、内容を見れば残念だ」と話した・・・・議員は31日、ソウル汝矣島国会疎通館で記者会見を開き、韓米関税交渉の結果について「表には数字が(※15%に)合わせられたように見えるが、細かい部分を見なければならない」とし「自動車産業の場合輸出競争力に影響を受けるだろう」と評価した。




議員は「数字を合わせたとはいえ、自動車だけみても、日本にはすでに2.5%の関税があった。私達は韓米自由貿易協定(FTA)により無関税だった」、「鉄鋼の場合、品目関税が50%に維持された。大韓民国の輸出主力産業は自動車、鉄鋼、半導体、造船業だ」とし「この点で産業に大きな影響は打撃は避けられない」とした。1500億ドル規模の造船業投資と2000億ドル規模の半導体・原子力分野の対米投資を約束したことについても、議員は「内容の裏面を見なければならない」とした。議員は「米国商務長官がファンド収益の90%を持っていくと言った。隠れている不均衡問題があるのではないかという考え」と主張した。

また、議員は今回の関税交渉に加え、ともに民主党が推進する「黄色い封筒法」(※いろいろ労働組合に有利な法案とされています)・商法改正案・法人税引き上げ法案が通過すれば、国内の「産業空洞化現象」が加速するだろうと話した。員は「黄色い封筒法が施行されれば、『海外工場建設』に反対する労働者たちの争議が可能になる」とし「米国政府がこれを知らないはずがない。産業空洞化は大韓民国の雇用がなくなることを意味する」と話した。先週、与・野党議員13人と訪米した議員は、「米国の関心のある部分は、非関税障壁」とし「米、濃畜産物開放とオンラインプラットフォーム法」とした。また、「彼らが結局、最後には『中国との関係』を話した」とし、「『関税』より『関係』がより重要だという議員もいた。残念なことは、李在明政権が『シェシェ政権』と言われている点だ・・」(マネートゥデイ)・・>>

 




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