多くの外交イベントが行われていますが、韓国では「日本では、『なんで(対米関税交渉で)韓国に完敗したのか』と世論が爆発している」という記事が出ています。原文ママで、引用ソースは地上波放送局SBS(30日)です。他にもソウル経済などが「日本では『さすがは韓国』『完全にまけた』などの世論が~」と報じるなど、複数のメディアが報じています(笑)。李在明政権としては、大健闘したのは事実です。ただ、韓国メディアの中でも「とりあえず助かったけど、ここまで大きく称賛されることだろうか」と指摘するメディアがないわけではありません。また、これからまた別の記事を引用しますが、すでに「そんなこと言ってない」が何件か出ています。中には、韓国にとって重要な農産物開放、半導体関連関税なども含まれています。
で、「世論」ってなんなのかというと、「オンラインでは~」です。すなわち、「ネットにそう書かれている」ということです。それ以外の内容は、記事には書かれていません。日本の場合、関税関連の対米投資がかなり具体的になってきたし、特にラトニック長官が「日本の投資はリスクゼロ」と日経新聞に話すなどいろいろあって、(そもそもトランプ関税そのものを肯定するつもりはないものの)今まで知られていたものよりは良い方向に話が進んだと言えるでしょう。日米首脳会談全体で見ると、日米関係で安倍元総理の時代が戻ったようで、個人的にもよかったと思っています。ここでもし「完敗」という言葉まで出るなら、それは単に「高市政権に対して、なにがあってもなにかよくないことが言いたい」という意見ではないでしょうか。
公明党の連立離脱も、「政治と金」問題を主張しながらも、実は「高市早苗さんが総理になったからではないのか」というところだったとしか思えませんが・・それに似ているようなものでしょう。それに、少し前までは「私たちは日本ほど余裕がないので」を全力でアピールしていたのに、こうもスタンスが変わるのか、と驚きです。そんな中、トランプ大統領が急に「韓国の対米投資は6000億ドル」と言ったのは「いつものこと」としても、ラトニック長官など担当者からも「今回の話に半導体関連関税は入っていない」「韓国が100%の市場開放を約束した(長官ははっきり言っていませんが、JTBC、京郷新聞などは『農産物市場のことだ』としています)」と話したことで、問題が起きています。それぞれ、韓国政府は「半導体は台湾などと同じ最恵国待遇」「農産物市場などは解放しない」と公言していたからです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・後になって「私たちの交渉はなんでこのありさまなのか」「韓国に完全に負けた」、日本の世論が爆発(※題)・・・・日本の世論は激しくなっています。オンライン上では「負けた。完敗だ。外交敗北だ」から「さすがは韓国。日本は最初から交渉を放棄して防衛費を献納する方式だ」、「日本メディアは日本と韓国の合意内容を徹底的に比較し、前政権の失敗を分析して再交渉するよう促すべきだ」という文が上がってきました。日本のメディアも李在明大統領がトランプが好む金色を利用して合意に成功したと一斉に報じましたが、右側の産経新聞は「トランプ大統領に押されて合意した形だったので不安要素がまだ残っている」と指摘しました(SBS)・・>>
<<・・ハワード・ラトニック米商務長官はSNSを通じて、米韓貿易合意の主要成果を公開しました。目立つのは、「韓国が市場を100%完全開放することに合意した」という文章です。韓国政府が「農産物市場は開放対象ではない」と説明したものと、話が異なります。【金容範 大統領室政策室長(昨日)「問題になっていた米国産牛肉などを含め、農業分野での追加的な市場開放を、徹底的に防御することができました」】。ラトニック長官はまた、政府発表とは異なり、「半導体関税は今回の合意に含まれていなかった」とも書いています。議論が大きくなると、大統領室は、同じ内容を再度明らかにし、「台湾と同等の立地を確保できたし、それは不確実さを無くした交渉の結果である」と強調しました。
また「発表内容は、両側の合意に基づいたものだ」とし「関連文書の仕上げ方を現在、検討中だ」と発表しました。トランプ大統領も、ソースがあいまいな内容をソーシャルメディアに掲載しました。韓国が米国に3500億ドルを支払うことに合意したとし、「韓国の裕福な企業とビジネスマンが米国に投資する金額は6000億ドルを超えるだろう」と主張しました。しかし、どうやって6000億ドルになるのかは説明していません・・・・公式文書に署名するまでは、安心できないという観測が出てきます。これに先立ち、7月に米国と大きな枠組みで合意した時にも、投資規模と条件が文書で明確に整理されておらず、そのあとに詳細を調整してきた状況です(JTBC)・・>>
前回と同じく、「詳細に文書化されておらず、署名もされていない(日本の場合も、署名するまで自動車関税25%などが続きました)」状態なので、これからまた署名までは時間がかかる可能性もあります。しかし、農産物開放問題では7月にもまったく同じことがありました。確か、トランプ大統領が「完全開放」と、韓国政府は「追加開放無し」、と。今回も同じ流れで、しかもラトニック長官が言ったとなると、ちょっと気になります。裏の合意はしないというのが李政権のスタンスでしたが、なにかあったのでしょうか。京郷新聞なども「100%開放とは、農産物市場のことだと思われる」としながら、主に左側のメディアが懸念を示しています。とにかく、SBSの記事を含めて、「韓国らしい」といえる展開でした。
で、火曜日に休んだばかりなので実に恐縮ですが・・今日の更新はこれだけで、このまま明日も休みをいただくことになりました。次の更新は、11月2日(日曜日)の11時頃になります。高市総理の日中首脳会談が行われるとかそんなニュースもありますし(議題を調整できる時間もなかったでしょうし、日韓首脳会談のように挨拶だけになる可能性も高いですが)、関連した案件は、コメント欄を使ってください。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
 
  ・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。
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