ダリル・カードル米海軍参謀総長が韓国を訪問しました。大型造船所を訪問するという日程もあって、一時は、「李在明大統領の功績により、米韓造船協力のために来たのか」とされていましたが、彼は「韓国で戦艦を作るには(規則など)複雑な問題がある」「原子力潜水艦は対中戦力になるのが当然の流れ」などと話しました。別に協力しないとは言ってないものの、韓国で期待されているのとはかなり異なる内容です。特に原子力潜水艦の場合、対中戦力になるということで、ソウル新聞(16日)、中央日報(16日)などが「プレゼントではなかった」「ただ(無料)ではなかった」というキーワードで記事を載せています。言い換えれば、プレゼントだと思っている人が多い、ということでもありましょう。
そもそもこの件が最初に出てきたのは、今の潜水艦では中国・北朝鮮の潜水艦に対応できないという話からです。李大統領がトランプ大統領に直接、公開的に話しました。そこから大統領室が「中国の潜水艦という意味ではなく、中国側の海域にある潜水艦という意味でした」と、明らかに中国を意識したブリーフィングを行ったりしました。ひょっとして、それですべてクリアーできて、潜水艦はプレゼントだと思っているのでしょうか。というか、いま米国の造船所に韓国が投資して、そこで建造したものを購入することにならないか、という指摘も出ていますが、もしそうなったら世界史に残るのど高いプレゼントになるかもしれません。
なにより、高市総理の発言などで、「台湾と韓国は無関係」という論調がかならい強くなっている今日この頃。このタイミングで米海軍参謀総長が「台湾有事の際は戦力総動員となり、具体的に言うことはできないけど、韓国軍も間違いなく何かの役割が与えられることでしょう」と話したのは、韓国側としてはかなり気まずいことではないでしょうか。以下、ソウル新聞から<<~>>で引用してみます。
<<・・「無料の原子力潜水艦」はなかった。ドナルド・トランプ米大統領には計画があった。14日、ソウル某所で内外の記者たちと出会ったダリル・カードル米国海軍参謀総長は、韓国が原子力潜水艦建造の推進を公式化したことについて、「その潜水艦が中国を抑制するために活用されるというのは、自然な予測である」と話した。韓国の原子力推進潜水艦はただのプレゼントではなく、「中国牽制用」だったという話だ。韓国を対中圧迫の核心パートナーとして固めようとするトランプ大統領の構造が見えてくるところだ。カードル総長は「米国は同盟と協力して核心競争的リスクとなるである中国関連の共同目標を達成することを、期待している」とし「韓国も、相当部分、中国に対する懸念を共有していると考えている。それは戦略的計算に含めなければならない要素だ」と話した。
先立って李在明大統領は先月29日、米韓首脳会談で原子力潜水艦の必要性をドナルド・トランプ米大統領に説明しながら、北朝鮮だけでなく中国についても直接言及したことがある。直後、大統領室は「特定国家の潜水艦を指したものではない」と火消しに乗り出したが、中国は外交チャネルを通じて韓国に懸念を表明した。カードル総長はただ、「韓国が自国の主権資産である艦艇を、国益によってどのように運用しても、米国が関与したり制限する事案ではないだろう」とし「韓国が原子力潜水艦を自国周辺海域で運用し、その環境で韓国潜水艦と共に私たちが活動することも十分可能だ」と付け加えた・・
・・カードル総長は最近、西海(※黄海)構造物など中国の「灰色地帯挑発」に対しては、「そのような行動を放置すれば、時間が経つにつれ、そのような行動が『正常のもの』とされる危険がある」とし、一定の線を越える場合、韓国と共にしっかりと対応すると明らかにした。彼は「台湾有事の際、駐韓米軍や韓国軍が役割を果たさなければならないと思うか」という質問には、「強大国間の衝突が生じれば、戦力総動員に近い状況になる」とし、「具体的にどのような方式になるか言うことはできないが、明らかに一定の役割はあるだろう」と話した。
最近、北朝鮮の海軍力増強については「米国に脅威となる水準ではないが、韓国に対しては脅威を加える能力を備えている」とし「規模は小さいが、核弾頭搭載能力を備えた潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)戦力を確保する方向で、戦略的抑止力を備えようとしている」とした。一方、カードル総長は韓国内で米海軍の戦闘艦を建造する問題について「規制により複雑な問題だが、私はこの問題を検討し続けなければならないという立場だ」と話した(ソウル新聞)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。