個人的に、日韓(国交正常化)60周年が終わるというのは大きな意味があると思っています。本ブログの読者の方々もそうですが、韓国関連情報に興味をお持ちの方なら、去年から今年上半期あたりまで「60周年だから~」というニュースを無数にご覧になったことでしょう。実はこれ、文在寅政権から始まりました。日本と「新しい共同宣言」をするという話が出てきて、その論拠が「60周年だから」でした。これがなぜ韓国側にとって意味を持つのか、それは、いわゆる謝罪反省表現において「新しいもの」が手に入るからです。安倍元首相のいわゆる安倍談話が出たあたりから、「新しい」表現がなくなりました。既存のものを継承するという話だけになりました。
「関係改善」で盛り上がっていた岸田文雄首相の頃にも、こればかりは韓国側の思う通りにいきませんでした。個人的に石破茂首相の頃が一番心配でしたが、少なくとも公式な会談などでは、「おニュー」はありませんでした。個人的にこれに関連した記事の中でもっとも記憶に残っているのが、2024年9月12日の中央日報の記事で、尹錫悦大統領(今はもう別の人が大統領ですが)が日本を国賓訪問し、今上天皇から(相応の表現が入っている)御言葉をいただけば、日本の政治家たちはそれによって「負担が軽くなる」から、すぐ韓国が望む流れを作ってくれるだろう、という記事です。今日、久しぶりにもう一度引用したくなりました。
で、昨日、18日が(基本条約から)60周年の日でした。高市早苗首相がコメントを出しましたが、出てきたのは「多くの交流をしているから~」「海苔と化粧品~」でした(ニュース1、18日)。もちろんこれはこれで親しいイメージを強調したことにもなるとは思いますが、交流もそうですが海苔と化粧品ネタはすでに出ていたもので、個人的に、「あ、御言葉の話まで出ていた壮大なプロジェクトが海苔と化粧品で終わった」な気もします。以下、各紙、<<~>>で引用してみます。去年の記事もあるので、日付にはご注意ください。
<<・・彼らに必要なのは責任を避ける手段なのだ。それを知って、粘り、強く押せば、後ろに下がるのが日本だ。よく言えば、言葉が通じる国だ。いつも高圧的な北朝鮮や中国とは違う・・・これは日韓外交にも示唆点を与えてくれる。ユン政権になってから、両国関係の大きな枠組みは劇的に変わった。システムが確変したわけだ。しかし、外交現場のマニュアルはそのままだ。すぐに国交正常化60年を迎える来年が問題だ。韓国は1998年の金大中・小渕宣言に次ぐ画期的共同宣言を希望している。しかし、日本はそれほど積極的ではない・・・・じゃ、どうすればいいのか。彼らの責任を軽減させながら、同時に代替案を設けるようにする「押す」が必要だ。私は、それこそ、日本がユン大統領を国賓招待することだと思う・・
・・韓国大統領の国賓訪日は全斗煥(1984年)、盧泰愚(1990年)、金大中(1998年)、盧武鉉(2003年)以後なんと21年も行われていない状態だ。何より、来年に22年ぶりに国賓訪問をすることになれば、天皇(※珍しく、記事には天皇と書かれています)との出会いがなされ、この時「オコトバ」と呼ばれる天皇の両国関係に対する発言が出てくる。天皇の話す歴史関連発言は重さがまったく異なる。また、自然にそれに合わせて両国政府間にも共同発表文が出てくる可能性も大きい。それでもできなかった言葉があれば、日本議会での演説でできる。一言で、形式や責任面では日本の外務省や政治家たちが半歩後ろに下がることができ、私たちとしては60周年にふさわしい結果物をほとんど得る形になるだろう(中央日報)・・>>
<<・・高市早苗 日本首相が18日、韓国と日本の国交正常化60周年を迎え、両国関係の強化を強調した。高市首相は同日、ソーシャルメディアX(旧ツイッター)で「今日12月18日は日韓基本関係条約の発効60周年」とし「60年間、日韓間で多様な交流と協力が積み重なり、特に国民間交流が現在の良好な日韓関係を裏付けている」とした。首相は「アジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議と主要20カ国(G20)首脳会議を機会に李在明大統領に会った」とし「国交正常化以来、これまで積み重ねた日韓関係を基盤に日・韓関係を未来志向的に安定的に発展させていこうと意見を共にした」と説明した。
続いて「現在、厳重な戦略環境で地域と国際社会の多様な課題に対して日韓が協力して対応することが重要だ」とし「正常間のシャトル外交で関係をさらに深く発展させることを期待する」と強調した。高市首相は「就任記者会見でも発言したことがありますが、李大統領から素晴らしい(韓国)化粧品プレゼント受けてとても嬉しく思う」と明らかにした。また「最近、日本人の友達から好きな韓国の海苔のプレゼントをもらうことが増えた」とした(ニュース1)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。