韓国、本格的な経済低成長期に進入か・・2023年の実質GDP成長率1.4%(日本の予想値1.5%)

韓国の2023年経済成長率が発表されました。1.4%成長で、1~3月期0.3%、4~6月期0.6%、7~9月期0.6%、10~12月期0.6%でした。韓国日報など複数のメディアが報じています。日本の場合はまだ公式発表はありませんが、実質成長率1.5%と予想されているので、成長率で日本のほうが高くなると思われます。これも合計出生率と同じで、いますぐなにかが大きく変わるというわけではないでしょう。一時的な現象かもしれません。ただ、どこの国でも経験することになる低成長期。一部、韓国でもいわゆる「ピーク」論が出ている中、低成長期をどうやって過ごしていくのか、基礎体力が試されるときが来たのは間違いありません。

一つ前のエントリーでも取り上げましたが、二つの「原動力」、中国の高度経済成長と、家計債務(ほとんどはマンション投資)は、ともに構造的な変化を迎えています。家計債務はもはや国家GDPを超えており、これから金利が下がるとしても、3~4年前のような低金利に戻るとは言いきれません。すでに所得の4割を返済に使っていると、家を購入した人の場合は6割を使っているというデータも出ています。中国もまた、いままでのような高度経済成長は難しいでしょうし、自国の技術力が高くなったこともあるので、もはや『1人に1個売れても14億個売れる(実際にこういうフレーズが有名でした)』市場、すなわち『出せば売れる市場』ではありません。競争相手です。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・昨年、韓国経済が前年比1.4%成長したことが分かった。新型コロナ時である2020年マイナス0.7%以後、3年ぶりに最も低い水準だ。25日、韓国銀行は昨年10~12月期、韓国実質国内総生産(GDP)が前期比0.6%増加したと速報を発表した。1~3月期0.3%、4~6月期と7~9月期それぞれ0.6%で、連続0%台の低成長を続けた。年間成長率1.4%は政府と韓銀の見通しに合致する。10~12月期の経済成長を牽引したのは半導体を中心に2.6%成長した輸出だ。しかし、建設投資がマイナス4.2%だった。金融経営研究所は昨年11月の報告書で「不動産プロジェクトファイナンシング(PF)問題、未分譲負担による建設の資金調達・財務健全性問題、新規着工の減少などで建設投資が不振になるだろう」と予想していた・・・・年間では民間消費(1.8%)と輸出(2.8%)とも増加幅が前年比減少した(韓国日報)・・>>

 

ここで気になるのは、建設投資と民間消費です。内需、すなわち小売り販売額指数は昨年下半期から下がりつつあります。2023年7月から前月比でマイナス3.2%、8月がマイナス0.3%、10月がマイナス0.8%などです(中央日報)。各種キャンペーンなどもあって年末に車を新調する人が多いと言われていますが、2023年は2022年比で国産乗用車販売が12%も減少した、などなどです。特に「自営業者」が集中している宿泊・飲食店業の場合(比較的少ない資本で始めることができると言われています)は2023年5月からマイナス成長を続けている、とも。物価・金利負担も相変わらずで、「物価は3%台、生活物価上昇率は4%に近く、外食物価も去年12月に4.4%上昇し、4カ月間4%上昇率」、金利による利子負担額も、まだまだ増えている、とも。

ちなみに、中央日報は「統計庁の家計動向調査によると昨年7~9月期の1世帯当たり月平均利子費用は12万8988ウォンで1年前より24.2%増加した」となっていて、こう見ると少ないように見えますが、そうでもありません。年収のどれくらいを返済に使っているのかを意味する「DSR(Debt service ratio)」で見ると、家計債務の平均DSRは39.9%(2023年4~6月期)、すなわち年収の4割を返済に使っている状態です。韓国で「家計債務」の対象として集計される人、すなわち家計債務の借主1978万人を対象にした数値です。規模は1845兆7000億ウォン(自営業者債務はカウントせず)。同じ中央日報(2023年12月23日)の記事に書いてある内容ですが、書き方によってこうもイメージが変わるものですね。どういう集計をしているのか・・

 

記事でカトリック大学経済学科のヤンジュンソク教授は、「金利引き下げが遅くなっているなどで、今年上半期まで消費鈍化が続くと思われる。内需を引き上げてこそ、目標通りの経済成長が可能になる。消費を活性化するには民間雇用を増やし中産層と低所得層の所得も高めなければならない」としていますが、そう簡単なことではないでしょう。また、先の韓国日報の記事にある建設投資ですが、ヘラルド経済の記事によると、「建設投資」は10月~12月期のGDPを0.7%も下げる要因でした。しかし、これが7~9月期まではプラスでした(プラス0.3%要因)。建設投資のマイナス成長によるGDPの減少は、やっと始まったばかりだという見方もできます。泰栄建設の、プロジェクト・ファイナンス問題による事実上のグループ解体など、建設・不動産関連でお金の流れはさらに鈍くなるでしょう。反騰(?)してきたという輸出が、これらをどうカバーしていくのでしょうか。

 

 

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