日本と米国・台湾の半導体協力には、「人」ネットワークがいた・・韓国メディアの、東京大学 黒田忠広教授インタビュー記事

TSMCなど台湾企業との協力、ラピダスなど米国企業との協力、そして来月の日米首脳会談で予定されているという、政府レベルでのAI・半導体など「経済安保」協力。最近話題になっている「日本の半導体復活」の話は、日本よりも韓国でさらに話題になっています(韓国メディアの記事のほうが多い気がします)。補助金とか、地政学とか、そんな話がいろいろ出ているし、それらが影響しているのは間違いない事実でしょう。でも、韓国のメディア「新東亜」(東亜日報系列)に載っている東京大学大学院工学系研究科 黒田忠広教授の話を読んでいると、やはりそこには「人」のつながりがあったんだな、と改めて思わざるを得ません。人とは、すなわち信用、信頼のことです。人の言で「信」ですから。

教授は、日本台湾韓国の協力がとても重要だとしながらも、サムスンやSKハイニックスが主力とするDRAMはすでに衰退期に入っており、量産でなんとかなる時代も変わりつつあるとし、日本は「技術」があるとしながらも、韓国には「マーケティング能力」があるから協力するといいとするなど、詳しく韓国側がどういう形で協力するのかについては、明言していません。この前に紹介した台湾半導体フォーラム関連記事でも、台湾国立大学のヤングァンレイ(楊光磊)兼任教授が「AI時代にはメモリーとロジックともに必要になるから、協力する時代が来るかもしれない」と話しましたが、それと似たようなニュアンスです。やはり、いまは競争相手という見方が強いといったところでしょう。以下、<<~>>が引用部分です。

 

<<・・(※台湾との協力の話、この部分はインタビューではありません)スタートは2018年、五神真 東京大総長がモリスチャンTSMC創業者に会ったときからだ。米国スタンフォード大学教授であり、TSMC開発首長を兼ねたフィリップウィングも同席していたという。三人は、半導体の未来について話し合い、東京大とTSMCが力を合わせて何かしてみようと意気投合したという。総長は帰国と同時に日本・台湾の提携フレームを組んで、黒田教授をスカウトした。業界管理が徹底したことで有名なTSMCが、日本産学界とつながったのはこれが初めてだった。黒田教授は東京に移るやいなや2019年10月、大学内にシステムデザイン研究センターd.labを発足したのに続き、2020年8月には先端システム技術研究組合「RaaS:ラース」を立ち上げた・・

 

・・(※ここからは教授の発言部分です)日本は今、半導体で遅れていますが、日米間の半導体学者の間でのつながりは、古くからあり、また強いです。日米間の半導体ブレーンネットワークの集まりは、1980年代からアメリカと日本で毎年開かれてきました。「ラピダス」も、このようなネットワークを築いてきた時間があってこそ、できました。今から5年前に、強い影響力を持っていたIBMのスーパーコンピューター開発者がいました。IBMは半導体量産はしていませんが、着実に先端技術を開発研究しています。そのスーパーコンピューター開発者が米国インテルではなく、日本の東京エレクトロンの東哲郎会長に直接電話をかけて、ファウンドリ勉強会を提案しました。政治家、官僚、産業界から10人余りが参加し、日本半導体の未来はどうなっていて、どこから何をどうするのかを議論しました。それでラピダス設立に至ったのです・・・・(※米中対立など)変化した環境が、日本半導体復活の風を起こしています。「今からスタートだ」という雰囲気が強く、優れた人材も多く集まっています・・

 

・・(※日韓協力について、韓国はいまどうなのかという質問に)今うまくやっていますが、これが今後10年、20年続かないだろうと私は考えていて、韓国もそう思っているでしょう。半導体は技術だけでなく地政学的問題もあり、未来がどうなるのか不透明です。私は、その点で、サムスン、SKハイニックス、TSMC、ラピダズ、ブレーンのアジアネットワークが重要だと考えています。地図をめぐって日韓台を見ると、今回TSMC工場が入った熊本の地理的位置が重要です。東アジアでは、日韓台湾の協力が非常に重要です・・・・日本は技術力や素材装備が強く、韓国はチャンレンジ精神、経営力マーケティング能力が強いので、お互い良い点を生かして協力すれば、ともに生きていくこともできると思います(新東亜)・・>>

 

 

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