世界スカウト連盟、去年ジャンボリー大会報告書を公開・・「政府の介入が問題だった」

世界スカウト連盟が、去年韓国セマングムで開かれたジャンボリー(世界スカウト大会)関連報告書を公開しました。一言で、政府の介入がすぎたため、様々な問題がおきたという内容です。衛生面などについてもちゃんと指摘されており、一部の韓国メディアは、いまだ「暑すぎた」「台風が来た」だけをクローズアップしていますが、そういう問題ではなかったということでしょう。ソウル新聞など多くのメディアが報じています。政府というと文在寅政権から続いた案件ではありますが、その背景には国際博覧会の誘致があります。もう懐かしい話ですが、当時のユン大統領は、釜山エキスポ誘致に総力を注いでいました。ユン政権としては、ジャンボリーの成功を、エキスポ誘致に繋げたいと思っていたわけです。

当時、イギリスのガーディアン紙が「「韓国は最近大規模な国際行事を開催し、先進国の間で名声を築くために努力してきた」、「開催国の選定を控えている世界エキスポ2030は、国家レベルの優先課題である」と報じましたが(2023年8月5日韓国日報など)、それは確かに核心の一つでした。そのためか、韓国スカウト連盟ではなく政府がジャンボリーの主体となってしまったものの、責任者たちがすぐ入れ替わるなどで、誰が責任者なのか不明になるなど、組織として構造的なトラブルが起きてしまった、というのが今回の報告書の内容です。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・世界スカウト連盟が、昨年8月に開かれた全北セマングム世界スカウトジャンボリー大会に対して、韓国政府の過度の介入が多くの問題を引き起こしたと主張した。世界スカウト連盟は23日に公開された「第25回世界スカウトジャンボリー報告書」で「韓国スカウト連盟ではなく、韓国政府が事実上大会主催者になってしまった」とし「公務員を中心に行われた組織委は、何度も人員が入れ替わったが、その過程できちんと仕事の引き継ぎがなされなかった」と指摘した。世界スカウト連盟は「韓国政府が提供した多くの資金により、韓国スカウト連盟は(行事運営から)はずれることになった。その結果、韓国政府がジャンボリーの事実上の主催者となった。これは既存の行事組織の課題をさらに大きくし、多数の構造的、調整上の困難を引き起こした」とした・・

 

・・世界スカウト連盟は「適切な敷地(キャンプ場)を準備するには、土地埋立を含む相当な基盤施設(設置)作業が必要だったが、韓国スカウト連盟は(キャンプ地造成のために)大規模な木の植栽のような約束を履行しなかった」とし、「食品の提供・流通の過程で、品目がかけていたり、配送が不正確だったり送、暑い天候の中の食品貯蔵問題、過度の包装及び食品ごみなど深刻な問題があった」と明らかにした。続いて「(大会)初期、シャワー室・トイレを含む衛生施設を定期的に、適切に清掃しなかった」とし「大会初期には一部の診療所に電気が供給されず、病床も足りなかった。患者のための食品支援も深刻に不足していた。医療状況は、驚くほど準備が足りなかった」と説明した(ソウル新聞)・・>>

 

政府は、「初期に発生した問題に対して、自治体および民間企業と合意して素早く正常化した」としながら、世界スカウト連盟の主張に反論しています。で、肝心の国際博覧会も、サウジアラビアのリヤドに決定しました。しかもリヤド119票、釜山29票、ローマ17票で、1次投票だけで決まりました(3分の2以上を獲得出来なかった場合、1位と2位が決選投票を行います)。投票の直前まで、政府は「2次投票で逆転できる」としていました。しかし、誘致委員会の人たちは、「そんな状況ではない」と、投票結果を概ね予想できていました。。朝鮮日報(2023年11月30日)韓国日報、東亜日報など大手メディアが同じ趣旨の記事を載せています。『2次投票で逆転できる』の話が出る前から、委員会は調査結果をもとに「リヤド支持が圧倒的で、もう難しいのでは」と報告をしていました。

しかし、政府も企業、いわば『上』の人たちはそれを聞こうとせず、「士気が下がるから、そのような報告はすべきではない」としていた、というのです。ブログでこの件をずっと書いてきた私としては、「介入」と聞くと、どうしても(台風でジャンボリーが早期終了した後の)一部のメディアの記事がきになります。当時、一部のメディアが「隊員たちはものすごく楽しんでいる」「日程が終わってももっと韓国にとどまろうとしている(実は予約した帰りの便がそうなっていただけ)」など、「楽しんでいる」を強調する記事を量産しました。それは、ま、楽しんだ人もいるでしょうけど・・そういうことも、「政府の介入」だったのでしょうか。

 

 

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