韓国経済、消える「40代」就業者・・10年間で9.2%減少、新しい経済リスクに

韓国では、40代を「経済の腰」とよく言います。経済を支えているという意味です。2~3週間前のものですが、その40代関連記事がKBS中央日報など大手に連続で掲載されたので、ちょこっと取り上げてみます。40代の雇用が、21ヶ月連続で減少、10年間で就業者が9.2%も減少しました。人口減少によるものだとされているし、実際その影響は大きいでしょうけど、各メディアの指摘によると、その分を考えても、雇用が減少していて、特に非賃金勤労者の場合、5年間で22%も減少しています。この場合の非賃金勤労者というのは、主に自営業者の話です。こういうのを人口減少だけで説明できるのか、と。

逆に、10年間で、60代以上の就業者は80%以上も増加しました。これは、文在寅政権から続いた、政府や自治体による「適当な仕事で雇用率を引き上げるマジック」による結果だと思われます。前から「45歳に定年」という話もありましたが、最近も退職年齢は、調査機関によって異なるものの、49歳前後とされています。去年11月に取り上げたデータですと、韓国経済人協会によるサンプル調査(40歳以上、949人)で、平均退職年齢は50.5歳でした(毎経エコノミー2023年11月2日)。応答者の49.5%は50歳になる前に退職しているし、定年退職出来た人は、応答者の1割にもなりませんでした。ひょっとすると、就業者が減少するのではなく、仕事そのものが40代で終わるのかもしれません。以下、両紙、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・私たちの経済の腰と呼ばれる40代が、雇用市場で消えつつあります。40代は21ヶ月連続就業者数が減少しました。人口減少も一つの理由ですが、それだけではありません。人口減少分を反映した雇用率で見ても、40代後半の男性の場合、11ヶ月連続の数値が低下しました。特に自営業者など非賃金労働者の場合、40代は5年間で22%も減少しました。新型コロナが過ぎて、デジタル経済への転換が進んだ時期、その時期に雇用市場から押し出された人たちのうち、相当な数が、彼らだという分析が出てきます。【ソ・ウンジュ/統計庁社会統計局長「新しい成長産業、一般的に言う情報通信とか専門科学とか、40代はその部分への進入があまり進まないでいます」】(KBS)・・>>

 

<<・・製造業や卸小売業など主要業種の就業者減少も、40代を労働市場の外に押し出している。韓国経営者総協会によると、2014年と比較して、昨年、40代の製造業就業者数は15万4000人、卸売り・小売業は30万1000人が減少した。当該業種の就業者減少は、40代の就業者数の急減と同じ流れにある。特に40代の場合、製造・建設・サービス業など伝統産業従事者が多く、人工知能(AI)などデジタル経済への転換に相対的に弱いことも、彼らの雇用市場からの離脱を加速させている。労働市場で「生まれた世代」である40代が、政府の各種政策優先順位から押されるうえ、硬直した賃金体系により企業人材構造調整の影響をモロに受けいていることも、40代を「新・雇用脆弱階層」にする原因である・・

 

・・40代は、国家経済の中枢役割をする年齢層だ。生涯周期で見ると、最も活発な経済活動を行い、家族の扶養や消費・納税などで重要な役割を担う。雇用市場から彼らが離脱すると家計経済が揺れ、それに伴う消費萎縮などの影響が避けられない。産業と労働現場の競争力の弱化につながる可能性もある。雇用市場で40代が役割を果たすためには、彼らの労働市場再進入のための再教育など、各種制度を整備する一方、硬直した賃金体系と労働制度改革を網羅する労働改革に拍車をかけなければならない。良質の雇用創出のための産業構造改編と構造調整も一緒になされなければならない。「経済の腰」を丈夫にしてこそ、その国の経済も生きていける(中央日報)・・>>

全体としてみると、就業者数は増えています。尹政権になってからも、政府や自治体による「簡単なお仕事(本当に簡単)」による直接雇用・財政雇用が増えたからです。ニューシース(2024年3月16日)など各種関連記事によると、2月に増えた就業者数は31万4000人。でも、これは60代以上が41万人も増えた結果です。すなわち、60歳未満の就業者数は10万1000人も減少したことになります。20代と40代がそれぞれ9万4000人、7万7000人ずつ減少しました。「青年就業」とされる15~29歳以下でみると、就業者は12万5000人減少しました。

 

 

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