韓国経済メディアの、『現金のない老後』を指摘・・50歳以上の資産は75%が不動産

拙著にて20代・30代の話を、5月5日のエントリーで40代の話を、9日には66歳以上の話をしました。今日は、50代・60代の話です。今回は、資産がない人ならともなく、資産がある人でも、50代60代は老後が大変懸念されており、その理由は『現金がなく、資産のほとんどが実物(不動産)だから』という話です。というか、ローンなどのため、大企業の部長なのに生活費がままならない状態にある、とのことでして。ヘラルド経済が指摘しているこの「資産が不動産ばかり」というのは、もちろん人による、状況によるとも言えますが、結構前から複数の韓国メディアも指摘してきました。ただ、最近はあまり見なくなった気もします。

韓国でも、さすがに「親を扶養する」概念は消えつつありますが、まだ50代・60代にはそんな世帯が結構残っています。また、50代・60代は、「子が自立しない(大人になった子の生活費まで負担する)」たる概念の負担も背負っています。この2つを同時に背負っているのは、50代・60代だけだといわれています。だから彼らを、「キンセデ(挟まれた世代)」とも言います。40代の場合は、子が自立しない問題はあるけど、親を扶養する概念からは結構自由になっています。比較的に、ですけど。そんな50代・60代の話、記事から大企業幹部Aさんの事例を<<~>>で引用してみます。

 

<<・・大企業部長A(52)氏は、一見は誰もが羨ましいと思うであろう、そんな人生を送っている。平均以上の年俸に10億ウォン台のマイホームで、優秀な成績の高校生の子供、周辺から羨望を買っている。だが、Aさんは自分を「表面の光沢がいいだけ」と言う。8年前に家を買ったときに組んだ住宅担保ローンをはじめ、月々出ていく各種ローン返済金、生活費、保険料、私教育費のため、いざ手に残る現金はないからだ。固定収入のない引退後の生活は、より心配だ。A氏は「大学の授業料や結婚資金などもまだなのに、引退まであまり残っていない」、「他人に比べて比較的ちゃんとしている状況だと思われるかもしれないが、引退後を考えると気が滅入るだけだ」と話した・・・・韓国社会でそれでも相対的に資産が多いとされる5060世代(※50代・60代)が、Aさんのように生活費もままならない笑えない冗談のようなことになっている。資産のほとんどが不動産に縛られているので、融通できる現金がないという話だ・・

 

・・特に5060世代は、子供だけでなく、両親まで扶養しなければならない「キンセデ」でもある。マイホームづくりのためのローン返済、子や親の扶養などなどで、テに残るお金はネズミの尻尾(※スズメの涙)ほどなのに、出て行くお金だけ多すぎる。いざ自分の老後の準備などできるはずがないと指摘される・・・・事実上、『現金のない老後』が予告されたわけだ。アン・ジユンKB国民銀行ゴールデンライフセンター長は、「5060世代は両親はもちろん、自立しない子供も扶養する世代だから、老後に備える資金が足りない」とし「マイホームに対する夢も強く、退職金を受けてもそれで住宅担保ローンを返済したり、子どもの住宅購入を支援してしまい、手に残るお金がない場合も多い」と話した(ヘラルド経済)・・>>

 

50代以上で、資産の75.7%が実物資産(不動産)です。60歳以上で82%、65歳以上で84%。大企業部長なら退職金も結構もらえるのではないか・・と思われるでしょうけど、そうでもありません。去年5月3日にもエントリーしたことがありますが、ファイナンシャルニュース(2023年4月30日)によると、「全退職者10人中7人(74%)に該当する245万人の退職金が1000万ウォンに及ばないことが分かった。全退職所得者の1人当たりの平均退職金は1501万ウォンだった」、とのことでして。思ったほど多くない・・という印象ですが、これは勤続期間が短いというのもありますが、多分(ソース記事には書いてありません)、「中間精算」も関わっているのでしょう。まだ退職する前に、それまでの勤務期間に応じた退職金をあらかじめ精算、支給してもらうことです。なぜそうやって『事前に引き出す』のか。人それぞれでしょうけど、多くは家を買うためです。

 

問題は、データによっては47歳とも49歳とも51歳ともされる退職年齢までに、ローンが全部返せるのか、という話です。確認できる範囲内でのことでしょうけど、京郷新聞(2023年7月17日)の記事によると、「満期一括償還方式(利子だけ払って、満期に全部償還するタイプ、データは2022年9月基準)の家計債務が、家計債務全体の53.7%です。これ、どうすんの、と。家の価格が「買うときの予想通り」高くなっていて、ちゃんと売れて、それでなんとかするというならそれでいいかもしれませんが・・不動産市場がうまくいかなくなったら、それからはどうするのか。『(それでも現金を用意する方法もある)現金のない老後』が、『(そもそも現金を用意する方法がない)現金のない老後』になるのではないか、すでに、家計債務や不動産などの構造は変わりつつあるのではないか。いろいろ見えてくるような、そうでもないような、そんな記事でした。明日は1日休みをいただきます。今回は普通にバスツアーで、また日本のビューティフォーな景色を見てきたいと思います。

 

 

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