金正恩氏の「とても悪いと思う」が、韓国社会をまるごと揺さぶっています。与党及び左派陣営では金正恩はやっぱり違う!とする意見が盛り上がり、盧武鉉財団の理事長ユ・シミン氏は『金正恩は啓蒙君主だ』とまで発言しました。野党側からは、国民の力(未来統合党)を中心に、こんなの謝罪でも何でもなく、単に『不幸な事故が起きて残念だね』レベルに過ぎないとする主張が盛り上がっています。ネット世論は、個人的に感じ取った雰囲気としては、『謝罪でも何でもない』派が主流のようです。
そんな中、韓国の大学教授が、『一言の謝罪も無かった日本』と『前例の無い謝罪をした北朝鮮』としながら、ちゃんと謝罪した北朝鮮に『(北朝鮮に対して)真正性が無いなんてことを言うとはどういうことだ』と主張しました。
ちょうど今朝、それとは真逆のことをエントリーに書いたばかりの私としては、なんというか、何の感情もなく、ただ頭の中がボーっとするだけです。以下、「告発ニュース」というネットメディアの記事ですが、元ソースは教授のフェイスブックとなります。
<・・イ・ジョンピル建国大教授は26日、フェイスブックにて、「謝過、未安(悪い)という一言もなかった日本安倍政権に対しては、まず頭を下げてでも仲良くしようとあれだけ主張していた保守言論が、金正恩のとても悪いという言葉には、『悪いと言えばいいのか』と責め立てているのを見ると、やはり彼らが望んでいるのは、朝鮮半島の緊張状態、冷戦の対決構図(のようだ)」と批判した。
彼は「分断70年間、北朝鮮の『最高尊厳』から悪いと思っているという文書を受けたのは初めてだ」とし、「首領の完璧さを、しかも対南問題で首領自ら文書化してひっくり返したのに、これを無視していいはずがない」と指摘した。
イ・ジョンピル教授は金正恩委員長の謝罪について「これまでの対北政策は無駄ではなかったのだ」とし「彼なりの心がこもっている」と評価した。続いて「(もちろんこれから見守る必要があるだろうけど)、今後似たような悲劇が再現されない可能性が、それだけ高くなったことでもあるのだ」と説明した。
それとともに、その文の末尾に「保守政権時代には、悪いという一言ももらえなかったのに、保守派はいったい何を考えているんだか・・」と付け加えた・・>
ちなみに、「首領の完璧さ(無誤謬性)」は、最近はそこまで拘っていないようです。例えば、首領が「経済政策の結果が気に入らない!これは経済政策が間違っていたからだ」と怒るには、最高指導者である首領の無誤謬性も部分的に否定しないといけないわけでして。金正日政権の後半あたりに食糧難などが深刻になり、どうしても『無誤謬』だけでは押し通せなくなったのがその背景ではないだろうか、と私は見ています。
金正恩氏もまた、自分の無誤謬性を何度か否定しました。「私の不徳のせいだ」とか、そんな感じで。でも、それは全て『他の誰かの責任(首領の責任はそれに気づかなかっただけ)』にするためのもので、その分、消される幹部も増えました。今回の件も、ある意味、『私は射殺なんて知らなかった』を前提にするものだから、似たようなものではないでしょうか。
最後に、カン・ギョンファ外交部長官が昨日~今日あたりにいろいろ話したので、まとめて紹介します。『クアッド(中国牽制のための日・米・インド・オーストラリアによる包囲網)は望ましくない』『北朝鮮をICCに提訴することは難しい』『長期的な平和のためのアプローチが重要』などです。ちなみに韓国外交部は、カン長官が就任した2017年から、北朝鮮人権問題の国際協力を担当する「北韓人権国際協力大使」を任命しておらず、3年も空席のままです(この部分のソース記事は朝鮮日報です)。文在寅大統領は人権弁護士出身で、カンギョンファ長官は国連人権最高代表事務所副代表出身です。
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