日本政府、韓国外交部長官候補者の発言に対し、日韓合意の『最終的かつ不可逆的な解決』を強調

一つ前のエントリーでもお伝えしましたが、韓国の外交部長官候補者パクジン氏が、日韓(イ○ンフ)合意について、「最も重要なのは、韓日がともに努力する必要がある点だ」、「日韓合意は韓日間の公式合意だ。文在寅政権も認めている」と話しました。

個人的に、合意を履行しないでいるのは韓国側の方なので、『共に』の部分がもっとも気になるところです。しかし、韓国側のメディアは、ほとんどが『公式合意だと認めた』という部分をクローズアップしています。確かに、文在寅大統領は、2021年1月の新年記者会見にて、「日韓合意は公式合意だ」と話していますし、大統領が自ら言ったという点では、これはこれで重要な発言だと思っています。でも、決して『目新しい』発言ではありません。

 

2018年1月9日、カンギョンファ当時外交部長官が日韓合意を検証、政府の対処方針などを発表しましたが、そこにも、「両国合意だったことは認めるしかないし、再交渉(再合意)は要求しない」という内容が含まれています。全般的には、日本の出捐金をこれ以上使わないで国庫で充当する、財団はこれ以上機能させない(後で解散)など、『このまま履行するわけにはいかない』という内容がメインでした。当時の韓国側のメディアも、破棄ではないものの、事実上の破棄、または『不履行宣言』だと記事を書いています。

当時、日本側のメディアにも、『再交渉を要求しないと言った』としながら、この発表を好意的に受け止めようとする記事がいくつかあって、『いや、そういう意味ではない。合意で解決するやり方そのものをもうしないという意味にすぎない』とブログに書いた記憶があります。すなわち、文在寅政権は、最初から日韓合意が両国間の公式合意だということは認めていました。ただ、履行しませんでした。『公式合意だと認めない』とハッキリ言うと、その分、負担も大きくなると思ったのでしょう。堂々と言う勇気は無く、言わないわけにもいかない、だから、当時ものすごく重要な案件とされていたにもかかわらず、外交部長官に発表させ、再交渉などの負担はカットした・・そんな見方もできます。

 

よって、パクジン候補者が『公式合意だ(文大統領もそう言った)』としたことは、これといって意味がありません。『履行していない』、すなわち、『日韓合意により、この問題は最終的かつ不可逆的に解決』という部分が認められていないこと、そこが重要であります。そして、幸い、日本政府はこの点をちゃんと認識しているように見えます。MBCニュースによると、日本の松野博一官房長官は、パクジン候補者の『公式合意』発言についての質問に、『最終的かつ不可逆的に解決された』の部分を強調しました。そう、核心部分の『履行』を指摘したわけです。また、『共に努力』の部分には、これといった言及をしなかった、とのことです。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<日韓合意が両国間の公式合意だというパクジン外交部長官候補者の発言に関し、日本政府が、すでに最終的に解決された案件だという反応を示した。松野博一日本官房長官は、20日記者会見で、パク候補者の発言に関する質問に、「両国政府が多くの外交努力の末、2015年12月、韓日外交長官会談合意により該当問題の最終的で 不可逆的な解決を確認した」と述べた。

松野官房長官は「日韓合意は国と国の約束であり、これを守るのは国家間関係の基本」とし、「尹錫悦(ユンソンニョル)次期大統領のリーダーシップに期待している」と付け加えた。彼は、パク候補者の発言のうち、『被○者の名誉と尊厳を回復するために、韓日両国が共に努力しなければならない』という部分については、具体的な言及をしなかった・・>>

 

まだ、政策協議団の訪日が、どういう形で両国関係に影響するかは分かりません。率直に言って、前にも書いた『間違ったサイン』関連で、心配なところもあります。ただ、同じく松野長官の18日の発言「『一貫した日本の立場に基づく』意思の疎通」、今回の「『最終的かつ不可逆的』解決」発言など、いまのところは、頼もしい発言が聞けて、とりあえず安心といったところです。過去エントリーからの引用で恐縮ですが、普通は韓国に親しいスタンスを示す日韓議員連盟の幹事長もまた、「私たちも様々な問題に対して準備を進めているが、国家と国家間の約束が守られない関係なら、その後の話をしたところで、また守られない可能性があるではないか」と話しています。ぜひ、この共通したスタンスだけは崩さないでほしいと願います。全員に共通しているわけではないでしょうから、やはり心配なところもありますが。

 

 

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