韓国紙、『韓国がクアッドに参加できないのは、(韓国ではなく)米国が、中国を意識しているせいだ』

バイデン大統領が、昨日(22日)日本に到着しました。さて、個人的に興味のあるアルテミス計画をはじめ、どんな話が出てくるのか、日米・クアッド首脳会談に大いに注目したいところです。

さて、米韓首脳会談について、ほぼ例外なく高評価する記事を出していた韓国メディアですが、22日の夜あたりから、『中国関連の内容は、前(文政権)とそこまで大きな差が無かった』という、ちょっとだけ落ち着いた論調になりました。『インド太平洋』『経済安保』などを強調する記事を書きながら、『中国牽制』についてはほとんど論じず、『中国の反応が気になる』ぐらいしか指摘しない自分たちの矛盾に、やっと気づいたのでしょうか。

ただ、それに気づいたかどうかはともかくして・・韓国メディアの論調は、(メディアにもよりますが)いわゆる『斜め上』というか、ちょっとズレています。「これは、(韓国が中国を意識していることには触れずに)米国が中国を意識しているからだ(MBN)」、「韓国がクアッドに入れなかったのも、米国が中国を意識した体(MBN)」、「米国は、韓国とは経済関連で望むものを得て、中国牽制は日本で得ようとしているだけ(中央日報)」、などなどです。「韓国が中国を意識して、表現などに配慮をお願いした」という話は、IPEF参加関連ですでに報じられています。米国に対し、韓中関係への配慮を要求した、などなど。なのに、いまさら何を言うのでしょうか。

特に中央日報の場合、すでに米国側が「クアッドの拡大については検討していない」と話したにもかかわらず、声明の一部に「尹大統領がクアッドに関心を歓迎したい」という部分だけを取り上げ、クアッド、クアッドと記事を出していますし、MBNの記事では「韓国がクアッドには入れないのは(も)、米国が中国を意識しているからだ」としています。ここまで無理して持ち上げる必要があるのか、という気がします。いつものことですが。以下、二つの記事から引用してみます。<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・企業人出会い、経済協力強化に焦点を合わせた訪韓日程とは異なり、22日の夕方から始まるバイデン大統領の訪日日程は、インド・太平洋経済フレームワーク(IPEF)発足式、クワッド(QUAD)首脳会議など政治的イベントで満たされている。民間部門での接触は北朝鮮拉致問題の家族との面談ぐらいで、大部分を対中牽制のためのインド・太平洋構想の強化に焦点を合わせている。

23日、日米首脳会談の共同声明にも鮮明な対中メッセージが盛り込まれる見通しだ・・・・バイデン大統領は日本で23日IPEF公式発足を宣言し、24日クワッド対面首脳会議で、米国主導のインド太平洋地域構想を明らかにすることで、(※韓国との)経済と(※日本との)安保の両大山脈で中国を圧迫する戦略である・・(中央日報)>>

 

<<今回の韓米首脳会談で、中国を牽制する安保協議体であるクワッドは、原論的な立場だけでした。THAADは言及すらありませんでした。これは、中国を意識したことでしょう。米国と日本、オーストラリア、インドの非公式安保協議体であるクワッド。韓米首脳会談の共同声明に「クワッドに対するユン大統領の関心を歓迎する」というフレーズが含まれて期待を集めたものの、米国は「韓国のクワッド追加参加を考慮していない」と言い切りました(※一つ前のエントリーで取り上げています)。

ジョーバイデン米大統領の訪韓に同行した米上級当局者は、ホワイトハウス記者団を相手にしたブリーフィングで、「参加国の追加よりは、既存のまま発展させ強化することが重要だ」と明らかにしたと伝えられました。追加加入に反対する根本的な理由は、中国を意識しているからだ、というのが支配的な分析です。高高度ミサイル防衛システムであるTHAADが、今回の議題で取り上げられなかったのも同じ流れです・・・・バイデン大統領が、中国を刺激するという直接的な方法ではなく、韓米日共助を通じた間接的な戦略を強調した理由でもあります・・>>

 

本ブログでも何度か指摘したことがありますが、韓国は『経済安保』という言葉を使いながらも、経済と安保を別々に考えています。中央日報の趣旨がまさにそれであります。また、文政権のとき、「日本は中国牽制に深入りしているけど、韓国が一歩下がっている、だから韓国のほうが有用であり、米国は日米より米韓同盟をもっと格上だと思っている」という主張をする専門家さんがいました(過去エントリー、去年9月)。今回の二つのソース記事の論調と、どことなく似ています。政権が変わって、旗色が変わっても、どうしても自分に有利な方向だけに考えるミスだけは、直らないみたいです。

普通に「中国牽制を明確にすることは、まだ韓国としてはマズい」とか、「このまま中国を意識し続けると、日米関係のような密着は難しい」などと書けばいいだろうに、それがそんなに難しいのでしょうか。それとも、書いてはいけないなにかのマニュアルでもあるのか・・あるなら、引き出しの中にあるのか、それとも頭の中にあるのか。でも、中国関連で何か韓国に『損』なことでも起きたら、右寄り以外のマスコミは手のひらを変えて『戦略的曖昧さをもっと維持すべきだったのに』と記事を乱発するでしょう。これもまた、直りそうにありませんので。

 

 

おかげさまで新刊『日本人たらしめているものはなにか』を追記しました。帰化を前にして、いろいろと考えてみて、その自分なりの結論を記録した本です。固定エントリー『新刊・準新刊のご紹介』に簡単な内容を綴りました

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。帰化を前にして考えたことを記録した本です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」と、「『お前は韓国人として生まれた』が、『私は日本人として死ぬ』に上書きされた時に見えてきた、日本人になるということの意味」が、本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版でございます。 ・国に蔓延する対日観、『卑日』について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対する『卑』が必要なのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。 ・刊として、文政権の失敗を振り返った <文在寅政権最後の暴走>と、自分なりの『日本語』本<日本語の行間~韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書)>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります。本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。 ・れでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。