為替レートが大いに動いていることもあり、韓国内で再び(というか、最近は常時こうですが)日米との通貨スワップが必要だとする声が溢れています。オ・セフンソウル市長、経済団体の会長、大学教授、経済メディアなどなど。
まず、一昨日のエントリーでもお伝えしましたが、韓国、全経連(日本の経団連のような組織)の会長が、経団連メンバーたちとの会議で通貨スワップの必要性を主張しました。しかし、この内容は、会議の後の共同声明には入りませんでした。ほぼ同じ時間(4日)、聯合ニュースによると、オ・セフン ソウル市長が米議会の「コリアスタディーグループ」の人たちと会い、またもや通貨スワップが必要だと話しました。
さらに、中央日報が「揺れる韓国外為市場、韓米・韓日通貨スワップ必要」という分かりやすい題の記事を載せました。中央日報日本語版(日本語記事)で、なぜか韓国語記事は見当たりません(私の探し方に問題があるだけかもしれませんが)。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<6日のソウル外国為替市場では午前9時2分現在、韓国ウォンは前日比10.30 ウォン値下がりした1ドル=1310.60ウォンで取引されている・・・・取引時間中では2009年7月13日(1ドル=1315ウォン)以来13年ぶりのウォン安ドル高水準だ。為替市場の衝撃に対応するため米国や日本との通貨スワップを急ぐべきだという発言が相次いでいる・・
・・東国大のカン・サムモ経済学科教授は5日、ソウル経済新聞に「機会費用も少なく、市場の不安心理を落ち着かせながら外貨準備高を増やすのと同じ効果を得られるという点で、米国はもちろん日本との通貨スワップも進める必要がある」と話した。
世界経済研究院の全光宇理事長は4日、世界日報のインタビューで「米国の政策金利引き上げで明確なドル高基調となっている。通貨当局が需給を調整するのには限界がある」とし「このような時、韓米、韓日通貨スワップの締結は市場安定の決定的なきっかけとして作用する可能性がある」と述べた・・(中央日報)>>
<<オ・セフン ソウル市場は4日、ソウル市庁で米国議会コリアスタディグループ(CSGK)代表団を接見した。ソウル市によると、この日の接見にはスコット・ピーターズ、アミベラなど米連邦下院議員7人とコリア・ソサエティ会長、元議員協会関係者などが参加した。オ市場はこの場で「最近物価が急速に上がり、為替レートも不安な状況で、韓米通貨スワップは韓国経済が安定を求めるのに大きな助けになることができる」と通貨スワップ再開が議論されたとき、米議会の積極的な支援を 呼びかけた。
通貨スワップは、為替レートの安定のために両国が現在の為替レート(両国貨幣の交換比率)に応じて必要な分のお金を相手国と交換し、一定期間が過ぎた後に最初の契約時に定めた為替レートで元金を再交換する取引だ。 韓米間の通貨スワップは昨年12月31日に終了した状態だ・・(聯合ニュース)>>
こんな中、一部の経済メディアが、『米韓首脳会談首脳会談で、通貨価値安定のために協力(の必要性を認識した)するという内容があったではないか。それを具体的にするときだ』という主張を載せるようになりました。ソース記事の韓国経済も、その一つです。本ブログでも何度か取り上げた記憶がありますが、米韓首脳会談の前には、米韓通貨スワップ、しかも常設化(日本は米国と常設通貨スワップを結んでいます)を主張する声が結構ありました。
しかし、結果、常設化はおろか通貨スワップに関する内容はまったく出てこず、安定のために協力する必要性を認識した、という曖昧な内容だけがありました(詳しくは協力するではなく「協力する必要性を認識した」ですが、一部の記事では「協力する」になっていたりします)。一部のメディアは『常設スワップに匹敵する内容だ』と無理して褒めていましたが、どう見てもそんなものではなく、一部からは『準備が足りなかったのでは』、『曖昧すぎる』と指摘されました。それを具体的に進める時が来た、というのです。
<<・・韓国基準金利が米国より低くなると、大規模な資本流出が発生する可能性がある。さらに最近、ウォン・ドル為替レートの上昇(※ウォン安)過程で、外国為替市場の最後の砦である外国為替保有額が先月94億ドル減って、不安感を高めている。保有外国為替が半年で248億ドルも消え、外国為替保有額は1年7ヶ月前水準に戻った。
韓国政府の立場では、通貨スワップという盾が切実な状況だ。 19日、韓国を訪問するジャネット・イエロン米財務長官との韓米財務長官会議で、通貨スワップ再開など外国為替市場安定のための協力案を設けなければならない。これに先立ち、韓米両国は去る5月21日首脳会談後共同宣言文を通じて、「両首脳は外国為替市場動向に関して緊密に協力していく必要性を認識した」と明らかにした。史上初、首脳共同宣言文に外国為替市場の安定に対する協力を明示したのだ。今回の韓米財務長官会議はこれを具体化する席にしなければならない。
もう一つの為替レートの防波堤は輸出だ。全方位輸出支援で赤字行進を重ねる貿易収支を黒字にしなければならない。グローバル景気低迷の懸念に国際原油価格と一部原材料・穀物価格が下落傾向を示すだけに、輸出拡大に総力を尽くしてドル流入を増やさなければならない。不要不給なドル流出を控えなければならないのは言うまでもない(韓国経済)>>
とにかく、財務長官会議でこの件が取り上げられるのか、本当に『具体的な』ものが出てくるのか、いずれ分かるでしょう。しかし、単に米韓関係とかそういうのじゃなくて、「米国の場合、いまは金利を上げようとしている(緊縮のほうに向かう)ので、韓国と通貨スワップをする理由はない」という分析もあります。いままで米国側は、世界の金融市場にドルが足りないときに、ドルを『放つ』ための手段として他国との通貨スワップを利用していたけど、今はその逆である、と。 次の更新は16~17時頃になります。
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