韓国紙『なんで信頼しないのか』

中央日報が、「98%の信頼、2%のゆるし」という妙な記事を載せました。シスター・渡辺和子の言葉が元ネタだそうです。日本は、米国に対してはまさにこのようなスタンスで接しており、それが日本の外交力の一因となっている。日本の外交力がここまで強くなったのは、いままでなかったことだ、などなど。そして、なんで韓国に対してはそうしないのか、というのです。中央日報の東京総局長が書いた記事です。

記事は、本ブログでも紹介したことがありますが、米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカート・キャンベル インド太平洋調整官の言葉を引用しています。「30年間日本を見てきたが、最近のように日本が積極的に国際舞台でイニシアチブを行使しながら、接着剤(glue)の役割を果たしたことはなかった」、と。記事は、「実際、日本の外交力は、経済力がピークとされた頃よりも今の方が強い」とし、それが「中国の経済力を牽制できるる外交力を手に入れた」などと話しながら、一応、現在の日本の外交力を高く評価しています。

 

そして、米国などに対し、98%と2%を示したことなどが、その一例だ、と。親しい相手でも100%信頼せず、98%だけにして、残りの2%は、いざというとき(米国のTPP脱会など)に相手の決定を認め、さらに自分でそれを合わせるために、残しておく。そういうスタンスが外交力につながっている、と。ただ、「なんで韓国に対してはそうしないのか」と疑問を提起しています。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・こうした外交力において、韓日関係は例外だというのが問題だ。先週、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と岸田首相が初めて会った後、日本外務省の発表資料はいつもと違うものだった。「スペイン国王主催の晩餐会で、岸田首相はスロバキアの大統領と短時間挨拶を交わし(中略)オーストラリア首相との間でも短時間挨拶を交わし(中略)尹錫悦大統領との間ではごく短時間、簡単な挨拶を交わした」。「短時間」と「ごく短時間」、「挨拶」と「簡単な挨拶」がどう違うのかはよく分からない。しかし、こうした内心ミエミエの表現を使うのが、果たして本当に外交力だろうか。信頼やゆるしの心が込められていると言えるのだろうか・・>>

 

この件、日本側がそんな発表をしたのは、大統領室の発表が『事実と違う』からです。産経新聞はこの件に対し、「外務省関係者は『会談での相手の発言は言わないのがルールだが、あまりに事実関係に反しているので発表した』と説明する。今回、政府はNATO首脳会議に合わせた日韓首脳会談の開催を見送る方針だ」としています。過去エントリー(6月30日の『王道展開』)で紹介したことがあるので、未読の方はぜひお読みください。これだけではありません。中央日報は『韓国側にもミスがあった』としていますが、この部分そもう少し引用してみます。

<<・・対日外交もまた、精巧とはいえない。◯島海洋調査、警察庁長官の◯島上陸ともに、外交当局は全く知らなかった。騒ぎになってから火消しに走った。韓日米共同記者会見がドタキャンされるハプニングもあった。「知らなかった」と説明しても、相手が信じるはずはない。相手に攻めのきっかけを与えるだけだ・・>>

 

知らなかったはずがないでしょう。『知らなかったと言っている』だけです。それに、知っていたら、止めたでしょうか。特に、警察庁長の◯島上陸の件は、2021年11月18日の世界日報の記事で、国会議員も普通に知っていたことが明らかになっています。当時、与党・野党の国会議員たちが、日本を訪問していました。これといって会談できなかったことで、話題(?)になっていた頃です。訪日議員団団長だったジョン・ジンソク国会副議長は、帰国際、警察庁長の件で記者たちにこう話しました。

<<・・「警察庁長の上陸はやるべきことをやったまでだ」としながらも、「私が出国前にその知らせを聞いたとき、電話をかけて、計画スケジュールを少し調整できないかと打診した」と話した。彼は「上陸自体は正当だと思うが、日程に対する疎通ができていないようだ」とし「その日程が調整されたならば、私たちの訪日活動の歩幅を広げることができたかもしれない」と話した・・(世界日報)>>

 

疎通ができていないと言いつつ、ちゃんと訪日前に知っていた、でもどうしようもなかったと話しています。この訪日議員団、最初は(非公式ですが)『知らなかった』と話していました。そして、このジョン副議長、この前の『政策協議団』でも代表でした。さて、98%のなんたらと2%のかんたらを示していないのは、どちらでしょうか。  次の更新は、17時頃となります。追記・・申し訳ございませんが、次の更新(臨時更新除く)までもう少し時間をいただきたいと思います。

 

 

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