王道展開・・日本「そんなこと言ってない」

何度も書いたことなので恐縮ですが、相手の心を自分で決めつけて、『これこそが相手の本心』と思い、そのままでないとなぜかその相手を責める、「心情」という概念があります。韓国社会特有のこの概念を、一部の学者は心情心理とも言います。一つ前のエントリー、「表情」は、大統領室関係者にとっては、心情を裏付ける根拠のつもりだったかもしれません。しかし、現実はぜんぜん違うものでした。

すでにコメント欄でも取り上げられていますが、産経新聞の記事によると、日本側は大統領室の発表に対し、『そんなこと言ってない』たる王道展開を見せています。本当は(この記事について書いた)韓国側の記事が出るのを待っていましたが、日本語記事のままエントリー致します。あと、産経新聞の引用の前に、まずは大統領室の発表内容を中央日報の記事から振り返っておきたいと思います。両方ともに、29日のほぼ同じ時間(19時~20時)の記事となります。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<尹錫悦(ユンソンニョル)大統領がスペインのマドリードで岸田文雄首相と初めて対面した。両国首脳は28日(以下現地時間)午後8時30分、スペイン国王フェリペ6世が主催した歓迎ガラ晩餐に参加し、3~4分ほど会話を交わした。

大統領室によると、岸田首相がユン大統領のほうに来て「大統領就任と地方選挙の勝利を祝う」と挨拶を交わした。するとユン大統領は「岸田首相も参議院選挙で良い結果が出ることを祈る」とし「参議院選挙が終わった後、韓日間懸案を早速解決して未来志向的に進む考えを持っている」と答えた。これに岸田首相は「感謝する」とし「ユン大統領が韓日関係のために努力してくださっていることを知っている」と話した。それと共に「韓日関係がより健康な関係に発展できるように努力しよう」と付け加えた・・>>

 

それでは、ここからは産経新聞の記事です。 <<・・首相は28日、現地で開かれたスペイン国王主催の夕食会の際、尹氏と短時間会話した。韓国大統領府によると、首相から声を掛け、尹氏の就任や統一地方選での与党勝利を祝福。尹氏は来月10日投開票の参院選で「良い結果をお祈りする」と応じた。さらに首相が「日韓関係がより健全な関係に発展できるよう努力しよう」と呼び掛けたという。

これに対し、日本側は、首相が尹氏に「非常に厳しい日韓関係を健全な関係に戻すため尽力してほしい」と求めたと発表した。外務省関係者は「会談での相手の発言は言わないのがルールだが、あまりに事実関係に反しているので発表した」と説明する。今回、政府はNATO首脳会議に合わせた日韓首脳会談の開催を見送る方針だ。

 

文在寅(ムン・ジェイン)政権からの交代をきっかけに、韓国側には対面の日韓首脳会談への期待があったが、日本側は慎重姿勢を崩さなかった。背景には、韓国側が尹氏の就任後も、徴用工訴訟や慰安婦問題などで具体的な解決策を示していないことがある・・・・「会談したいと言ってくるが、何の解決策も示さない。ふざけている」。日本政府高官は自国の主張を押し付ける韓国側への不満を漏らした>>

本ブログとしては、やはり『しよう』がポイントだと見ています。読者の皆様もご存知でしょう。政策協議団の頃から、韓国側が主張している『共に(共に努力しよう)』という主張。日本『も』なにかをしろ、という主張です。

 

政権(当時は『大統領職引受委員会』でした)関係者がこのことを公言したのは、3月18日に開かれたセミナーからです。尹錫悦氏の外交顧問であり、後で政策協議団のメンバーにもなるパク・チョルヒ ソウル大学国際大学院教授が、「韓国が正解を持ってきたら、日本が採点するというアプローチは、通用しないだろう」、「関係進展は韓国の努力だけで出来るものではなく、日本も共同で努力すべき部分がとても多い」と話しました。

そして3月28日、相星孝一 駐韓日本大使とあったユン大統領(当時『当選人』)は、 「韓日関係は未来志向的に必ず改善になり、過去のように良い関係が緊急に復元されなければならないと考えており、両方ともに多くの努力が必要だと思う」、「互いに意見の違いがあり、一見 解けにくいような問題もあるが、真正性を持ってお互いに話し疎通し会話すれば、それほど難しい問題ではないと思う」と話しました。『両方ともに多くの努力が必要だ』とし、まったく同じ趣旨を話したわけです。それからも、政権関係者たちは、『共に』を強調しました。

 

一見、共に努力するというのは、それっぽく見えるかもしれません。しかし、その本質は、『現状(条約、合意が守られずにいる状況)の原因を提供したほうが、むしろ得をするためのもの』でしかありません。すなわち、現状においての問題を起こしたほうが、復元する責任のある方が、『復元するから、プラスアルファをくれ』と言っているようなものです。その復元、すなわち『解決策の用意』は、決してプラスアルファ、何かの得のためのものであってはなりません。 次の更新は、明日の11時頃になります。申し訳ございませんが、近いうちにまた1日休むかもしれません・・

 

 

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