韓国与党国会議員「中国が加入できないグループ(※クアッドなど)には、韓国も加入しない!」

文在寅(ムンジェイン)政権には、大統領特別顧問の文正仁(ムンジョンイン)氏など、文大統領が言いたがっていることを『代わりに』言う人たちがいました。本ブログではムン2号と呼んだりしました。懐かしいですね。

政治とは難しく複雑なものですから、別にこういう人たちがいてはならないと主張するつもりはありません。でも、ちょっとパターンが明らかすぎで(在韓米軍の存在意義にかかわる発言など)、本ブログだけでなく、韓国内でも問題として指摘されたりしました。誰がどう見ても民間とは言えない立場なのに、これでいいのか、と。

 

そういう立場の人なのか・・どうかは、まだ言い切ることはできませんが、最近、尹錫悦(ユンソンニョル)政権が「事実上の、前政権への捜査」の前段階として進めている各案件において、妙に目立つ人がいます。韓国の与党「国民の力」のハ・テギョン議員です。各案件とは、西海(韓国では黄海とも西海とも言います)上で公務員が北朝鮮に銃撃され亡くなったこと、脱北漁民を北朝鮮に送還したこと、などなどです。

これは、北朝鮮関連であるだけに国内保守支持層の賛成が得やすく、文政権の『違法』に対して捜査を始める名分にもなれます。これらの案件で、ハ議員は関連タスクフォースのリーダーを務め、各マスコミに出演して文政権の問題を指摘するなど、かなり目立っています。

 

前から本ブログは、尹政権が「北朝鮮に強硬なスタンスを示し、その代価として、日本からはグランドバーゲンを、米国からは『対中政策においての例外』を得ようとしている」と書いてきました。特に西海でのことは米議会で聴聞会も予定されており(ハ議員も出席します)、尹政権はこれらの件で文政権、いや文大統領をさらに追い込もうとしています。尹政権は、これを一石二鳥の策だと思っているのかもしれません。ただ、いまのところ、支持率が回復する兆しは見えていません(30%~32%で下げ止まった、とのニュースもありますが、不支持はまだ増えている、とも)。

そのハテギョン議員が、中国関連懇談会で、『中国の加入が封鎖されているグループには、韓国も参加しない』、『中国と対立して韓国にいいことなど無いとはっきり分かっている』などと発言した報じられました。大手マスコミによるものではなく、ローカルメディアが頑張っています。本エントリーは、釜山日報の記事をソースにしています。

 

先も書きましたが、ハ議員がムン2号のような役割をする人なのかどうかは、まだ言い切ることはできません(ムン2号が明らかすぎた、というのもあります)。しかし、なぜでしょうか。私はまっさきに、『あ、こ、尹大統領が言いたがっていることだ』と思ってしまいました。釜山日報の場合はhttps化されていないようで、hを一つ消したURLだけ紹介します。< ttp://www.busan.com/view/busan/view.php?code=2022072213423051640  >です。以下、各紙、<<~>>で引用してみます。

<<・・ハ議員は去る14日、ソウルプレジデントホテルで開かれた第8次韓中次世代政治指導者懇談会に参加し、「大韓民国が平和統一の原則を憲法に明示したように、私たちも中国はひとつだとする原則を絶対的に支持する」と明らかにした。ハ議員は引き続き「台湾問題、香港問題、ウイグル自治区問題などに対する私の個人的立場は、その原則を土台にして調べるということだ」と話したと、嶺南(ヨンナム)日報が報じた。

 

また「これから5年間、韓中関係の方向をどうするかで韓中関係が大きく飛躍することもできるだろう」とし「韓国の政治家は、みんな米国側だとか、そう思ってはいけない。韓中の政治家間の緊密な戦略的コミュニケーションを強化しなければならない」と強調した 。ハ議員は尹錫悦政権に対して「米国のことは批判せず、中国だけ批判するという先入観があるだろうが、そんなことはない」とし、

「国益基準で、韓国が中国と対立して韓国の国益にいいことないというのは、誰もが知っている事実だ」と明らかにした。一方、「外交協力において、韓国が米国の味方だけするとの懸念が出ているというが、尹錫悦政権の原則は、中国の加入を封鎖するグループには加入しないということだ」とし「中国加入が源泉封鎖されたところには、韓国は加入するための努力などしない」と約束した(釜山日報)・・>>

 

ペンアンドマイクなど他のメディアによると、ハ議員は「特定国家は加入できないグループには加入しないという原則が、実際にある」とし、「IPEFだって、中国がIPEFに加入するなら韓国は指示するだろう」と話すなど、問題ないとしました。ペンアンドマイクは、「韓国がまた戦略的曖昧さに回帰するのではないかという誤解を巻き起こす可能性がある発言だった」としていますが、私からすると、まだまだ戦略的曖昧さ(あえてどちらかを選ばない)のままですが。

ひとつだという話は、各国が一応認めている内容ではありますが、今、与党側の人が絶対という言葉まで使って強調する必要があったのでしょうか。それに、「加入できない」と分かった後に「加入しない」と言ったところで、何になると言うのでしょうか。過去エントリーで紹介したことがありますが、米韓首脳会談のときにクアッド加入を成し遂げ、尹大統領がそのままバイデン大統領とともに訪日、クアッド首脳会議に参加する予定だった、という記事もあります。

 

米韓首脳会談の共同声明に「クアッドに興味を示してくれたことを嬉しく思う」という内容が入っているのを見ると、韓国側からいろいろと要請があったと推測出来ますが・・いまになって、そのクアッドが牽制している相手に「加入しない!」とアピールとは。こんなので喜ぶほど、あまい相手でもないと思いますが。

 

 

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