いわゆる「チップ4」関連で、中国が尹政権に「相当なダメージを負うことになるだろう」としました。ほぼ同じ頃、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は朴振(パクジン)外交部長官に「中国が誤解しないように積極的な外交を」と話し、文化日報など一部の韓国メディアは「特別注文」「特命」などと報じています。中国を説得(?)するために本腰を入れた、と肯定的に書いていますが・・個人的に、そういう問題には見えません。
与党「国民の力」の国会議員ハテギョン氏が『中国の加入が封鎖されているグループには、韓国も参加しない』、『中国と対立して韓国にいいことなど無いとはっきり分かっている』と発言したばかりです。本ブログでは23日にエントリーして、まるで大統領が言いたがっていることを代わりに言ったような気もすると書きましたが、やはりそういうことだったのでしょうか。まずは中国側の反応を、SBS(SBS BIZ)の記事から引用し、それから文化日報の記事から、尹大統領の反応を引用します。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<・・米国が構想している半導体サプライチェーン同盟チップ4(韓米日台)に韓国が参加することに対して、中国が連日のように牽制しています。中国人民日報系列のグローバルタイムズ(※環球時報の英語版)は、尹 錫悦大統領がサプライチェーン問題と関連して、中国が誤解しないように「積極的外交」を注文したという報道を引用し、「ユン大統領の慎重さは、韓国がチップ4参加の得失に注意しながら計算していることを示す」としました・・
・・続いて「韓国が最大貿易相手である中国に対し、米国の技術分野牽制に何も考えず参加する場合、輸出中心の韓国経済は大きなダメージを受けるだろう」という中国内の専門家たちの分析を伝えました。官営メディアのグローバルタイムズと還球時報は最近、韓国のチップ4参加を牽制する記事や社説を載せています。中国政府当局も外交部及び商務部の広報担当ブリーフィングなどを通じて韓国のチップ4参加に反対する見解を表明しました(SBS BIZ)・・>>
<<・・尹大統領が去る21日外交部業務報告で、「中国が誤解しないように積極的な外交をせよ」とパクジン外交部長官に韓中関係管理のための「特命」を下した。中国は最近、米国主導の半導体同盟である「チップ4(Fab 4)」に韓国が参加する問題で、圧迫を高めている。政府はまず韓中修交30周年を迎える来月、パク長官の中国訪問などを推進し、本格的な韓・中関係管理に入るという構想だ。23日、大統領室と外交部によると、最近、尹大統領が朴長官から外交部の業務報告を受ける場では、最近米国主導のサプライチェーン再編の動きと関連し、「特定国を外すためのものではなく、韓国が国益拡大の過程で検討すべき事案」という趣旨の言及が出た。
韓国のインド・太平洋経済フレームワーク(IPEF)、チップ4など参加問題に中国の反発が続くのに対し、韓中関係管理の必要性を強調したものだと思われる・・・・韓米同盟強化基調を明らかにして米国に密着してきた政府は、今後韓中関係管理も本格化する方針だ。すぐに韓・中修交30周年を迎える来月、朴長官が中国を訪問して王毅中国外交部長と韓・中外交長官会談を行う日程を調整している・・・・政府は、大統領室国家安保室長と中国共産党政治局の間の疎通定例化なども推進するなど、多角的に疎通を続ける計画だ(文化日報)・・>>
で、個人的に、外交部業務報告での尹大統領の発言の中、「中国が誤解しないように」と同じぐらい重要だと思われるのが、「経済のためなら、大統領はどこにでも行く」発言です。中国を訪れることもできる、という内容です。聯合ニュースはちゃんと報じていますが、なぜか他の記事にはあまり載っていません。この業務報告は、パクジン長官の訪日に関する報告の場でもありました。記事はこの発言を「経済のための外交を最優先するという意味だ」としながら、これまた肯定的に書いていますが・・私には、他に中国との外相会談の話も出ているし(首脳会談のための前段階になります)、中国を訪問することもできる、という発言に見えます。
<<・・尹大統領は外交部の業務報告で「経済外交が最も重要だ」とし「韓国経済に役立つなら、大統領はどこにでも訪れる」と明らかにした。米国主導のサプライチェーン再編の動きに韓国の参加をめぐって中国が反発する状況に関しては「中国が誤解しないように積極的な外交をせよ」と注文し、韓日関係については強い改善意志を改めて表明した(聯合ニュース)・・>>、とのことでして。尹大統領はいままで、「(日米中の場合)米国、日本、中国の順で首脳会談する」と話していました。今回の報告で、その順番を変えることもできる、と迂回的に話したのではないでしょうか。
昨日もお伝えしましたが、今回のイエレン財務長官の訪韓などで、韓国内では「プレゼントは無かった。負担ばかり増えた」とする不満が高くなっています。また、いまだ「安保は米国、経済は中国」といったふうに、経済安保という概念を受け入れようとせず、経済と安保を別々に考えています。支持率低下を経済(中国)から探ろうとする尹政権の動き。これも無関係ではないでしょう。
もし、これが日米への何かの牽制・・「もっと大事にしてくれないとあっちへ行くぞ」なもの・・というか「そんなつもり」の発言なら、それこそお笑いですが。まさかそれはないと思いたいところであります(と言いつつ書いてみるシンシアリーでした)。次の更新は、17時頃になります。
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