韓国側「チップ4加入を条件に、日本に『ホワイトリスト国家復帰』を要求すべきだ」

一つ前のエントリーでも取り上げましたが、中国から『弱い環』とされ、まさしくもてあそばれているとしか言いようがない、韓国外交の今日この頃です。そんな中、チップ4加入を中国ではなく、日本に対する『外交カード(外交において、相応の条件を引き出すに利用できる手札のこと)』として使うべきだ、とする主張が提起されています。

要は、米国のためにチップ4に加入することになり、中国との関係も負担が増えた。だから、その分、チップ4に加入することを条件とし、日本に『ホワイトリスト国家復帰』を要求すべきだ、というのです。記事に直接書いてあるわけではありませんが、「米国も同意すべきだ」とするニュアンスです。いわゆる「◯◯とたたかいます」と同レベルの話です。なにせ、「自国のために加入する」という話がほとんど出てこないのが、またなんとも。いくつかのメディアで似たような主張が目立ちますが、ヘラルド経済の記事が分かりやすかったので、ソース記事にしました。以下、<<~>>が引用部分で、ツッコミ・タイムはそれからにします。

 

<<・・韓国が米国主導の半導体サプライチェーン協議体である「チップ4」参加する前に、日本が韓国を「ホワイトリスト(輸出手続き優待国リスト)」から除外したことを、まず解決しなければならないという声が高い。チップ4(Chip4)は、ジョー・バイデン米国政権が去る3月、韓国と日本、台湾3カ国に提案した半導体サプライチェーン協議体で、グローバル技術競争を行っている中国を牽制するという米国の構想から出発したというのが、主な分析だ。

したがって、チップ4参加国間の輸出関連問題を残したまま中国を牽制する協議体を発足させるというのは間違いだという指摘である。このような理屈で、専門家たちは、韓国がチップ4に参加するカードで、日本のホワイトリスト復帰を要求しなければならないと主張しているのだ。9日、関連部処(※省庁)によると、政府はいったnチップ4予備会議に参加することにしたが、中国の反発を考慮して、チップ4が中国など特定国を牽制するためのものにならないよう、慎重にアプローチするという方針だ。

 

米国が同盟であり、半導体設計分野の最強国であることを考慮すれば、韓国がチップ4に参加するしかないという視点が優勢だ。半導体技術力確保のために日本、台湾と協力しようという米国の提案を断ることは難しい状況だからだ。また、次世代半導体サプライチェーンに参加し、その標準と技術資産に参加するためにも、加入は避けられないという声も出ている。しかし専門家たちは、チップ4参加国間の輸出関連問題を現状のままにして対中牽制次元でサプライチェーン協議体が構成されるというのは、趣旨がずれていると指摘する。したがって、チップ4参加に先立ち、日本が先に韓国をホワイトリスト国家に復帰させるべきだとと声を高めた(ヘラルド経済)・・>>

 

中国牽制だと言いたいのか、言いたくないのか、よく分からない内容です。ただ、関連した政府機関である「産業通商資源部」は、日本と韓国の両国間の問題の解決の可否が、チップ4の前提になるわけではないと話しました。というか、話せないでしょう。これ、前にも書いた記憶がありますが、このホワイトリストの件、米国も日本の動きに同意しているからこそ、今まで続いているのではないでしょうか。

いくつかのグループ結成により、サプライチェーン関連で『内側にあるのか、外側なのか』を強調しつつある現状。しかし、日本が参加しているグループ(米国も含めて)から、ホワイトリスト国家の件で積極的に問題提起があったとか、そんな話は聞こえてきません。実際、日本は何の動きも見せていません。

 

IPEF(インド太平洋経済枠組み)加入が話題になっていた5月にも、似たような主張がありました。当時はまだ尹政権が「日韓、米韓関係を復元する(きりっ!)」とするスタンスを強調していた頃で、バイデン大統領の訪韓の際、韓国がIPEF加入を発表し、バイデン大統領がそれから日本に行き、IPEFのスタートを公式に発表するのではないか、そんな話が出ていました。ちなみに、実際、そうなりました。日本より韓国を先に訪問した理由の一つだとも言われています。当時、ソウル経済など一部のメディアが、IPEFに加入するかわりに、米国には通貨スワップと、日本への圧力を要求すべきだ、との主張を記事にしていました。

 

簡単にまとめますと、「半導体やバッテリー分野では韓国が最高だ。だから、自信を持って、韓米首脳会談(ソース記事は5月15日のもので、まだ会談前でした)でIPEF加入をカードとして利用しよう」、というものです。米国からは、安保面での強化はもちろんのこと、経済面でも『保障』『約束』を得るべきであり、また、日韓関係においても、米国に日本を圧迫するように要求すべきだ、という主張です。

記事には駐日韓国大使だったシン・ガクス氏のインタビューが載っていますが、同じ主張でした。詳しくは、本ブログの当時のエントリーを参考にしてください。個人的に、~な主張が出ている、とする内容ではありますが、ソース記事に「『最低限でも』永久韓米通貨スワップぐらいは、米国から保証してもらわなければならない」と書いてあるのが、実に印象的でした。

 

そもそも、本当に『カード』と言えるほどのものがあるなら、こんな記事が載ったりはしなかっただろう・・とも思えますが、どうでしょうか。今月7日にも、「半導体機器関連で、上位4社のうち3社が日本・米国の企業」、「核心技術は米国を必ず経なければならない」、「今このタイミングで中国と協力をすると政府関係者が話すとは、どういうことだ」などの韓国半導体業界関係者たちの声を紹介しました。そう、半導体シェアなどで『要求できる』とする声もありますが、現状では、『使える』ことはできないカードである、といったところでしょう。これといって誰に何を言っているのかもハッキリせず、「うわ(環)あぁぁ」と、餅をもとめている(だだをこねている)だけのようにも見えます。

 

 

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