韓国メディアのワシントン特派員『いま、各国は、『中国が怒らないように気をつけている』とし、ユン政権への戦略的判断を変えつつある」

米国、及び関連国が、ユン政権に対する戦略的判断を変えつつあるという記事がありました。それもそのはずで、少なくとも『西側』とされる国々において、対中評判はガタ落ちです。すでに各国の戦略的判断がそうなっているけど、記事によると、すでに政治家たちもまたその流れにしっかり『乗って』います。そんな中、『ユン政権を、中国が怒らないように頑張っている』などの話が広がりつつあります。

国民日報のワシントン特派員が現地で感じたことを書いた内容ですが、例えば、ある政治家が『私は、強い対中政策が出せるぞ』というと支持率が上がり、すると、また別の政治家が『私は、もっと強い対中政策が出せるぞ』と言う、そんな構図になっている、と。そして、そんな中国を気にして努力しているのが、尹錫悦(ユンソンニョル)政権であるとの認識が広がりつつある、とのことでして。新政権で政権交代だから期待していたのに、まだまだ中国側にあるではないか。いわゆる『西側』の国ではないのではないか。これでは、韓国に関する戦略的判断を見直すしかない。そんな意見が聞こえてくる、とも。

 

記事によると、対中世論調査などで、肯定評価しない人がどんどん増えています。ピュー・リサーチ・センターなど大手による世論調査だと、イギリスでは70%、スウェーデンや米国では80%がそうなっていて、政治家たちとしては、この流れに乗るしかない、と。記事はこの流れを、もはや『新しい力学になった』としながら、中国に関する評判の推移は、政治家たちがより強硬な対中政策を出すようにして、そこからさらに思わしくないイメージが作られていく、そんなシステムになっている、と。ここからは、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・国民の82%が中国をこのような視線で見ている米国では、11月の中間選挙を控え、誰がより中国に強硬なのかを競争する場面が広がっている。企業の対中投資を防ぐ措置が推進され、中国が米国の農地を買うことができないようにする法案が発議される、そんなところだ。ナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問に続き、与党・野党の政治家が相次いで台湾を訪れているのは、このような背景があるのだ。民主党も共和党も、両党はもう「私こそが中国に対して強い政治家です」ということを証明するために頑張っている。『ポリティコ』紙は、「ペロシ議長の台湾訪問に対する中国側の反応は、このような政治家たちの動きに、新たな燃料となっている」と評価した。

アメリカだけではない。イギリスの執権保守党の首長になったリース・トラス首相内定者(※今日、正式に任命されました)は、リススナーク前財務長官と競争していた時、『誰が中国にもっと強硬な政治家なのか』をめぐって競争した。トラスは中国企業の取り締まり、国際情勢に効果的に対応できる同盟の拡張を公約した。首相は中国から資金支援を受ける学院の閉鎖などを掲げた。日本やオーストラリアは、もう言うまでもないだろう。

 

韓国はどうか。外交専門誌ディプロマットは最近、「サード配置、ペロシ議長の訪問、チップ4半導体構想などの問題で、ユン政権は中国が怒らないように気をつけた」とし、「尹錫悦大統領を、中国に対するタカ派だと勘違いしないことだ」と書いた。新しい政権に対する確信が、わずか3ヶ月ぶりに、疑問に変わったわけだ。ペロシ議長の訪韓の際に見せた外交の選択は、「米中対立の力学に、引きずり回されている」というイメージを作っただけだ。周辺国が、韓国に対する戦略的判断を再考しつつあるという声も聞こえてくる。このような評判の上で、私たちは中国との関係を管理し、米国の電気自動車補助金支援に声を出さなければならないのが現状だ(国民日報)・・>>

 

簡単に言うと、『そっち側』として見られている、ということでしょう。それはそうですね。保守政権ということで期待していた人なら、なおさらそうでしょう。「経済は中国、安保は米国」という言葉。言い換えれば「戦略的曖昧さ」という言葉。これが基本路線のままだと、経済と安保を一つのつながりとして考える『経済安保』は、できそうにありません。実はこれ、8月16日のエントリーで本ブログでも取り上げたことがあります。朝鮮日報のパリ特派員も同じことを言っていました。いわゆる『西側』という自覚があるのか、という内容でした。

「自分が立っている立場が明確であってこそ、自主たる外交が可能だと言いたいのだ。言い訳だけ繰り返していると、国際社会の信頼を失う。そんな国の国益判断は、国家権力を掌握した特定勢力の利益に過ぎないという認識を与える。多くのヨーロッパの対外政策当局者たちが、ユン政権の対北・対中・対日政策をめぐって、そのような疑問を抱いている。『韓国の本音はいったい何だ』と尋ねる人もいた。残念ながら、中国はこれをよく知っていて、利用している」、と。

 

記者は、中国は、韓国を「『操鍊』すればいくらでも中華世界に編入させることができる」と見ていて、THAAD関連で見せているスタンスも、そのための過程だと思われる、と指摘しています。そして1ヶ月の経たないうちに、別のメディアのワシントン特派員からも、同じ指摘が記事になったわけです。とはいえ、このような記事は、特派員が書いた記事など、少数にすぎません。ほとんどは、『もう完全に米国側に立った。そのうえで中国との関係を管理する次元の問題だ』という見方をしています。先の国民日報の記事もまた、所々、『ユン政権は西側だと確信されていたのに』とするニュアンスが垣間見えますが、さて、どうでしょう。個人的に、そんなことは最初から無かった、と思いますが。

 

 

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