岸田総理、大統領室の首脳会談発表に『じゃ、逆にして、会談無し』と話す

題になっている岸田総理の件は、エントリー後半部にあります。まず記事が載った順番に紹介したいと思います。 5月にバイデン大統領が訪韓、首脳会談をしたとき、多くのメディアが『尹錫悦(ユンソンニョル)政権の外交が本格的に始まった』と報じました。それから岸田総理との首脳会談に関する報道でも『両国関係改善でユン政権の外交が本格的に動く』という記事も結構ありました。それからは林芳正外相と朴振(パクジン)外交部長官との初めての会談あたりでも『外交が本格的に』という記事が目立ちました。基本的には、いわゆる西側、日米との連帯を『外交』と呼ぶ、そんな雰囲気でした。本ブログで何度も同じ文章を書きましたが、『完全に米国側に舵をきった』という論調が定説になったのも、そのためです。

でも、それからしばらくして、与党の重鎮議員が『中国が加入できないグループには加入しない』と、国務総理が『中国が手動するグループに入ることもできる』と、大統領自ら『経済のためならどこにも行く(訪中の可能性)』と話すなど、ユン政権で中国関連発言が相次ぎました。ちょうど、チップ4などの話が出ていた頃です。この頃は、多くのメディアが『中国との関係を管理するための外交が本格的に始まった』『ユン政権の外交の主力が日本から中国に』などと記事を載せたりしました。ペロシ議長と面談しなかったことを本件と繋げて考える意見以外は、この件を問題視する記事は意外なほどありませんでした。

 

それから8月15日の演説で『大胆な構想』という対北政策を発表し、破格的な外交が始まるという報道も結構ありましたが、先週あたりからは、『エリザベス女王の弔問外交、米韓首脳会談、日韓首脳会談、カナダ訪問・首脳会談で、ユン大統領の外交が本格的に動き出す』という論調が目立ちました。ただ、どうやら、今回もまた、本格的にとは言えない展開になっています。まず、昨日もお伝えしましたが、エリザベス女王に参拝(弔問)ができませんでした。到着が遅くなったのが理由です。韓国内では、これがユン大統領側のミスなのか、それともイギリス側が外交的な儀典をおろそかにしたのか、それとも両方なのか、そんなことが大きなニュースになりました。

思ったより大きな案件になったから、でしょうか。それから韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理がこの件について、『他にも多くの首脳級の人たちが、ユン大統領と同じ(弔問はできず、弔問記録だけ書いた)だった」と話しましたが・・その際に『多くの首脳』として例えば人たちが、全員ちゃんと弔問したことが明らかになりました。イーデイリーはこの件を報じながら、『いまのところ、弔問しなかったのはユン大統領だけだと思われる』とする野党議員の言葉も紹介しています(議員自ら、公式にそうなのかは分からないとしていますが)。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・韓悳洙国務総理は国会の政府質問で、英国を訪問したユン大統領の弔問取り消しに対する野党議員らの質問を受けた。国務総理は、ユン大統領のように現地到着が遅れて弔問録作成だけするようにと案内された事例があると主張したが、例として挙げた首脳たちは、全員エリザベス2世女王の棺が安置されたウエストミンスター寺院で弔問したことが確認された・・・・国務総理は「ユン大統領だけでなく、少し遅れてロンドンに到着したEU(欧州連合)執行委員長、パキスタン首相、モナコ国王、ギリシャ大統領、オーストリア大統領、エジプト首相なども(※参拝はせず)葬儀の後に弔問録を作成した」と強調した・・・・しかし、これはすぐに事実と異なることが明らかになった。ユン大統領と同様の手続きを案内されたという各首脳たちは、全員がウェストミンスター寺院で弔問した事実を、キムイギョムともに民主党議員が指摘したためだ。キム議員は・・・・他の首脳はみんな参拝をした。 参拝をしなかった唯一の首脳はユン大統領だと思われると指摘した(イーデイリー)・・>>

 

このように、真っ先にエリザベス女王弔問からこんなことになって・・一部の保守側メディアが『ユン大統領の弔問外交は大成功だった』という記事を載せたりもしましたが、この件が圧倒的に話題になっています。それに、米韓首脳会談・日韓首脳会談も、本当に首脳会談が決まったのかどうか不透明なままです。昨日は林芳正外相とパクジン外交部長官の外相会談をお伝えしましたが、やはり『温度差があった』という話が出ていますし、聯合ニュースの記事(元ソースは朝日新聞の会員記事)によると、大統領室の首脳会談発表のことで、岸田文雄総理が強い不快さを示したとのことでして。これだと、もし会談が出来たとしても、成果を期待するのは難しいでしょう。ちなみに、米韓首脳会談もまた、まだ具体的な時期などが発表されていません。

 

<<・・岸田文雄首相が、大統領室が首脳会談開催を一方的に発表したことに対し、強い不快感を表わしたと、朝日新聞が21日政府関係者を引用して報道した。報道によると、岸田首相は韓国大統領室が15日、国連総会のきっかけで韓日首脳会談をすることに合意し、時間を調整中だと発表したことについて、「それなら、逆に会談しないことにする」と話した。大統領室の発表が早すぎたという認識のためだと思われる。首脳会談は、通常、開催事実が確定すれば両国が同時に発表するのが外交慣例だ。

これに先立ち、大統領室の発表当日にも、日本政府の広報担当者である松野博一官房長官は、定例記者会見で関連質問に「何も決まったことがない」と答えたことがある。岸田首相は前日にも、国連総会に出席するため米国に出国する直前、日韓首脳会談関連の質問に「まだ何も決まっていない」と明らかにした。複数の日本外務省幹部は20日(現地時間)に開かれた国連総会をきっかけに、ユン大統領と岸田首相が会同できたとしても、短い時間だけになるだろうと見ているという(聯合ニュース)・・>>

 

さぁ、まるで『会談が決まっていたけど、発表タイミングだけが問題だったとするニュアンスですが・・そういう問題じゃないでしょう。これからバイデン大統領との米韓首脳会談がどうなるかは分かりませんが、事前に噂されている議題は『インフレ抑止法の修正』『中国への新規投資許可』要請など、かなり高難度なものばかりです。どうも、「本格的に」ではありますが、向かっている本格の方向がちょっと違うような、そんな気もします。

 

 

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