韓国金利引き上げ、社債金利上昇などで企業の資金調達に影響・・『大企業』の59%が営業利益で借り入れの利息が払えないとの分析も

ちょっと悩みましたが、また金利引き上げ関連のエントリーになりました。まず、今までに比べて各メディアが大きく取り上げています。さすがに、もう何度も金利引き上げを行い、大した効果が無かったので、本当にこの手しかないのかと思うようになったのもあるでしょう。また、尹大統領の支持率がパッとしない世論の影響もあるかもしれません。ただ、それらの記事、それぞれ主に書いている『層』がそれぞれ異なります。昨日と今朝とで、いわゆるヨンクルで家を購入した人たち、ジョンセのために貸し出しを受けた人たちについてお伝えしましたが、今回は企業関連の記事を紹介します。大企業、社債など、そして小商工人(業種にもよりますが、常勤者10人未満の事業者)関連となります。

韓国経済研究院というシンクタンクのイテギュ研究員は、「家計負債の規模が大きいため、金利上昇による負担を話すときにはいつもその話ばかり出てくるけど、金利上昇による問題は実は企業部門がより大きい」、「金利上昇により金融部門で問題が発生するなら、それは企業を対象にしたローンから始まる可能性が高い」と話しました。なぁんと、家計負債『『『よりも』』』もっと深刻だ、とのことです。関連した記事を、以下、アジア経済SBSハンギョレ新聞から引用します。ちなみに、引用部分に用語の説明が無いので少しだけ説明いたしますと、各メディア共通として、営業利益で利息も払えない状態にある企業を『脆弱企業』と言います。その状態が3年間続けば、それを限界企業と言います。引用する最後の記事となるハンギョレ新聞の記事だけ、「4分期(1年間)」を基準としていますので、この点はご注意ください(記事内でも特記しています)。各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・2日、金融通貨委員会が2度目の「ビッグステップ(0.5%ポイント引き上げ)」を行い、すでに限界企業になっている企業、中小企業、さらには大企業も利息の返済がままならない立場に置かれることとなった。国内大企業10社のうち、3~4社は経営が難しくなるだろうという予測まで出ている。企業融資金利が7%を超えることになると見込まれる中、企業の資金調達窓口である社債の金利は急騰しつつあり、お金を借りるのはさらに難しくなった状態だ。ここに、為替レートの急激な動きと、米国の緊縮への加速、不安定な世界情勢などの問題があふれているのに、緊急経営に突入した各企業は、今後の戦略をどのように変えなければいいのかさえ決められないでいるのが実情だ。韓銀によると、ビッグステップを行った際に企業が負担する利子は8兆9000億ウォンほどだ。12日の基準金利引き上げで増えた利子だけで18兆ウォンに達する。

これに先立ち、全国経済人連合会が売上基準で1位から1000位までの大企業のうち、製造業を営む企業を対象に資金事情を調査し​​た結果、「営業利益で利子費用を負担できる基準金利」は平均2.6%であることが分かった。調査対象企業の37%は、すでに現在の基準金利でも営業利益で利子費用の負担は難しいと答えた(※本データの調査時点での基準金利は2.5%で、12日の引き上げで3%になりました)。韓銀が「ベビーステップ(基準金利0.25%ポイント引き上げ)」でも行った場合、大企業10社のうち5社は脆弱企業になり、ビッグステップ(0.5%p)引き上げで3.0%になると、脆弱企業は59.0%に達するという分析通りなら、大多数の大企業もリクスに直面するという意味だ(アジア経済)・・>>

 

銀行とて、金利が上がったからには、新規貸出の対象を慎重に決めることになります。返済できそうにないところには、満期延長をしないなどの形で資金の回収に乗り出すでしょう。それに、社債市場が凍りついている、とのことでして。ここからは社債関連、SBSです。 <<・・このような中、企業は利子負担のため社債を発行することも、銀行融資を受けることも難しくなりました。年末までまた金利が上がることが確実視される中、企業が投資と消費をさらに減らす可能性が高くなっています。

先月末、信用格付けAA-である「SKリーツ」は、960億ウォンの会社債発行に乗り出しましたが、50億ウォンしか確保できませんでした。信用等級が同じ教保証券は、先月初めから社債発行を推進しましたが、最近、無期限に延期しました。需要が凍りついた中で金利まで上がり、利子負担が大きくなり、先月社債発行規模は1年前より37%減った5兆3438億ウォンを記録しました。現在、信用格付けAA-企業の無保証社債3年物の金利は年5.44%で、年初より3%pも上がりました(SBS)・・>>

 

書けばキリがなさそうですが、最後に、ハンギョレ新聞から小商工人(記事のデータ上では『常勤の人が10人未満』企業の事業者)関連の部分を引用します。繰り返しになりますが、やはり、上げるか下げるかの問題というより、『急すぎる』のが問題でしょう。一部からは基準金利3.5%以上は上がらないのではないか、という予想も出ていますが・・詳しくいつだったかは忘れましたが数ヶ月前に『最大で3%』という予想も読んだことがあるので、なんとも言えません。さすがに3回連続で金利引き上げ関連が続いたので、次は別の件にしたいところではありますが、明日決めるとして、記事から該当部分を引用して今日は終わりにします。興味をお持ちの方は、2つ前のエントリーからシリーズになっているので、ぜひ過去エントリーも参考にしてください。

 

<<・・13日、中小ベンチャー企業研究院の予想によると、今回の金利引き上げの前になる2.5%水準の基準金利条件のもと、限界の小商工人の割合は17.3%(118万人)に達すると推定された。韓銀が12日基準金利を引き上げる前の、先月時点での推定だ。韓銀がビッグステップ(0.5%ポイント引き上げ)を行った場合、限界小商工人の比重は18.2%になり、124万人に達するとの観測も出している。(※予想されている通りに年内に)金利をもう一回引き上げて3.25%にした場合は、限界小商工人の比重は18.6%(127万人)と増えるとも予想した。

ここでいう限界小商工人とは、四分期連続で利子補償倍率(営業利益/利子費用)が1未満の事業者をいう。研究院の今回の分析は、2017年3~6月から今年1~3月までの間、創業・運営・休業・廃業したシンハン・カード個人事業者加盟店63万2011社を対象とした実態調査によるものだ。小商工人は、中小企業基本法による小企業のうち、常時労働者10人未満の事業者をいう。金利が1%ポイント上昇する場合、自営業世帯当たりの年利子が160万ウォン増加するという分析(韓国経済研究院2月報告書)を基本前提としたものだ(ハンギョレ新聞)・・>>

 

 

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