一部の韓国メディア、基準金利引き上げの緩和・延期の必要性を主張・・「すでにクレジット・リスクが起きつつある」「中堅会社も大企業も、資金が調達できなくなっている」

また北斗債券シリーズか・・と思われても仕方ないですが、また債券市場関連です。今朝のもの以外は「あ、これはエントリーしないと」と思える事案が無かったのもありますが、先月から金融関連で相応の数の記事が毎日(『毎日のように』ではなく、本当に毎日です)、しかも複数のメディアから出ているし、なにより、私がこちらの情報に興味を持っているのもあります。さらに、よく読んでみると、1~2日間隔で出てきた記事でも、ちゃんと『続報』だったりします。こういうところもまた、興味深いところであります。

例えば、この前、社債市場が機能しなくなったけど、その理由として、カンウォンレゴランド事態と、韓国電力公社が赤字の分を補うために社債を発行しすぎ、という2つの側面を何度かエントリーしました。韓国電力公社は政府保証が付いているので、最高ランクの社債になります。赤字の分を社債でカバーするために最近発行し過ぎで、他の会社の債券の売り上げにも影響を及ぼしていました。ですが、そろそろその『韓電債』も、未達事態になった・・とのことでして。

 

また、社債市場の最大手だったSKが社債をやめて中・長期CP(コマーシャルペーパー、もともとは短期のはずですが、長期にしても発行は可能だそうです)を出すようになったとお伝えしましたが、他の大企業も似たような動きをしていて、結局はそれらよりハイリスク・ハイリターンの(高い金利の)CPを出すしかなくなり、それがまた関連金利を引き上げる流れを呼び、さらに高くなった金利に対応できない企業はどんどん増えていくのみ、という記事も出ています。

中堅と言われていた建設会社の社債が利率65%(投機等級)になって関係者たちがびっくりしたり、『サグミュンから貸出が受けられなかった』という会社の話が出てきたり。第1金融圏で貸し出しが受けられなかったら、第2金融圏に行って、それから貸付業者(合法の場合、第3金融圏ともいいます)行って、最後はサグミュン(私的な金融という意味で、違法金融業者)に行くしかない・・と書いたばかりですが、そのサグミュンからも貸出が受けられないって、それどういう状況なのでしょうか。

 

一部のメディアが、クレジット・リスク(信用リスク)状態がすでに起きつつあると報じています。本ブログとしては「起きつつある」というところが疑問だったりしますが。ヘラルド経済は「資金流動性そのものが凍りついてしまい、金融市場だけでなく、家計の経済にまで影響を及ぼしている。すでに、中堅企業はもちろん大企業すらも、資金調達において、高い金利を出しても資金を集めることができない「国家のクレジット・リスク」が起きつつあるという声も、大きくなっている」と報じています。また、「物価上昇を理由に基準金利を引き上げている政策も、スピード調整が必要だ」とも。そこは、単に物価対策だけではないでしょう。とはいえ、最近、一部のメディアが基準金利引き上げそのものに対し「本当にそれしか方法がないのか」という記事を載せているのは事実です。ちなみに、24日に引き上げを行う可能性がある、とも。まとめとしてはこれだけでも十分な気もしますが、以下、<<~>>でソース記事から引用してみます。

 

<<・・仁川で地域住宅組合整備事業施工を引き受けた中堅建設会社A社は、竣工直前なのに、組合が資金調達できなかった。既存の金融機関だけでなくサグミュンからも追加融資を受けることができなかった。仕方なく、上限金利の20%利率で、既存組合員を対象に追加資金募集を始めた。財界2位のSKは史上初めて長期CPを発行した。信用格付けAAで優良等級のSKさえ、会社債の代わりにCPを発行したのは、AAAである韓国電力債権でも年6%の金利を出しているためだ。不動産プロジェクトファイナンシング(PF)市場は、事実上、全面中断状態だ(※先月末あたりから、その韓国電力公社の債券も完売できなくなりました)・・

・・特に、企業が資金を調達する最前線である短期債券市場は、すでに(※リーマン・ブラザーズ事態などがあった)2008年当時に戻った。1日、中堅建設会社である某会社の社債が年65%に投売され、市場を驚かせた。フングク保険とDB保険が相次いで新種資本証券のコールオプションの未行使・および延期を決定し、市場はさらに萎縮した。フングク社はコールオプジョンを行うと発表したが、市場の衝撃はそのまま残っている。

 

金融投資協会債権情報センターによると、去る7日基準でCP 91日物(A1)の金利は4.94%で、年中最高値を更新した。通貨安定証券91日物も3.331%で最高だ。主要短期債金利は、2008年以来約14年ぶりに最高水準に上昇した状態だ。短期債市場の萎縮は、外貨債権(KP)の弱さにまで広がっている。近年、低金利・通貨高で、各企業はKP発行で資金を調達した。NH投資証券によれば、来年の国内企業発行KP満期だけで約250億ドル(約34兆6500億ウォン)と推定される。現状のまま続くと、金融市場のクレジットは維持できないという意味だ。

特に今後の資金調達も容易ではないようだ・・・・機関投資家たちは、すでに年末債権の評価損失を最小化するため、早期にブッククロージング(会計年度帳簿の締め切り)を行っている。ある証券会社の役員は「今、証券会社の立場では、早くブッククロージングした人が勝ち組」と話した。新型コロナの中、経済を活性化するために財政出動をしていた政府も、もはや資金が十分ではない。チュギョンホ副首相兼企画財政部長官は、国債(KTB)国際カンファレンスで、「我が国の国債発行残高も史上初めて1000兆ウォンを突破するなど、挑戦に直面している」と明らかにした。

 

そのため、短期資金市場の梗塞を防ぐための一時的な流動性供給よりは、韓銀の通貨政策の速度調整など、根本的な政策カードを使うべきだという指摘が出ている。キムミョンシル、ハイ投資証券研究員は、「政府も市場安定のための流動性対策が出しているが、市場のリスクは短期市場からKP市場まで拡大しつつある」とし「結局、中央銀行が基準金利引き上げの速度調節の可能性について強く示唆したり、引き上げのサイクルを終えるなどの通貨政策で政府と協力するまで、今の雰囲気は続くだろう」と話した(ヘラルド経済)・・>>

CP91日物、金利が4.94%になっていますが、ちょうど1年前には1.30%だったそうです。やはり、「上がる」というよりは、「急すぎる」というのが問題でしょう。でも、繰り返しになりますが、別に韓銀だって「引き上げたいから引き上げる」わけでもないと思いますが。更新時間がいつも通りには行きませんでしたが、とにかく、久しぶりの1日3回更新でした。それでは、今日はこれにて。

 

 

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。