韓国経済の支えの一つだった「プロジェクトファイナンス(PF)」の現状・・「3億円を3ヶ月借りると、利子が5000万円」

本ブログでも取り上げてきましたが、プロジェクトファイナンス(PF)というものがあります。初めて聞いたという方のために簡単に説明しますと、あるところにマンション団地を作る『プロジェクト』が立ち上がったとします。財閥企業は系列会社だけでできる場合もありますが、ほとんどは『施行社』という会社が担当します。マンション団地を作るからには『施工社』すなわち建設会社が必要になりますし、資金も必要になります。プロジェクトそのものに最初から金融機関が加わる場合もありますが、結局は何かの形で貸出を受けることになります。

マンション団地を作るといってもまだ何も無いので、プロジェクトそのものを担保にして資金を調達しますが、ほぼ間違いなく施行会社はもちろん、施工会社も『保証し合う』形で貸出を受けることになります。施工会社はマンション作ってお金をもらう側なのに、自分でプロジェクトの保証までするのか?というところがちょっとアレですが、普通はそうなります。だから何か問題が起きると、施行会社だけでなく施工会社も(規模にもよりますが)ピンチを迎えることになります。

 

金融機関からすると、このPFはハイリスク・ハイリターンですし、施行・施工社からしてもそれは同じですが・・韓国の建設市場だけでなく、経済そのものにおいて、一つの『支え』になってきました。民間の債務で経済を回すという政策とも、相性がよかったと言えるでしょう。ただ、リーマン・ブラザーズ事態やサブプライムローン問題があった2008年から、第1金融圏(普通の銀行)はこのPFにあまり力を入れないようになりました。いまは第2金融圏が主力事業として力を入れています。

最近の金融危機関連記事において、このプロジェクト・ファイナンスはまさに『定番』メニューとなりました。企業の資金調達問題、第2金融圏(貯蓄銀行など)問題などと直接繋がっているし、多くの会社が関わっている(金融機関から貸出を受けるため、プロジェクトに関わった多くの会社が保証し合う『信用補強』を行っています)ためです。11月26日にも紹介したことがありますが、財界5位のロッテグループも流動性危機が報じられており、それはロッテ建設のプロジェクト・ファイナンスが原因だとされています。

 

で、そのプロジェクト・ファイナンスですが・・最近になって、実際に倒れてしまった建設会社の事例が、記事に載るようになりました。名前を聞いてびっくりするような大企業ではありませんが、各自治体では有名な会社だった、とのことです。先も書きましたが、施行社が倒れてしまったため、その影響を建設会社が負う形になりました。以下、ソウル経済から、実例を含めて引用してみます。どうやら、サグミュン(私な金融、違法な貸付業者のことで、私債ともいいます)を利用するしかなく、30億ウォンを3ヶ月借りたのに利子が5億ウォンだった、とのことでして。<<~>>が引用部分となります。

<<・・「下請け会社に代金を払わないといけないのに、貸出を受けることができなくなって、私債でも利用して防ぐしかなくなりました。30億ウォンを3ヶ月借りるのに、利子を5億くれ、と言われました。金融が支えられない状況で、マンションの分譲(※竣工前にマンションを売ること)さえできないので、もう耐えられなくなりました」。先月29日、ジャンギヨン・ドンウォン建設産業代表は、ソウル経済との通貨で「竣工を終えた建物でさえ、融資が受けられなくなっている。施行会社が倒れ、施行社から工事費250億ウォンが受けられなくなって、年36%の金利を掲げたサグミュンを利用して協力会社に代金などを支給したが、もう債務が負担できなくなるほど大きくなって、倒れました」としながら、こう述べた。

 

ドンウォン建設産業は銀行に到来した手形22億ウォンを返済できず、、最終不渡りとなった。同社は2000年、慶南昌原地域に設立され、近隣商店街・官公署などの建設を引き受けてきた中堅建設会社で、昨年の基準売上は542億ウォンだ。進行中の複合行政タウンなど工事規模だけでも600億ウォンに達し、70社以上の協力会社が連鎖して資金難に陥る可能性が提起される・・

・・原材料価格の急騰及び金利引き上げ、景気萎縮にPF問題まで加わり、資金状況に余裕のない地方の建設会社からドミノのように倒れていくのではないかという懸念が、現実化しつつある・・・・9月末にも忠南地域6位のウソク建設も、融資の返済ができなかった。大型施行会社A社の代表は、「金利引き上げとレゴランド事態以後、資金調達に困難を経験する施行会社と建設会社が多い。今後も同様の事例が続出するだろう」と話した(ソウル経済)・・>>

 

「金利が上がったという理由だけで、大規模リスクの懸念が出てくるこの融資構造が、果たして普通なのか。国内の不動産PFに、金利だけでない構造的な問題があるからではないのか」と、ネットメディア ザ・スクープは指摘しています。「海外の場合、不動産PFは、主に社会間接資本(SOC)工事などリスクが低いときに行われる。しかし、国内は違う。建設会社が信用度や担保などを提供して融資を受ける場合が多い、信用度や担保が足りないと、支払保証や債務引受の約定なども求められる」、とも。

すなわち、リスクが高い相手にプロジェクト・ファイナンスをここまで行うこと自体を見直さないかぎり、どうにもならない、と。PF市場そのものが大きくなっているため、政府としては「もうやめようよ」といいたくても言えなくなってしまった、というのです。さぁ、尹大統領、出番です!言うのです!

 

 

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