韓国国防部「米国のミサイル防衛システムには参加しない」/米国「・・強く協力しています」

日米韓首脳会談にて、共同声明に「北朝鮮のミサイル関連、日米韓が情報のリアルタイム共有を強化する」という内容がありました。一部のメディアはこれを「ついに米国のミサイル防衛(MD)システムに入るのか」と報じたりもしました。ですが、ニュース1の記事(ソース記事その1その2)によると、1日に韓国国防部は「米国のミサイル防衛システムには入らない」と公式ブリーフィングで話しました。この件でボイス・オブ・アメリカ(VOA)が米国国防省に書面で質問しましたが、「協力しています」な内容だけで、それ以上はありませんでした。

尹政権になってからも、多国間協議の場、特に米国の前では中国、ロシアなどについてそれらしいことをいいながらも、実際に何かのアクションが取れているのかというと、そうではありません。今回の、リアルタイム情報とかそれらしいことを言って、ミサイル防衛システムのことではないとするパターンも、その一つだと言えるでしょう。米国のミサイル防衛システムに参加することは、いわゆる「3NO」の一つです(日米韓安保協力は軍事同盟にはならない、THAAD追加配備しない、米国ミサイル防衛システムに参加しない)。ちなみに、日本は参加しています。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・政府は米国のミサイル防衛(MD)体系に参加する意思がないと、軍当局が重ね強調した。ムン・ホンシク国防部副スポークスマンはこの日の定例ブリーフィングで、「(北朝鮮)ミサイル防御のために独自にミサイル防御体系を構築している」としながら、このように明らかにした・・・・これに先立ち、日米韓3国が北朝鮮ミサイル関連情報のリアルタイム共有を強化することに合意し、在韓米軍の宇宙軍部隊創設などをめぐり、事実上、米国のMD体系に入るのではないかという観測が提起されていた。

ムン副スポークスマンは、「参考までに、MDに入るためには、同じシステム構築だけでなく、MD体系で作戦を遂行するための様々な分野での協議も、共に行われなければならないだろう」、「まだ私たちはどのような体系を使用するとか、 それとも、共同で何かの武器を開発するとか、そのような側面はない」と話した(ニュース1、その1)・・>>

 

引用部分にはありませんが、20年以上前に米国MDに参加しないと政府が公式に発表してから、その立場が変わったことは一度もない、とのことです。VOAもこのことを気にしたのか、米国国防総省に関連質問をしたところ、『協力しています』という返事しかありませんでした。 <<・・国防部が「米国のミサイル防衛(MD)体系に参加しない」と明らかにした中、米国国防省はミサイル防衛に対する両国間の者協力は強力だと明らかにした・・

・・米国の声(VOA)によると、米国国防部の高位当局者は8日(現地時間)「韓国が米国のミサイル防衛(MD)体系に参加しないことが米国の利益に合致するのか」とする書面での質問に、「ミサイル防衛問題 に関する両国間の協力はとても強力だ」と答えた・・・・最近、北朝鮮のミサイル問題で米国のMDシステムに参加すべきだとする主張があるが、国防部は米国のMD体系に参加する意思がなく、独自にミサイル防衛体系(KAMD)を構築していると明らかにした(ニュース1、その2)・・>>

 

この共同声明が出たあと、中韓首脳会談がありました。そのとき、この件についての話が(発表された内容の中には)無かったので、「本当にミサイル防衛システムについて話したのなら、もっと関連した話があったはずだが」と思いましたが、『それはミサイル防衛システムのことではない』と、事前に話しておいたとか、そんなところでしょうか。16日にお伝えしましたが、当時の首脳会談で尹大統領は北朝鮮関連問題で「安保理常任理事国であり、隣接国として、中国がさらに積極的で建設的な役割を果たしてくれることを期待する」と話しました。しかし、習主席は「中韓両国が朝鮮半島問題に共同利益を持つ」としながらも、「平和を守護しなければならず、韓国が南北関係を積極的に改善していくことを希望する」と話しました。これは、『尹政権が南北関係を改善すれば、それで解決できるではないか』という意味です。

 

 

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