また「カード大乱」の兆しか・・韓国、リボルビング払いが急増

リボルビング払いというものがあります。ソース記事から引用しますと、カード決済額の10%だけ決済すれば、残りは返済を最長5年まで延ばせるもの、です。もちろん、カード会社によって5~20%の高い利子が付きますが。国によっては、リボ払いというものを特に警戒せず、普通に使う場合もあります。アメリカとかは特にリボ払いが多いと聞きます。でも、韓国の場合、2つの理由で、このリボルビング払いが「家計の経済状況を表す一つの指標」とされます。

2つの理由とは、このリボルビング払いの分は、DSR制限にひっかからないからです。家計債務対策として、2020年あたりからDSR、すなわち年収によって借り入れられる金額の上限が決まるようになりました(その前からあるにはありましたが、一部の人たちに限られていました)。リボルビングは「家計貸出」ではなく「家計信用」に入るので、例外とされています。もう一つは、2003年頃、カード大乱という事態があったからです。

 

本ブログでは何度も同じ趣旨を書いてきましたが、いわゆるIMF期のあと、金大中政権は『貸出を受けてマンションを買ってください』政策を行いました。この政策は、基本的にそれからも続き、経済成長(?)を主導しました。そして、金大中政権は、そこまではお金が用意できない人たちのため、クレジットカードを発行し「まくり」ました。キャッシングサービスに、これといった制限無しで。ここがポイントです。結果、2002年~2003年あたりから問題が表面化し、無数の個人・会社が倒れ、信不者(金融機関ブ◯ックリスト入り)だけで350万人を量産した、と言われています。これをカード大乱と言います。

あと、個人的に、これは本件だけでもありませんが、「急増」という指摘、これが特に重要ではないでしょうか。アメリカたんのように、「こんなものでしょう」と使っているわけではないという意味になります。毎日経済の記事によると、カード会社の決済性リボルビング残高は、2019年末には5兆4670億ウォン、2020年末には5兆3912億ウォンと、大して変化がありませんでした。しかし、2021年末に6兆824億ウォンと大幅に増加しました。2021年に増えたのは新型コロナによるものだ、という意見もあります。2020年に増えてない時点で微妙ではありますが、部分的には、たしかにそのとおりでしょう。

 

しかし、今年、まだ9月末を基準にしてのデータですが、6兆9393億ウォン。今年になってからだと新型コロナの影響が去年ほどではなかったはずですが、9ヶ月で8569億ウォンも増加したことになります。また、記事は、アンケートによる調査結果ではありますが、2003年とほぼ同じレベルだと報じています。一部では、「新型コロナが弱くなったからいろんなところで消費しただけだ」という分析もありますが、中央銀行の判断はそうでもないみたいです。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・家計の経済状況を垣間見ることができる指標の一つ、決済性リボルビング残高が増えている・・・・決済性リボルビング利用者は今年6月末基準で269万9000人だ。金利上昇で家計の利子負担も加重されており、市場では、家計の信用リスクを懸念する声が出ている・・・・今年9月末基準の家計ローン残高は1756兆8000億ウォンだ(※『家計ローン』を含めた『家計債務』は1870兆ウォンです)。単純計算で金利が1%ポイント上がると、家計の利子負担が17兆ウォンほど増える。

 

韓銀が10月に発表した、今年7~9月期動向・10~12月期予想などを分析した「金融機関貸出サーベイ結果」によると、国内銀行ローンの総括責任者たちが住宅担保ローンと信用ローンのある家計について展望した「信用リスク指数」は、42を示した。これはカード大乱事態が起こった2003年7~9月期の44以来、最も高い水準だ。新型コロナ事態の影響が本格化した2020年4~6月期の40よりも高い(毎日経済)・・>>

あたりまえのことですが、カード会社でも、資金調達の状況によっては、手数料(この場合、リボ払いの利子)を上げるしかなくなります。昨日も上限金利の話を書きましたが、貯蓄銀行(第2金融圏)も、貸付業者(第3金融圏)も、現状では資金を調達するのが容易ではありません。資金を調達するために、今まで以上にお金がかかります。彼らとて、どこからか調達してくるわけですから。その分、『各種取り引き』において利益が残せるかどうかにもっと慎重になりますし、利率も上げることになります。

 

現在、リボ払いも手数料(利子)が上昇している、とのことです。ケース・バイ・ケースではありますが、カード会社によっては、すでに上限近く(19.5%)まで上がったところもある、とのでして。昨日の朝のエントリーでも書きましたが、「30・50」がなんで流行るようになったのか、わかる気もします(2つ前のエントリーですので未読の方は参考にしてください)。単に生活費に困っている人ももちろんいるでしょうけど、支払期限に追い込まれていて、どんな条件でものるしかない人たちが増えていく・・と。悲しい話です。というか、これ、確か旧ブログのときにもほぼ同じ内容を書いた記憶がありますが・・変わりませんね、本当に。カードなだけに「ずっとアレのターン」といったところでしょうか。

 

 

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