家計債務問題の韓国、年利229%「サグミュン」業者たちの最近の手口・・「先にもらえる部分だけもらって、そもそも金は貸さない」が流行

家計債務問題に関する記事が増え、その中身も細分化されてきました。これはマスコミ記事としては良い傾向ではないでしょうか。本ブログでも何度か取り上げましたが、その中でもサチェ(私的な債)、サグミュン(私的な金融)と呼ばれる違法金融業者たちに関する記事も、大手含めて、少しずつ具体的な話が出てきています。個人的に、上限金利の話を大手メディアが扱ったのは、結構大きな変化ではないだろうか、とも思っています。家計債務大国で「金利を下げればいいってものでもない」な記事を書くのは、勇気が要ることですので。

そんな中、最近のサグミュンの手口の一つを取り上げた記事があったので、紹介したいと思います。1週間前の記事ですが、韓国日報です。政府が行っている政策(金融機関に、政府保証付きでお金を貸し出すようにする政策など)は効果がなく、貸付業者(合法)はほとんと新規貸出を行わなくなり、さらにはサグミュンの人たちも、いままでは、少なくとも「お金を貸す」ところまでは実際にやってきた(金利は高いけど)わけですが、最近は「もらえる分だけもらって、そもそもお金は貸さない」ところが増えてきた、とのことでして。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・先月25日、(※いつもなら『お金を貸します』な内容のチラシなどがすぐ見つかる)ソウル東大門区、清涼里清果物市場を結構回ってみたが、貸付業者たちがばらまいていたチラシなどを見つけることができなかった。市場の商人たちは、「夏まではよく見かけましたが、チラシなど、秋からは目につきませんね」と誰もが言った。人があまりいないところでやっと見つけた1枚は、前からそこにおいてあったように見えた。書かれていた番号に電話をかけて、最近なぜ広報をしなくなったのかとその理由を尋ねてみた。該当企業は、金融監督院に登録された合法貸付業者だった。

「市場の商人たちの話、そのままです。チラシとかばらまかなくなって、結構経ちますからね。なぜかって、商売にならないからですよ。担保から信用まで何もかも全部チェックして貸しても、そうなんです。上限金利20%でやっても、商売になりません。開店休業だと思ってください(※そもそも利用する人たちのリスクが高いこともあって、上限金利20%で貸しても、貸付業者が資金を調達してくるときにかかる金額を考えると、利益を残すことができなくなった)」と彼は答えた。

 

脆弱層が、貸出市場から追い出されている。 国内外の急激な基準金利引き上げの余波に景気低迷の可能性まで浮き彫りになり、貸出市場の最も下にある脆弱階層から、お金を調達できなくなってきたのだ。特に、信用が高くない借主が利用していた貯蓄銀行・カード会社・貸付業など、あちこちで「ローン中断」が続いており、彼らがサチェ市場に流れてしまうおそれもおおきくなった。

大邱(テグ)で10年以上貸付業を運営しているA氏から、最近の違法金融業業の実態について聞くことができた。いままでのように、お金を高金利で貸し出すのではなく、最近は、そもそもお金を貸すつもりが無い、という。「もし、誰か300万ウォンが必要な人が、『彼ら』を利用することになったとします。じゃ、彼らは、その利用者に、『まず、信頼を積みあげるべきではないでしょうか』という名目で、20万ウォンを先に借して、月利子20万ウォン(年利率1200%)を受け取ります。同じことを数回やれば、一人から80万ウォンぐらいなら『吸い出す』ことができます。では、その後に300万ウォンを貸してくれるのか。いいえ、貸しません。そこから連絡が取れなくなります。これが最近流行している手口です」(韓国日報)・・>>

 

80万ウォンぐらいしか持ってないな、この人・・と思うと、ちょうどその分だけ『吸い出し』て、それで終わり、と。11日に紹介したばかりですが、「ネットか電話で」済ませたいという人が多いそうです。朝鮮日報の記事ですが、記者さんが貸出仲介サイトというところを調べたところ、「30万ウォンだけ、非対面式で可能でしょうか」など、数十万ウォン程度を急いでなんとかしたいという文で溢れている、とのことでして。それを見て、サグミュン・サチェが、その人に「30・50(30万ウォンを借りて1週間後に50万ウォンを返済する、年利3400%)でそうか」と連絡し、そこから取り引きが始まる、同じ構造で50・80もある、などなど。

<<・・カードローンもできず、貯蓄銀行(※第2金融圏)のハードルも超えることができなかった、言わば「信用点数」が低い人たちだ。彼らの最後の希望だ。後で業者から連絡が来る場合が多いからだ。業者はいわゆる「30・50」を提示する・・・・「50・80」もある。最近、このような、少額のサグミュン市場が活況だと言われている(朝鮮日報)・・>> 今日の記事と繋げて考えてみると、本当にもう、おそろしい話だな、としか思えません。第1金融圏は第1なりに、第2は第2なりに、第3(貸付業者)は第3なりの理由で貸し出し事業を全般的に調整しており、それは、平均金利229%とされるサグミュンやサチェの世界でも例外ではない、といったところでしょうか。

 

 

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