韓国史上最大の再開発マンション団地、完売できず・・一部では「多数の売れ残り」「PFどうすんの」との懸念も

オリンピックパーク・フォレオンというマンション団地があります。マンションだけでなく関連した施設まで含めると、もはや「小さな都市レベルだ」と言われる規模で、不動産市場最大の高級エリアとされる江南ではないけど、準・江南とされる立地。このマンション団地は、韓国不動産市場において『史上最大再開発』『市場最高の憧れ』などと言われてきました。一般的には再開発前の名前で「遁村(둔촌)住公」と呼ばれているので、韓国の不動産関連ニュースでご覧になった方もおられましょう。

本当かどうかまでは分かりませんが、尹政権が今年に入って不動産関連の規制をいろいろ緩和したのも、このオリンピックパーク・フォレオンの契約を助けるためではないのか、そんな話もありました。国レベルで無視できない存在だと認識されているから、こんな話も出てくるのでしょう。で、このフォレンさんの「正当契約」が終わりました。一般分譲の4786世帯が対象になります。しかし、その契約率が、70%にすぎなかった、とのことです。それに、施行社(プロジェクトそのものを総括する会社のこと)側は、契約率を発表しないでいるし、一部では「その70%というのも、いわゆる『希望契約率(わざと高い契約率の噂を流す)』」と指摘しています。

 

正当契約とは、そのマンション団地の『請約』に当たった人たちが行う、そのマンション団地販売において最初の契約分となります。本ブログでも取り上げたことがありますが、韓国では、普通にお金を払うだけではマンションは買えません。あまりにも多くの人たちが買おうとするので、『請約』というものをしなければなりません。所有している家の数、そのマンションがある地域に住んでいるかどうか、金融機関との取り引き関連、その他の特殊な条件(独立有功者などは優先されます)などなど、様々な条件で請約の優先順位が決まります。同じレベルだと抽選です。その請約が通れば(優先度や抽選などをすべて乗り越えたら)、やっと『その家を買う権利』、すなわち契約できる権利が与えられます。この『韓国では普通の』プロセスを勝ち抜いた強者たちが、初めて契約する、それが正当契約です。

 

正当契約で、契約してもらえなかった、言わば売れ残った分はどうなるのか。敗者復活戦に入ります。予備当選者とされる人たちに、「売れ残ったので、あなたたちにも契約できる権利を与えます」という流れになります。ただ、この場合、その予備当選者たちは、それは、ま・・喜ぶ人もいるでしょうけど、多くは「えっ?」と思い、契約を躊躇うことになります。『売れ残った(当選したのに契約しなかった人が多い)ということは、これ、価格が上がらないという意味じゃないのか。これ、当選しなくてよかったのかも』と。どうせ、これからも値上がりし続けるという信念のもとでマンションを買おうとしているわけですから。

正当契約まで進めた人でも、全員が契約するわけではありません。同じく、家の価格が下がりそうなことがあれば、契約しない人が増えます。たとえば、請約の競争率が思ったほど高くなかった(思ったほど人気が無かった)などの情報も一因になります。だから、敗者復活戦はある程度は、普通にあります。でも、かなりの数が出ているとなると、『ああ、これ、正当契約まで進めたのに契約しなかった人が多いという意味か』と、予備当選者たちも気づくわけです。予備当選者たちも契約せず、結果的に売れ残った分(未分譲の分)は、価格を下げたり特典を付けたりもして売るしかありません。既存契約者たちは怒るでしょう。ここでいう契約とは、契約金・中途金・残金などその家の代金を支払う日付まですべて含まれていますから。

 

そんなシステムの中、請約率(競争率)は5.45倍、最優先順位の請約では3.7倍だったフォレン。なのに、契約は100%にならなかったというのは、契約を諦めた人が多いという意味です。尹政権の不動産関連緩和政策で、急に手のひらを返して「これで勝てる」「これで価格下落が止まる」という記事を出していた一部メディアとしては、かなり気まずいことになりました。フォレオン側が正当契約が終わったのに契約率を発表しないでいるのも(普通は発表します)、予備当選者たちが『逃げる』のを防ぐためでしょう。SBSなど複数のメディアによると、市場は、『実はもっと多くの数が売れ残っているのでは』と見ています。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・オリンピックパークフォレオンの正当契約率が70%に達すると推定されています。文字通り推定値で、正確な数値ではありません。事業場側が、具体的な契約率の公開をせず、この契約率を膨らませたものではないのかとも言われています・・・・18日、組合と施工社(※実際に作った建設会社のこと)などによると、3日から17日まで正当契約の結果、契約率が60~70%、一般分譲物量4768世帯のうち、約1400世帯が未契約だったと知られています・・・・一部では、この契約率を置き、「希望契約率」という疑問も示しています。実際の契約率はこれより低く、ありのままに公開すれば買い手が離れて行くので、非公開にしている、というのです(SBS)・・>>

 

この70%という数値には、もう一つ意味(?)があります。あくまで一般論ですが、プロジェクト・ファイナンス(PF)で借りた資金を返済するには、マンションの70%は売らないとならない、と言われているからです。これだけの規模だと、ものすごいお金が動いたでしょう・・と、ここで告知ですが、シンシアリーがちょっと旅行に出ることになりました。明日(20日)と明後日(21日)は、更新も休むことになりました。団体旅行なので日程とか明らかにしていいかどうか悩んでいますが、あとで何かの形で写真とかお見せできれば、と思っています。それでは、前から気になっていた日本の美、レナと二人で目一杯楽しんで来ます。(・∀・)ノ

 

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