尹大統領の「(1900年~1905年頃に)国際情勢の変化にちゃんと備えることができなかったため~」という演説内容が大きな議論に・・野党などは「こちら側に問題があったとでも?」

昨日、3月1日、尹大統領は記念辞(式典演説)で、両国は普遍的価値を共有するパートナーになったと話しました。個人的に、その発言の前にシン◯ャク(◯は『リ』です)を規定事実としているなど、この発言にこれといった意味、例えば今までと根本的なスタンスの変化があったとか、そんなことはないと思っています。ただ、その部分も含めて、演説のいくつかの表現が、国内で大きな反発を巻き起こしています。

ノーカットニュース、京郷新聞、時事ジャーナルなど複数のメディアの記事を読んでみると、先のパートナーになったという部分に関しても、やはり問題提起は起きています。そんな言い方をすれば、まるで「問題はすでに昔のことだ」というニュアンスができてしまうため、関連した案件もすでに解決されている、という受け取り方もできるようになる、だから、そういうべきじゃなかった、というのです。キム・チャンロク慶北大学校法学専門大学教授など複数人の『専門家(?)』たちが、この主張を強く提起しています。

 

そもそも、去年の8月15日の演説でも「力を合わせるべき隣人」としていたため、表現がもう少し肯定的に変わったとはいえ、別に画期的に変わったというわけではありませんが・・このように、演説のいくつかの部分に問題提起が相次いでいますが、その中でも、個人的に「ああ、これか」と思う部分があったので、今日は1日遅れてこの件を取り上げたいと思います。昨日チェックしたときには、この部分に気づかなかった、というのもありますが。

その部分とは、「朝鮮末期、国際情勢の変化(原文では『世界史の変化』)にちゃんと備えることができず、国を守ることができなかった」とする部分です。最近の米中対立の中、安保は米国、経済は中国という路線から抜け出せずにいる尹政権ですので、どうも言行一致とは思えませんが、「~」の内容だけ見ると、何の問題もありません。事実ですから。国際情勢の変化に対応できず、どちらかというと「国際情勢が私たちに合わせるべきだ」という古いスタンスを変えようとしなかったこと。それは間違いない事実ですから。ですが、韓国では、そうではありません。

 

少しでも「こっち側」に問題があるとする意見は、すべてタブーにされます。慣れている方々なら「確かにそうだな」と思われるでしょうけど、あまりなれていないそれは、日本の主張と同じだから」です。この部分に対して、野党側からはさっそく強い問題提起がありました。時事ジャーナルなど複数のメディアの記事によると、「どこの国の大統領の演説なのか」という話まで出てきました。与党側からは、またいつものパターンで「文政権が安保面でリスクを育ててしまったので、それを何とかするための両国関係改善のためのものだ」とし、前政権の問題だと主張しました。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・野党側が問題にしているユン大統領の発言は、大きく分けて2つある。まずは3月1日の演説で「協力パートナー」と言及したこと。もう一つは、「世界史の変化にきちんと準備できず、国が守れなかったことを振り返ってみなければならない」と話した部分だ。特に後者の場合、共に民主党は「まるで、私たちの問題だとでも言うような口調だ」と解釈している・・

 

・・前日、イ・ジェミョン共に民主党代表はユン大統領の該当発言を置いて、「朝鮮自らの責任問題があるという主張を、内因論ともいう。本当にご先祖様たちに顔向けできない」と明らかにした・・・・「国民の力」は、ユン大統領の演説を高く評価した。ジョンジンソク国民の力対策委員長は2日の会議で「文在寅政権がもたらした北朝鮮核安保リスクに備えるため、日韓関係を改善するためのものなのに、それがそんなに問題なのか」と話した(時事ジャーナル)・・>>

今回の件が詳しくどんな結果になるか、例えば支持率がどう動くかなどは、まだ分かりません。もはや「国内政治」の話でしかないので、右側の人たちはなんとか擁護しようとするだろうし、左側は逆でしょう。ただ、一つだけ・・どちらも「いや、そこじゃない」なことだけは、確かです。野党側の主張はもう完全に論外ですが、与党側の話もまた、どこかズレているとしか思えません。ズレているというか、視野がせますぎるというか・・そうだ、『疲れる』と書いたほうがいいかもしれません。

 

 

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