韓国、マンション団地関連でトラブルが急増・・契約書にも無い追加の支払いを要求、契約者が入居できない事態に

比較的「◯」が多い内容が続きましたが、今回は、マンション価格、及び、関連した資金の流れの話になります。一応、直前のエントリーは3月4日の「マンション、本当に価格が半分~」になりますので、未読の方は合わせてお読みください。さて、分譲価格の半分にもならない値段で売買されたマンションが登場するなど、まだまだ解決案など見えてこない、韓国のマンション問題。関連したトラブルも多くなってきました。施行会社と、値引きされる前の分譲価格で買った人たちの間もそうですが、施行社と施工社の間にも、また問題が目立つようになりました。

ちなみに、マンション団地プロジェクト全般を管理する会社を施行社と言います。再開発の場合は「組合」がその役割を果たすこともあり、「~~再開発組合」という団体の場合、そのまま施行社になります。もちろん、ケース・バイ・ケースではありますが。施工社とは、実際にそのマンション団地を作った建設会社のことです。基本的に、施工社は、施行社(組合)から代金をもらうことになります。ただ、ほとんどの場合は、施工社も、関連した融資のための保証人(社)になることが多いので、運命共同体のような形になります。施行社としては、施工社に対し、「仕事を任せたい。でも、資金が足りないので、『私と契約して保証金社になってよ!』」とし、施工社もそれに応じるわけです。資金に余裕のある会社ならそこまでしなくてもいいでしょうけど。

 

しかし、それもそろそろ限界に来たのでしょうか。各地で、施行社・組合と対立する事例が増えました。施行社のほうから、約束した代金を施工社のほうに支払うことができなかった(すなわち、マンションが売れなかった)こともあります。施工社が、契約書にも無い追加の支払いを要求することもあります。原材料など、費用がかかりすぎた、というのです。ちなみに、契約書には「工事が終わった後にそんなこと言わない」という内容がちゃんと書いてある、とも。施工会社が、作ったマンションの鍵を渡さなかったり、コンテナを利用して入居者の引っ越しを遮断するなど、大小さまざまなドラブルが起きています。ソース記事の「デジタルタイムズ」の記事によると、予定された日に入居できなかった人たちは、慌てて寝る所を確保するために大変だった、とも。しかも、これ、結構有名な会社の名前が出てきます。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・追加工事費の分担などをめぐって、全国各所で施工会社と施行社、組合が対立する事例が多い。その中には、普通に分譲を受けた人たちの入居を止めてしまったケースもある。人件費や原材料価格の引き上げ、金利の引き上げなど、外部変数で施工社の工事費は増えたが、施行会社や組合などは当初の予想とは違う追加の工事費に合意できそうにない状況だからだ。ソウル・・(※地名省略します)・・パラゴン・アパートの入居予定日だった1日、マンションの入口はコンテナで塞がれた。部屋からの光は全然見えなかった。寝る場所もない入居予定者たちは、急いで寝る場所を探さなければならなかった。施工会社である東洋建設産業とマンション組合が、追加工事費を置いて対立したためだ・・

 

・・今月初めには、ソウル・・・・の「デチ・プルジオサミット」でも、工事費問題が起きた。施工会社である大宇建設と組合が合意した契約規模は総1662億ウォンだ。このうち工事費903億ウォンがまだ入金されていない。大宇建設は、それに加えて、さらに追加で工事費増額分400億ウォンと、延滞した分、金融費用270億ウォンを合わせて670億ウォンを入金することを組合側に要求した。それと共に「入居制限」に言及した。未収工事費903億ウォンと追加工事費400億ウォン、利子・金融費用270億ウォンなど合計1573億ウォンを優先的に受けられなかった場合、入居予定者たちの入居を制限すると・・>>

 

いろいろ、大変デチ。 同紙の別の記事(同じ趣旨を複数の記事で報じています)を読んでみると、組合側は(こんなこともあろうかと?)『契約書には、追加で工事費を請求しないという内容が書いてある』としています。入金が遅くなったのは事実だけど、契約書以外の内容である、と。前々から、特にプロジェクト・ファイナンス(PF)を受けた工事においては、少なくともマンション団地の3分の2、4分の3(記事によります)は売れないと、資金の流れそのものが止まってしまうという指摘がありました。マンション団地を作るという「プロジェクト」だけで融資を受けていたわけですから、売れなかったら返済する方法が事実上無いわけです。前にも書きましたが、海外では、PF工事には政府や自治体の保証が付き物とされています。

最初の部分にリンクした3月4日のエントリーにも書きましたが、一部では「まだまだ下がる」と、また一部では「いまこそが購入のチャンス」としている、マンション価格問題。これからどんな展開になるにせよ、この施行社、組合、施工社の対立は続くでしょう。そして、最後にちょっと書きたいことは・・こんな状態で、工事はちゃんとしたのか?という疑問が拭えません。タイミングよく、またプレジデントオンラインに拙著の一部が載りました。2回目です。本エントリーとも関連した内容なので、よろしければ、ぜひお読みください。

 

 

おかげさまで、新刊発売です!今回は、マンションを買わないと『貴族』になれないと信じられている、不思議な社会の話です。詳しくは、新刊・準新刊紹介エントリーを御覧ください。経済専門書ではありませんが、ブログに思いのままに書けなかったその不思議な「心理」も含めて、自分なりに率直に書き上げました。以下の「お知らせ」から、ぜひ御覧ください。ありがとうございます

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