韓国のローカルメディアが見た、「100年続く企業が少ない理由」

これもまた、頻繁に目にするテーマですが・・「なんで長寿企業(これといって定義はありませんが、ソース記事では「100年以上続く企業」)が少ないのか」についての話です。22日の記事ですが、毎日日報というメディアが、また同じテーマを取り上げました。記事は主に相続税関連を取り上げていますが、同時に、「デムリム(親譲り)」に対する社会的な反感が大きいこともまた、一つの理由だとしています。個人的に、もう少し書き加えたい内容もありますがそれは後にして、以下、<<~>>で引用してみます。ちなみに毎日日報は、ソウル地域の中心に朝刊を発行しているローカルメディアです。直リンはうまくできませんでした。 ttp://www.m-i.kr/news/articleView.html?idxno=998280

<<・・なぜ創立100周年を超える企業がほとんど無いのだろうか・・・・すべての業界を見ても、100年以上の沿革を持つ企業は10カ所に過ぎない。韓銀が2011年に発行した「日本の企業承継現況と示唆点」によると、すぐ隣の日本は、世界で最も多くの長寿企業を保有しているだけでなく、世界最高の長寿企業も保有している 。創業200年以上の長寿企業を国際的に比較すると、日本が3113社(43.2%)と圧倒的に多い。 ドイツには1553社(21.7%)の200年以上の長寿企業が存在する(※2019年中小企業中央会が調査したデータでは、200年以上の長寿企業は日本3937社、ドイツ1563社、フランス331社です。韓国の100年以上企業は8社)。

 

長寿企業存続の裏面には、家族経営企業という共通点がある。ドイツ政府は、家族経営は富の親譲りなどではなく、長寿企業が多くなる方法だと判断している。ドイツ政府は、2010年の長期雇用維持など一定条件だけ履行されれば、相続税が課されないように相続税法を改正した。日本政府および企業も、円滑な企業承継による雇用確保と経済活力維持のために企業承継関連総合対策を講じている。

最近、100年企業というテーマで企画記事を進行し、様々な海外の事例と国内制度について調べることになった。取材を重ねるほど、相続・贈与税改革は、企業競争力の向上と国家の未来成長動力確保のために必須不可欠だと思われた。前述の先進国の事例とは異なり、現在の我が国の相続税の最高税率は50%で、OECD平均の約2倍に達し、家業承継要件が厳しく、長寿家族企業誕生を難しくしている。この他にも国際的傾向に逆行している現行相続税賦課方式及び税率体系の副作用は、多くのデータから確認できる。

 

企業承継は、円滑な世代移転を通じて、雇用創出・維持、技術・ノウハウの継承及び発展、永続企業への成長と長寿企業の土台を育成することで、経済全般の活力と国家競争力の向上に寄与することができる。 日本は、伝統技術を時代変化に応じて継承・発展させることで、顧客の需要に応える、優れた技術に昇華してきた。一例として、筆ペン、融雪剤、自動発光標識などは、すべて職人の伝統製造技術を顧客の需要に合わせて継承及び発展させて現代的技術に昇華させた製品だ。企業継承に対する認識も長寿企業の誕生を阻む主な要因の一つだ。我が国では、継承作業をただの親譲りだと見る基調が特に強い。専門家たちは、企業承継は単に個人資産を後代が引き継ぐのではなく、経済主体の社会的役割拡張が内包されていると理解する必要があると指摘する(毎日日報)・・>>

相続税関連の話は、重要な部分だと思います。でも、それだけではないでしょう。個人的に、書き加えたいことはかなり多いですが・・とりあえず最近書いた内容で2つだけ紹介します。拙著やブログなどに何度か書きましたが、韓国社会のMZ世代(ミレニアル世代、Z世代)の最大の憧れは、「大金持ちになる」というより、「大金持ちの子で生まれること」です。金スプーンなどがその表れです。他人の「親譲り」にここまで反対しているのは、理解がどうとかの話ではなく、ただ「私もほしい」と思っているだけではないでしょうか。

 

あと、もう一つ、これもよく引用するデータですが、ピュー・リサーチ・センター(Pew reserch center)が2021年11月18日に公開した報告書が、もう一つのヒントになれるでしょう。17カ国で「人生に意味を与えてくれるのは何か(What makes life meaningful)」を調べた結果ですが、まず、日本を含めほとんどの国では「家族と子供」が1位でした。でも、某1カ国だけ、「物質的な豊かさ」が1位でした。また、「職業的成就」が、すごく低いことも分かりました。京郷新聞(2021年11月22日)はこの件で、こう報じています。引用して、そのまま終わりにしたいと思います。引用部分全体がオチになれますので。

<<・・他の国とて、物質的豊かさを選んだ比重が低いわけではない。全体的に、人生に意味を与えてくれるものとして家族と子供(38%)、職業的成就(25%)が多かったが、物質的豊かさ(19%)を選んだ人たちは多い。しかし、物質的豊かさが『1位』の国家は、韓国が唯一だった・・・・また、 他の国では、人生に価値を与える源泉として2~3位に選ばれた「職業的成就」を選んだ回答者は、6%に過ぎなかった。パートナーとの関係、友人や隣人との関係など、人間関係を挙げる回答者の割合も相対的に低かった・・>> 

 

 

 

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