半導体関連で、また記事が増えてきました。でも、相変わらず、「どうすれば米中両方を説得できるか」という話ばかりです。万が一できたとしても、何かの措置を少し緩和できるかどうかぐらいのものでしょう。方向性が変わらないかぎり、時間稼ぎにすらなれそうにない、そんな話ばかりです。これは半導体だけでなく、安保関連でも同じで、たとえばこの前、イギリスがCPTPPに加入したという話がありましたが、その際も韓国メディアのほとんどは『EUのかわりを求めただけ』という、経済関連の分析(しかもちょっと暗いニュアンス)だけでした。新日英同盟とまで言われている最近のイギリスの動きを取り上げた記事は、ほんのすこしだけでした。
しかし、経済と安保は、もう別々に動くものではなくなりました。実はいままでもそうでしたけど、数年前とは比べ物にならないほど、わかりやすくなりました。でも、半導体関連で何か記事が載ったとすると、いつも同じ内容です。米国の対中措置から、どこをどれだけ、みのかしてもらえるのか。そこに外交力を集中しないとならない、そんな話ばかりです。そして、どの記事を読んでみても、明らかに『米国側に立つべきだ』と言いきる右側メディアの記事以外は、全般的に、『別に中国で工場回しても問題ないじゃないか』という考えが基本です。米国も中国も、そう強い対応はできない。米国も中国も、私たちの半導体やバッテリーを必要としているからだ。そんな主張も、目立っています。
しかし、先も書きましたが、結果は一部の措置の、さらに一部の緩和を得るだけ。米国、日本、台湾の半導体協力が強くっていく中、サムスン電子やSKハイニックスといった半導体大手の半導体部門が大幅な営業損失を記録するだろうという予想が流れ(サムスン電子の場合は明日発表です)、さらに、国内でも半導体関連法案(関連投資の税額控除など)も与党と野党で合意できずにいるなど、半導体関連の記事が増えるのも、ある意味、当然だと言えるでしょう。『もう市場が回復するだろう』という話も出ていますが、ノーカットニュースは、『市場が回復するといっても、別の主張もあるし、米中関係において、サムスン電子とSKハイニックスの立場はさらに不安定なものになる』という記事を載せました。この前、中国がマイクロンを調査することにした、という記事が流れましたが、それは、(中国に工場を持っている)サムスン電子やSKハイニックスに対する、『メッセージ』でもある、というのです。サムスン電子の業績予想も含めて、以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・サムスン電子の1~3月暫定実績発表を控え、空気が重い。グローバル景気鈍化の影響で半導体(DS)事業部が4兆ウォン台の営業赤字を記録するという見通しが相次いでいるからだ。核心は、今後の半導体業況のターンアラウンドと実績反騰であるが、これをめぐっても観測は一致しない。6日、業界によると、サムスン電子は1~3期の暫定実績を、7日に発表する予定だ。市場は、最近、サムスン電子の1~3月営業利益を1兆ウォンと予想する。さらにダオル投資証券は、680億ウォンの営業赤字を記録すると見込んだ・・
・・(※半導体市場がもうすぐ回復するだろう、という予測について書いた後に)ただ、半導体産業の特性が変わったため、業況の反騰は期待しづらいという分析も出ている。現在SKハイニックスは工場稼働率を調整する方式で減産しているが、サムスン電子は人為的減産はないとハッキリしている状況だ。半導体業況が回復した後、市場シェアを増やすという戦略だとされている。しかし、キウム証券のパクユアク研究員は、2019年以降、DRAMが低成長産業になってから、需要の価格弾力性が非常に下がっており、供給の増加がシェア上昇につながるとは思えないと診断した。したがって、需要の低成長の中で、積み重ねられてきた在庫を使い果たすにも、非常に長い時間が必要だろうと予想した・・
・・ここに、米国と中国の半導体競争も不確実さを高めている。米国は半導体支援法による補助金支給と中国に対する先端半導体機器の輸出関連などで、対応レベルを高めている。これに対し、中国も対応に乗り出した。中国インターネット情報弁公室(CAC)は、半導体企業の中で初めてミクロンに対する「安保審査」に乗り出した。重要な情報とサプライチェーンの安全性、潜在的なサイバーセキュリティ問題を防止するためだと説明しているが、米国に対する牽制だと思われる。問題は、中国で半導体工場を運営するサムスン電子とSKハイニックスが、次の対象になる可能性だ。香港サウスチャイナモーニングポスト(SCMP)は、「中国に製造施設を置いているサムスン電子とSKハイニックスに、今回の調査は『米国の措置にしたがわないように』とするメッセージになるだろう」とした(ノーカットニュース)・・>>
米国からも中国からも似たようなこと言われているようでは、現位置で体育座りしているしかないでしょう。さて、明日、予想通りの結果になるのか、それともなにか肯定的なサプライズがあるのか。気になるところです。
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