韓国、再び「在韓米軍は中国関連問題では動くべきでない」という議論

この件、前にも何度か同じ趣旨の話を書いた記憶がありますが・・韓国では、「在韓米軍は、北朝鮮関連問題以外では、動いてはいけない」ということになっています。名分も様々で、「それ以外で許可した覚えはない」という主張もあれば、「それ以外の問題で在韓米軍が動くと、北朝鮮が動き出すかもしれないから」という主張までいろいろあります。一部の高官が「そうではない」という見解を述べたりもしましたが、国民の力(党名は無数に変えてきましたが)側も、世論を意識してか、この話を明確にしようとはしていません。

今の国際情勢を考えると、自衛隊は有事の際にも朝鮮半島に進入してはいけないという主張とともに、ちょっと信じられない話だったりします。今回の関税交渉もそうですが、なにかあればすぐに「同盟国」という言葉を持ち出しながらも、これが実態だったりします。今回、ジェビア・ブランソン新任米韓連合軍司令官が、「韓国は、日本と中国の間にある、島、または空母のような存在だ」と発言したことで、再びこの議論が話題になっています。読み方によっては、中国から日本を守るためにちょうどいいとか、そんなふうにも聞こえます。そのためか、一部のメディアは「中国の近くにある空母だと言った」というふうに報じています。元の発言は衛星写真で見た場合、そう見えるという話でした。

 




そこで、「これは在韓米軍の役割拡大を意味するものだ」という話題になっているわけです。関連記事を出しているメディアも多いですが、「おそろしい言葉だ」という題をつけたり(SBS)、主に「これはピンチだ」というムードです。朝鮮日報は社説を出して「いまシェシェしているところですか」と主張していますが・・なんか、こちらもまた読み方によると、「認めるしかない(認めたくない)」というふうに見えますが、気のせいでしょうか。引用部分にもありますが、予想できなかったわけではないでしょうし、そもそも今までも韓国政府に配慮してダイレクトに言ってないだけで、米国だけでなく周辺国のどこも「在韓米軍は介入しない」と思っているところは無いはずですが。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・在韓米軍の持ち出したおそろしいことば(※題)。【ジェビア・ブランソン駐韓米軍司令官「衛星写真で見ると、韓国はまるで島のように、あるいは日本と中国本土の間の海に浮かぶ固定された空母のように見えます」】。米国と中国の有事の場合、前哨基地であるという意味だと解釈できます。そしてブランソン司令官は、米国の同盟国である韓国、日本、フィリピンを結ぶ三角形を描いてみるように言いましたが、その意味をこう説明しました。

【ジェビア・ブランソン駐韓米軍司令官「この三角形につながる国々は(韓国、日本、フィリピン)米国と相互防衛条約で密接につながった国家であり、明らかに台湾海峡で発生するいかなる危機や衝突にも影響を受ける国々です」】在韓米軍司令官が台湾の有事の際に韓国が影響を受けると発言したのは、今回が初めてです・・・・ブランソン司令官は、自分が王になれば朝鮮半島に機動部隊を再配置したいと強調しました。【ジェビアブランソン駐韓米軍司令官「もし私が一日だけでも王になれるなら、米軍起動戦力を朝鮮半島に再配置します。もちろん、私は王ではありませんが、この地域で朝鮮半島ほど訓練に適した地形はないからです」】(SBS)・・>>




 

<<・・ブランソン司令官は「より大きな戦略」について「中国とロシアのリスクに対処するために駐韓米軍が駐留しなければならない」と述べた。駐韓米軍司令官が、駐韓米軍の役割が既存の対北朝鮮抑止から中国・ロシアを相手するための米国のインド・太平洋戦略の基幹戦力に変わったことを公式化したのだ。トランプ2期発足後、駐韓米軍の活動領域と役割が拡大するという「戦略的柔軟性」の問題は、予見されてきた。国防政策の核心人物であるコルビー国防部次官はトランプ当選以前から「韓国が自国防衛において自ら責任を持って駐韓米軍は中国を抑制することに役割を転換しなければならない」と話してきた。彼は「台湾有事の際に駐韓米軍を含む全世界のすべての米軍が投入されなければならない」とした。

中国・台湾問題が韓国と直結するしかなくなったのだ。「韓国は中国の前の空母」という発言は、このような現実を加減なく見せてくれる。今回の大統領選挙で最も有力とされる李在明(イジェミョン)候補は、北核を含む安全保障問題はほとんど言及していない。ただ中国にも「シェシェ」して台湾にも「シェシェ」しようという発言ばかり議論になっている。「米国の駐韓米軍防衛費分担金引き上げの圧迫に国益中心で対処する」という無意味な話をしているだけだ(朝鮮日報)・・>>

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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