『尹錫悦大統領と李在明代表の代理戦』とされた補欠選挙で、野党候補が大差で勝利

9月30日にも取り上げたことがありますが、『ミニ大統領選挙』と言われたソウル江西(カンソ)区庁長選挙で、17%(以下、%ポイント)差で野党「共に民主党」候補が勝利しました。人が多く、他の地域に比べて浮動票が多いとされるソウル。各種選挙でもっとも大きな影響を及ぼすとされるソウルとはいえ、区長長補欠選挙がなぜミニ大統領選挙とまで言われるようになったのか・・と言いますと。前にも書きましたが、まず与党候補は検察出身のキムテウ氏で、わざわざ大統領が赦免までした人です。野党からは、直前まで無名で、警察出身・全羅北道出身・新人のジンギョフン氏が出馬しました。

この補欠選挙に、与党と野党はまさに総力戦で挑みました。なんでそこまでしたのか・・理由はいろいろありますが、両候補が、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と李在明(イジェミョン)代表の代理のような立場になった(された?)からです。時事INはこの件で、「今回の選挙は補欠選挙だが、政党は総力を注いだ。共に民主党内では『区庁長選挙が大統領選のようだ』という話が何度も出てきた」、「巨大両党は、選挙終盤まで、両候補より『尹錫悦』『李在明』の名を叫んだ」、とのことでして。来年の総選挙、そして、気の早い話ではありますが次の大統領選挙での、「政権支持か、政権審判(政権交代)か」を問う内容になったわけです。

 

そんな『区統領』選挙で、野党が17%差で勝利したこと。これだけでもユンたん側としては大きいですが、「総選挙で野党が大勝利した3年前に戻った」という指摘もあります(東亜日報)。この地域の与党・野党支持が、2020年の総選挙のときとほぼ同じだった、というのです。3年前の総選挙では、まだまだ朴槿恵大統領の弾劾事態から立ち直れなかった保守側に対し、共に民主党が大勝しました(その結果、複数の政党が「国民の力」になりました)。それからはどんどん保守側へ支持が集まるようになって、政権交代、(前の選挙での)区庁長選挙での勝利、ソウル市長選挙で与党側が勝つなど、3年かけてやっと挽回できた保守支持が、今回の選挙結果、再び3年前にもどってしまった、と。ここからは<<~>>で引用してみます。

 

<<・・12日、中央選挙管理委員会によると、前日の選挙で共に民主党ジンギョフン当選人と国民の力キムテウ候補はそれぞれ13万7066票と9万5492票を得た。ジン当選人の得票率(56.52%)とキム候補の得票率(39.37%)の格差は17.15%ポイントだ。これは、2020年に開かれた総選挙と同様の数値だ。当時、江西の3つの選挙区に出馬した共に民主党候補が得た票は全体の56.61%で、未来統合党(現・国民の力)候補の得票率(38.73%)より17.88%ポイント高かった。

江西区は伝統的に民主党系が強いが、最近行われた主要選挙では国民の力に力を与える傾向だった。昨年大統領選挙の時、民主党候補だったイジェミョン代表(49.17%)と国民の力候補だったユン大統領(46.97%)の差は3%ポイント以内だった。前の区庁長選挙でも、与党側のキムテウ氏が得票率51.30%で民主党のキムスンヒョン候補(48.69%)に勝った。ソウル市場選挙でも江西区は56.09%が国民の力候補だったオ・セフン市長を支持した。ソン・ヨンギル当時民主党候補の江西区得票率は42.10%だった。 共に民主党の核心関係者は「ソウルの民心が再び私たちに戻ってきているというのが、今回の選挙結果で明らかになったのだ」と評価した(東亜日報)・・>>

 

9月のエントリーにも書きましたが、裁判結果によって区庁長の座を失ったキムテウ氏を、大統領が赦免して、5ヶ月ぶりに再び補欠選挙に出馬させるという与党の戦略に無理があったとも言えます。朝鮮日報の分析によると、とくに江西の中産層(中産階級)の多いとされる地域は、いままでは尹大統領とオセフンソウル市長など保守側の人を支持してきました。それぞれ7%、10%勝っていた、とも。しかし、今回は共に民主党候補が15%以上勝っていた、とのことでして。ソウル市長選挙に比べると20%以上下がったことになるので、他の地域よりも「中産階級の多いところで特に下がった」、と。やはり、経済関連でしょうか。とりあえず、これで共に民主党李在明代表の党内影響力はさらに強くなるでしょう。今回の選挙、李代表はハンスト以外にあまりやったことない気もしますが・・

 

 

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